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2019.10.08

あそぶ

ペグハンマーと焚き火台。「muraco」の技術が光る、革新的な2つのギアを徹底解析

連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
焚き火台
1974年創業の金属加工会社「シンワ」は、2016年に新事業としてアウトドアブランド「muraco(ムラコ)」を立ち上げた。金属への深い知識と経験に基づくギアを生み出し、瞬く間にキャンパーから支持される存在となった。
特に話題となったのが独特のスタイルを実現したペグハンマーと焚き火台。2モデルの開発背景や特徴、メンテナンス法などを同社の森 玲音さんに聞いた。

高い技術あってこその群を抜く機能美

ペグハンマー
CARAJAS(TM) ペグハンマー 3900円
——ブランド初期にリリースされた黒くスタイリッシュなタープポールやテントにも驚かされましたが、このペグハンマーはより強いインパクトをシーンに与えましたね。
T字ヘッドが一般的ですから、ストレートタイプは新鮮に映ったはずです。しかし、斬新なのは見た目だけではないんです。軽さもポイント。おそらく、現時点で金属製としては最軽量のペグハンマーではないでしょうか。スムーズなシルエットと相まって、非常に携帯しやすくなっています。私たちのイメージ的にはバイクや自転車で移動する人にぴったりかなと。
使用方法
ハンマーのフックや穴を利用すれば、ペグのタイプに関わらず簡単に抜ける。
——ペグ抜きも兼ねているそうで。
ヘッド部分の形状を利用して引っ掛けたり、すきまに差し入れてねじったりするとラクにペグが抜けます。栓抜きとしても使えるんですよ。
——独特なヘッド形状なのはそのためなんですね!
いろいろと試行錯誤しましたが、「軽くて収納しやすい」というコンセプトと、自分たちができることを追求した結果なんです。私たちは金属加工のなかでも切削が得意。塊から円柱形状に削り出したり、そこに面を作ったり、穴を開けたり……。もっとも長けている技術を活かすと削り出しのストレート形状のヘッドに行き着き、自然とこのスタイルに。

アルミとステンレスの一体化で今までにない使いやすさを

ペグハンマー
誤差が出やすい異素材同士のコンビを、知識と経験によって結びつけた。「金属への知識が私たちのアドバンテージです」。
——軽いハンドルと重量のあるヘッド、接合は難しいのではないですか?
ジョイント部はかなり気を使っています。硬くて重いステンレス製ヘッドに対し、ハンドルは軽いアルミ。比重が異なるので、先端方向に重心があり、振りやすくなっています。
——なるほど。
そして、私たちには長年培った金属に対する知識があります。ヘッドとハンドルの嵌め合い部分は約0.02〜0.03mmしか隙間がなく、アルミ製リベット(部材同士を接合するモノ)で固定。さらに内部に仕込んだゴムのOリングがグラつきを抑制します。自社の技術と知識があったからこそ、鍛造ハンマーとのコンセプトの違いを生み出せたのだと思います。
使用方法
手からすっぽぬけないようループに手を通して使用すること。
——注意点や特別なメンテナス方法はありますか?
ヘッドが負けてしまうため、硬度が高い鍛造ペグには使えません。アルミペグ専用ですのでご注意を。また、濡れていると滑りやすく危険です。使用時は必ずハンドルについているループに手を通してください。


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