FUN! the TOKYO 2020 Vol.24
2019.09.20
LEISURE

オリンピアンが生んだ6つの名言。リスクの先に彼らが見ていたこと

FUN! the TOKYO 2020
いよいよ来年に迫った東京オリンピック・パラリンピック。何かと “遊びざかり”な37.5歳は、 この一大イベントを思い切り楽しむべき。 競技を観るのもするのも、主な拠点となる東京を遊ぶのも、 存分に。2020年の東京を……Let’s have FUN!

伝説的ボクサー、モハメド・アリ。多大な実績と数々のエピソードの陰に隠れがちだが、彼はプロ転向前、1960年のローマ五輪のボクシングで、ライトヘビー級の金メダルに輝いているオリンピアンだった。

そのアリが残した名言のひとつが「リスクを取ることに怯えるような度胸の無いヤツは、人生で何も達成できないだろう」だ。

写真左:AP/アフロ、写真右:ロイター/アフロ

この言葉のように、海外のアスリートの名言には、リスクを恐れず挑戦することの大切さを説いたものが多い。五輪メダリストにしてもそれは同じである。

「自分が立ち向かうべき、より大きな新しい挑戦はつねに存在する。真の勝者は、1つひとつを受け入れていく」
1996年アトランタ五輪 2004年アテネ五輪 女子サッカー・金メダル ミア・ハム(アメリカ)

「失敗と共に生きる。挑戦しないことは、何にもならない」
2004年アテネ五輪 2008年北京五輪 2012年ロンドン五輪 女子陸上短距離・金メダル サーニャ・リチャーズ=ロス(アメリカ)

「選択できるなら、いつも冒険を選ぼう」
2008年北京五輪 ボート・金メダル アダム・クリーク(カナダ)

日本と外国を比較する際によく用いられるのが「失敗」に対する考え方だ。スポーツにしても、ビジネスにしても、いや人生全般においても、日本人は「安全な道が最良」という選択しがちと指摘される。バブル経済の終焉以降、閉塞感が強くなってからは、それが停滞の原因だとも。

ただ、そんな日本でも、成長を続けている企業や、世界レベルで活躍している人は、やはりリスクをとって挑戦を続けているように見える。

気がつけばネガティブな話題に囲まれがちな日本。失敗しないように歩んでいるはずなのに、どこか突き抜けられず、息苦しさから逃れないような気はしないだろうか? もしも、そうなら五輪メダリストたちに習い、ときにはリスクをとって挑戦することも必要ではないだろうか。

かつて体操女子で2度のオリンピックにわたり合計5つの金メダルを獲得した体操女子のレジェンド、ナディア・コマネチ(ルーマニア)はこう言った。

「私は、怖いという理由で挑戦から逃げることはない。むしろ挑戦に向かって突き進む。なぜなら、恐怖を逃れる唯一の方法は、自分の足で恐怖を踏みつけることだからだ」

写真:AP/アフロ
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最後の最後に勝負を分ける精神力
海外オリンピアンたちの“根性論”

日本のスポーツ界で近年よく囁かれるのが、“根性論”の否定だ。何事もハードな練習に耐え、乗り越えたところに成功や勝利があること。指導者が選手にひたすら長時間の練習やトレーニングを課し、ときに暴力も伴う理不尽なシゴキを続け、怠けだと言って休みも与えない。そんな前時代的スポーツの風景は、いまや過去のものになりつつある。

ただ、だからといって「根性」、いわば精神力のすべてが否定されているわけではない。いくら科学的根拠に基づいた効率的なトレーニングで肉体を鍛え、技術を磨いても、最後の勝負所の必要なのは「勝ちたい」「負けたくない」「諦めない」という気持ちだと、多くのトップアスリートが語っている。

そして、その力は限界に挑戦し、困難に耐え、厳しいトレーニングなど自らに与えた課題を最後までやり抜くことで養われる、とも。英語ではそういった力を「グリット(grit)」と呼ぶことがあるが、その意味はまさに「根性」に近しい印象である。

つまり“根性論”の否定とは、「根性」をつけるために取り組まれる、日本の前時代的方法論の否定であって、「根性」自体を否定するものではないのだ。実際、世界の五輪メダリストたちの名言の中にも、彼らが決して「根性」そのものを否定しているわけではないことがうかがえる言葉がある。

「もしあなたがやり切ったと思うなら、少なくともさらに40%はできるよ」
2008年北京五輪 2012年ロンドン五輪 2016年リオデジャネイロ五輪 女子フィールドホッケー代表 ローレン・クランドル(アメリカ)

「私が練習に疲れたとき、自分に私は疲れていないと言い聞かせる、だから、もっと自分を追い込むことができる。もしあなたが疲れた、もうダメだと自分に言い聞かせたら、体はその言葉通りになる」
2012年ロンドン五輪 女子陸上短距離100mハードル・銅メダル ケリー・ウェルズ(アメリカ)

どうだろう? まさに「根性」的な言葉ではないだろうか。

海外のアスリートと「根性」はミスマッチな印象も受けがちだが、彼らの中でもトップを走る人間は凄まじいまでの「根性」の持ち主である。成功する人間が、人並み外れた努力をすることに洋の東西は関係ない。

「厳しい練習にとって代わるものなど存在しえない」
1996年アトランタ五輪 男子テニス金メダル アンドレ・アガシ(アメリカ)

写真:ロイター/アフロ

前時代的方法論による“根性論”が過去のものとされていく日本。だが、根性そのものは決して否定すべきものではないことを、来年我々は目の当たりにするのかもしれない。

 

田澤健一郎=編集・文

# TOKYO2020# アンドレ・アガシ# オリンピック# ナディア・コマネチ# 名言
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