FUN! the TOKYO 2020 Vol.3
2019.03.23
LEISURE

平山祐介さんもスゴいと目を開く。TOKYO 2020の「空手」は瞬き厳禁!

FUN! the TOKYO 2020 
いよいよ来年に迫った東京オリンピック・パラリンピック。何かと “遊びざかり”な37.5歳は、 この一大イベントを思い切り楽しむべき。 競技を観るのもするのも、主な拠点となる東京を遊ぶのも、 存分に。2020年の東京を……Let’s have FUN!

モデル・俳優、そして「空手家」の平山祐介さんも注目

空手歴16年、自身も黒帯を持つ祐介さんに何気なくオリンピックの話をすると、こう返ってきた。「空手はホンっとに格好いい! うまい人の『形』なんか、1人なのに相手が見えるからね」と語る。

さらに、空手は武術なので、相手を倒すこと、そのために自分をコントロールすることが大事だという。「よく言われるのが『実戦は形のように、形は実戦のように』。実戦(組手)で力任せでなくしっかり自分をコントロールできてる人は形も上手いですし、形で鬼気迫るような凄みがある人は組手も強い」。

全日本空手道連盟
写真提供:全日本空手道連盟

「あと、ひと言で空手と言っても流派はさまざま、『武士猿(ブサーザールー)』という小説があって、琉球から始まった日本の空手の分派の歴史が描かれているのですが、これを読むと空手の奥深さや流派の違いが理解できて、競技もより面白く見られると思いますよ」。

『武士猿(ブサーザールー)』(集英社、今野 敏 著)

東京オリンピックでも競技種目に採用された空手。祐介さんも楽しみにするその見方を、競技と選手の両面から見ていこう。

 

空手キッズは、柔道少年・野球少年よりも多い?

空手(空手道)のルーツは沖縄。琉球王朝時代を発祥とする武術・格闘技である。1920年代に沖縄から日本全国へと普及し、第二次世界大戦後に世界へと広がっていった。

今や競技人口は国内の競技登録者で53万人、愛好者となると200万人以上。WKF(世界空手連盟)には194の国と地域が参加し、愛好者は1億3000万人以上と言われている(2018年5月1日現在)。

柔道人口が世界で150万人、同じく野球が3500万人と言われることを考えると、想像以上に世界で愛されているスポーツなのだ。

メディアで取り上げられることも多い女子・組手の植草歩。写真提供/全日本空手道連盟
メディアで取り上げられることも多い女子・組手の植草 歩選手[右]。写真提供:全日本空手道連盟

組手は、いかに「先の先」を取るか

今回オリンピックで採用された競技は「組手」と「形」の2つ。組手は競技のイメージがしやすいだろう。相対する2人の選手が自由に攻め合い、いかに突き、蹴り、打ちを早く、正確に、力強く「極める」かの攻防。簡単に言えば1対1の戦いである。

男女共通して攻撃して良い部位は頭部・顔面・頸部からなる「上段」と、腹部・胸部・背部・脇腹からなる「中段」。3分の試合時間のうちに相手に8ポイント差をつけるか、試合終了時にポイントの多いほうが勝者となる。

同点の場合は「先取」、つまり最初にポイントを得た選手が勝利となり、いかに先取をするかも試合の重要なポイントになってくる。

先取がない、または0−0で終了した場合は、審判5人による判定となる。ポイントの内訳は以下の通りだ。

一本(3ポイント)
1:上段への蹴り
2:相手を倒しての突き

技あり(2ポイント)
1:中段への蹴り

有効(1ポイント)
1:上段への突き、または打ち
2:中段への突き

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日本勢期待の選手は、西村 拳。

「脚をまるで手のように速くコンパクトに動かせるのが西村選手の最大の長所。空手は相手の懐に入ったほうが安全圏になると言われますが、足の柔軟性に優れた西村選手の蹴りに、安全圏はないと言っていいでしょう」と評するのは全日本空手道連盟・広報担当の井出將周さん。

しかし世界中で愛される空手、もちろん海外にも強豪は多くいる。
「例えばアゼルバイジャンのラファエル・アガイエフは、一瞬にして相手の懐に入って技を繰り出し、一瞬で相手から離れる動作が人間離れしたスピードです。東京オリンピックでは日本勢含め混戦が予想されますね」。

男子・組手でメダルの期待がかかる西村拳。写真提供/全日本空手道連盟
男子・組手でメダルの期待がかかる西村 拳選手。写真提供:全日本空手道連盟

さらに通常、空手の組手は男女とも体重別の5階級制だが、東京オリンピックでは階級が統合されて男女とも3階級制で行う点も、優勝予想のしにくさに拍車をかけているという。日本勢の応援はもちろんだが、そんな世界の強者がアンビリーバブルな技の応酬でしのぎを削る大会そのものも純粋に楽しみたい。

……と、組手はほかの武術・格闘技の試合を見慣れていれば、比較的すんなりと入っていける、わかりやすさがある。

それに比べ、一般的に知らない点が多いのは「形」だろう。だが、井出さん曰く「組手に比べれば、形は日本勢がメダルの有力候補」とのこと。これは詳細を知っておきたい。

一人でやる「形」は、何を競うんですか?

形は空手におけるフィギュアスケートのような競技である。空手の突き、蹴り、打ちといった技を、決められた一連の動作(これが「形」)で披露していき、その技の正確さや力強さ、スピード、リズム、極め、バランスなどの優劣を競う。フィギュアスケートでは競技することを「演技」と呼ぶのに対し、形では「演武」と呼ぶ。

形はさまざまなバリエーションがあり、流派ごとに独自の技や構えもある。大会ではWKFが認定する形リストの中から選手が希望する形を選んで演武。それぞれの形には名称があり、選手は演武を始める直前に、その名称を呼称する。

女子・形の清水希容。写真提供/全日本空手道連盟
女子・形の清水希容選手。写真提供:全日本空手道連盟

採点基準は素人にはわかりにくいかもしれないが、形の本質、最大の特徴を知れば、「見方」は理解しやすくなる。

先ほど形はフィギュアスケートのようなもの、と説明したが、形とフィギュアスケートの最大の違いは、祐介さんも言うように形には「敵」が存在することである。

もちろん演武なので実際に相対する敵はいない。つまり、選手は仮想敵、敵がいると仮定して演武を行うのだ。ゆえに、いくら技の動きが美しくスピーディでも、敵の存在を感じさせない、言い方を変えれば実戦的ではない演武の評価は低い。いわばフィギュアスケートにおける「表現力」のようなものである。ゆえにイマジネーションに優れる選手は強い。

「トップクラスの選手ともなれば、演武の突きも、それがどれくらいの重さの突きなのか、つまり、どれくらいの重量の相手にしている突きなのか、その違いも表現しています」。

そこにいないはずの相手が、なんだか見える気がしてくる。それが形の真骨頂なのだ。

形は「技術点(テクニカルパフォーマンス・技術面)」と「アスリート点(アスレチックパフォーマンス・運動能力面)」で採点されるが、近年は形の選手の“アスリート化”が進んでいるという。

「昔は、形は形だけやっていればいい、という認識でしたが、現在はほとんどの選手がウエイトトレーニングなどでフィジカルを鍛えています」。形そのものの技術に加え、一つひとつの動きの力強さやスピードも進化しているというわけだ。

金メダル有力候補、男子・形の王者、喜友名諒。写真提供/全日本空手道連盟
金メダル有力候補、男子・形の世界選手権王者、喜友名諒選手。写真提供:全日本空手道連盟

そんな形の世界トップランナーには、前述した通り日本人選手も多い。特に男子の喜友名諒選手は、世界ランキング1位を安定してマークする実力者。寡黙でストイックに演武を追究する姿は、練習でも、まるで常に強敵が目の前にいるかのような迫力である。

「形の会場は競技が始まるとシンと静まり返り、選手の演武が始まると空手着の衣擦れの音まで聞こえてくる。そして、素晴らしい動きが決まると会場はスタンディングオベーションに包まれます」と、まさに“武術”ならではの醍醐味に満ちている形。ぜひ一度、その目で確認してほしい。

TOKYO 2020「空手」競技の詳細ページはこちら
https://tokyo2020.org/jp/games/sport/olympic/karate/

田澤健一郎=取材・文

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