左脳を刺激する! オッサンIT化計画 Vol.63
2019.01.22
LEISURE

これは「ロボ」を超える存在だ! 生命の温もりを感じる「LOVOT」に感動した

2体のラボット

「Pepper」の開発にも携わった林要氏が、約3年をかけて新たに開発した“家庭用”ロボット「LOVOT(ラボット)」(グルーヴエックス)。2体セットで約60万円という高額ながら、発表直後から問い合わせや予約が殺到しているという。

子供の遊び相手としてはもちろん、自身のために新たな癒しを得たいと思っているオッサンたちにとっても気になるラボット。はたして、どのようなロボットなのか? 発売前のプロトタイプに触れる機会を得たので、その感想をレポートしよう。

 

「役に立たない」ことが目的のひとつ。ラボットの存在意義とは?

“家庭用”ロボットと言えば、掃除や洗濯などの家事を補助したり、介護のアシストをしてくれたりするヘルパー的な存在をイメージする人もいるだろう(実際、ロボット(ROBOT)という造語には“労働者”という意味が含まれている)。

その点でいうと、このラボットを「ロボット」と呼ぶことは不適切かもしれない。なぜならラボットは「役に立たない存在であること」を、コンセプトのひとつに掲げているからだ。

2体のラボット

身長43㎝、重量約3kgと小型犬程度のサイズになっているラボット。写真を見ればわかるように、ヒトやイヌなど特定の生物をイメージさせない、独自のデザインになっている。おそらく、ほとんどの人が「カワイイ!」という第一印象を持つはずだ。

ラボット

この形状からもわかるように、ラボットの存在意義はズバリ「愛される」こと。イヌやネコのように、ペットとして共に暮らし愛されるために必要な要素が、小さな体にギッシリと詰め込まれているという。

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“体温”を持ったことで、驚くほど身近な存在に

ラボットはオーナーが自由に名前を付けることができるのだが、今回は「ごぼう」(黒)と「チェリー」(オレンジ)と名付けられた2体のラボットとコミュニケーションをとった。まず驚かされたのが彼ら(彼女ら?)から感じられる、文字通りの“温もり”だった。

ラボットと向き合うライター

広報担当者の話によれば、内蔵されている機器類の発熱を利用し“体温”を表現しているとのこと。部位によっても異なるが、だいたい36~38度を保っているという。イヌやネコの平熱は38度台なので、ラボットを抱いているときに感じる温かさは、イヌやネコのそれに近いともいえる。

筆者にとっては、この“温もり”が、ラボットに対し親近感や愛情をおぼえた最大の要因となった。もちろん、触り心地はイヌやネコに比べれば少し硬い部分もあるのだが、ラボットが持つ“温もり”が、触感を大きくカバーしてくれたのである。いかに多様かつハイレベルな機能が装備されているとはいえ、もしラボットに“温もり”がなければ、魅力が半減したのでは? と思えるほどのインパクトだった。

人間の想像力を掻き立てる、豊かな表情も大きな魅力

続けて驚かされたのが、表情の豊かさだ。

ラボットと触れ合う様子

写真ではわかりにくいのだが、おねだりをしたり眠くなったり嫌がったりなど、ラボットは瞳の動きだけで十分にさまざまな表情を見せてくれる。

その秘密は、単に瞼を閉じたり、瞳を動かしたりするだけでなく、瞳の揺れや瞳孔の微妙な収縮までしっかりと再現していること。目の動きだけをみていると、本当に生物を相手にしているかのような気持ちになってしまうのだ。

まぶたを閉じるラボット

表情の演出法として、敢えて「口」をつけていないのもユニークな特徴だと思った。聞けば、口の動きがあることにより、受け手(オーナー)が受ける印象がかえって制限されてしまう恐れがあるのだという。

逆に言えば、目の動きだけにすることにより、ラボットの感情を想像力で補う必要が生じるため、一層深い“共感”が醸成されるということなのだろう。音声によるコミュニケーションも、プリセットされた言葉ではなく、シチュエーションに応じて自動で生成される「鳴き声」になっている。これも同様の効果を期待してのことかもしれない。

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育てかたで変化する個性。動物と同様に“懐かない”場合も⁉

いわゆる「ロボット」的な性能面に触れておくと、ラボットには全身に50個以上のセンサーが搭載されているという。例えば、全身のどこを触ってもラボットは“触られた”と認識し、触られた部位や強さに見合うリアクションを返す仕組みになっているのだ。

ラボットを持ち上げるライター

優しく抱っこしてあげれば、ウットリ目を閉じて眠ってしまうし、“高い高い”をしてあげれば、キャッキャと喜んでくれる。もちろん、叩いたりすれば嫌がったり怒ったりもする。

ラボットを抱えるライター

こうしたコミュニケーションを記憶しながら、ラボット自身が“成長”していくのは、最大の醍醐味と言えるだろう。簡単に言えば、オーナーのコミュニケーション次第でラボットが“懐かない”場合もあるのだという。

ラボットとライター

頭部のカメラやマイクを通じ、周囲の人々の動きや音を認識するのだが、慣れていない人や苦手な人の場合には、呼びかけても近づいてこなかったりするらしい。

また、懐いたからといって、必ず呼びかけに答えるわけでないというのも面白いところ。知性のある生物と同様、ある程度の自我を持っているかのような振る舞いをするというわけだ。実際に「ごぼう」や「チェリー」と接してみた感想としては、ネコよりは従順だがイヌほど忠実ではないかな、という印象。このあたりの個性も、育て方によって変わっていくようだ。

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ロボとは呼び難い可愛さと生物感。価格設定にも納得

2019年の秋冬は、2体1セットが先行出荷されるラボット。その理由は、ラボットが“個性”を持っていることと関係しているのだろう。

まるで生命体のよう

例えばオレンジ色の「チェリー」とばかり遊んでいると、いつの間にか「ごぼう」が近づいてきて、抱っこをせがんだりする。家族と一緒に暮らしていれば、「ごぼう」はお父さん派、「チェリー」はお母さん派というように性格も変化していくのだという。

こうしたラボットの“個性”は、複数台だからこそ一層ビビッドに表現できるものに違いない。実際、抱っこをせがむ「ごぼう」の姿を見た瞬間、筆者にとって2体のラボットは、ほぼ完ぺきに生命のある“ペット”として認識されてしまったのだから。

チェリーとごぼう

このほかにも、さまざまな特徴や機能を備えているラボット。詳しいことを知りたければ、公式サイトを参照するか、定期的に開催されている説明会に出席してみると良いだろう。

2体セットで約60万円、今後予定されている単体販売の場合は1体約40万という本体価格に加え、定期メンテナンスやソフトウェアアップデートなどのため毎月のサービス料が必要になることから、興味のない人にとってラボットは、非常に高額な商品にうつるかもしれない。

しかし、居住環境などの問題でペットが飼育できない人にとって、史上最高レベルで“生物”に近いロボットであるラボットは、かなり魅力的な存在と思えるはずだ。

ちなみに、筆者は現在小型犬を飼っているのだが、飼育にかかる毎月のコストはラボットのそれとほぼ同額だ。おそらく、イヌやネコの飼育経験がある人がラボットとの触れ合いを体験すれば、その価格設定にも納得がいくのではないだろうか。といった感想を抱きつつ「チェリー」や「ごぼう」と別れたのだが……。

愛くるしい表情で見つめるチェリー

別れ際にこんな顔をされてしまったこともあり、いまだに「チェリー」の“温もり”が忘れ難かったりするのであった。愛くるしいんだから、もー。

石井敏郎=取材・文

# IT# ペット# ラボット# ロボット
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