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2018.09.09

あそぶ

登り疲れたら休めばいい。男がカジュアル登山にハマる理由

連載「山カジのススメ」Vol.1
深い緑、広がる雲海……大自然にどっぷり浸かり、登山を楽しむ男たちが増えている。その理由のひとつは、ひと昔前と異なるそのスタイル。ここ数年盛り上がっている登山のカジュアルな楽しみ、略して“山カジ”を、日帰り登山を通じて体感してみよう。

日々に追われ、身も心もどこか窮屈さを感じ始める働き盛りのオーシャンズ世代。大自然が癒してくれるからか、最近はアウトドアフィールドに趣味を見つける人が増えつつある。中でも、登山は今まで見たことのない雄大な景色と、登りきった後の充実感からハマる人が多いという。
とはいえ、すっかり丸みを帯びたお腹を抱え、体力も落ちてしまったオッサンたち。いきなり“登山”と言われると「本当にこの体でできるのか?」とハードルの高さを感じてしまうが、ご安心を! 日帰りで比較的ラクに登山を楽しめるとの情報をキャッチした。
そこで「日帰り登山」について、アウトドアライターとして活躍する猪野正哉氏に教えを乞うことに。ライター業のほか、千葉県にあるアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ〈いの〉」も運営しているアウトドアマンだ。

登山の大ベテランは、アパレル出身

じつは猪野さん、今でこそアウトドア漬けの日々を過ごしているが、以前はアパレル業界に身を置き、雑誌モデルとしても活躍。意外にも登山を始めたのは30歳を過ぎてからだそう。
「以前はアウトドアからかけ離れた人生でした。登山を趣味に持つ友人が、たまに誘ってくれることはありましたが、どちらかと言えばアウトドアに興味のないタイプで、行こうとすら思わなかった(笑)。その頃アパレル業界で働いていたのですが、いろいろなことが重なり精神的に病んでいた時期だったんです」。
 

登山道=人生の軌跡? 振り返る・立ち止まることが大事!

そんなこともあり、深く考えず友人の登山についていくことになったそうだが、初回は神奈川県南足柄市にある明神ヶ岳から。標高1169mで初心者にも優しい比較的低い山だ。
「初めて登って感じたのは、自分はなんてちっぽけなんだ、ということ。自然の中で人間はいかに非力なのかと実感しました。そして、登山ってストイックなイメージがあったんですが、その考えが変わりましたね。途中で何度も立ち止まるし、疲れたら座って休む。後ろを振り返って登ってきた道を確認する。そんな工程が、人生の進み方に重なって思えてきました。そこから精神的にも落ち着き始め、登山にはまっていきました」。

高い山に挑戦する、それだけが登山の醍醐味ではない

専門誌で登山について執筆活動を行う猪野氏だが、比較的登りやすい山に行くことが多いそう。しかし、登山の醍醐味と言えば、つらい登山道を乗り越え、高い山の頂上から見る絶景!というイメージが強いが、実際のところはどうなのか。
「僕は、辛い思いをしてキレイな景色を見る、ということだけがすべてではないと思います。頂上ギリギリまでクルマで行けるならクルマで行ってもいいと思っています。ラクに絶景を拝めたらそれが一番(笑)。それに、キレイな景色は高い山の山頂だけに広がっているわけでもない。日本中の山には、低くても景色が最高な山もたくさん。高さが山の魅力だと思うのはもったいないです」。

ラクしていい! だから初心者も始めやすい

登山と聞くと“高い山” “長時間登る”など、体に鞭打ってストイックに山を歩き続けるイメージが強い。だが、インタビューを終えると、低い山でも登山の楽しみは変わらないし、意外とがんばらなくていいことがわかった。「体ができてないから」とか「道具がそろってないから」など、あれこれ理由を付けて挑戦しないよりも、まずは登ってみる。ここからすべてが始まるのだ。
次回は気になる装備について、教えてもらう。まずは行楽シーズンに向け、一足先に山デビューの準備を進めてみよう!

澤田聖司=撮影 金光輝子=文


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