OCEANS

SHARE

2017.08.09

あそぶ

文化系オッサンこそ始めたい5400円の手ぶらサーフィン


週末ふらっと海に出かけて、いい波のあるビーチで、初心者にサーフィンをきちんと教えてくれる。しかも手ぶらで5400円。誰でも気軽に、あこがれのサーフィンを自分のモノにする簡単な方法があるのだ。

37.5歳文化系こそ始めたいサーフィン

男子は、生まれてすぐ「動く乗り物」を好きになる。クルマ、電車、飛行機だ。
やがて成長し「男」になったら、動く乗り物を操る喜びを知る。免許を取ってバイクやクルマを走らせる。さらには、スキーやスノボ、そしてサーフィン。
動く乗り物への欲望は、思い通りに動かす快楽だけでなく、自分の体だけではとても到達できない世界を見せてくれることにあるのではないだろうか。
と、語っている時点で文化系である。
そんな文化系オッサンが、最も到達しにくい世界、それがサーフィン。
場所が限られる。ギアとか高そう。ルールやマナーが分からない。そもそも海ってキャラじゃない。と「できない理由」を挙げればきりがない。しかし唯一、そして最大の「できる理由」がここにある。
たった5400円(税込)で手ぶらでサーフィンデビューができる。
37.5歳を越えて、社会に家庭に人生を置きに行く人と、ちょっとだけ冒険したくてウスウズし始める人の2種類いるとすれば、後者の人にとって5400円はあまりに格安ではなかろうか。
というわけで、文化系オッサン、夢のサーフィンデビュー。
はじめてのサーフィンこそ、いい波を選びたい。
今回訪れたのは千葉県一宮町にあるサーフショップ「CHP(カリホルニアハワイプロモーション)」。都心からクルマで90分程度で行ける九十九里浜の最南端エリアに位置する。週末ドライブにも最適なロケーションだ。

都心近くでサーフィンと言えば、湘南・辻堂あたりが格好いいと思う人もいるかもしれないが、文化系にとって湘南は鬼門である。一言で言えば、イメージ的にキラキラしすぎていて気後れするのである。
それに比べて一宮町は、のどかで時間の流れもゆったりしている。また、サーフタウンとして街ぐるみでサーフライフを推奨し、サーフィン好きが高じて住み着いてしまった人生の先輩になり得そうな男たちも多い。
イメージだけでなく、九十九里浜は日本有数のサーフポイント。エリアによってさまざまな種類の波を楽しめるだけでなく、「トロ波」といってブレイクした後、ゆっくりと流れていく波が安定して現れるエリアもあり、これが初心者には最適なのだ。

ほんとに手ぶらでサーフィンを始める。

かつてはカタチから入るのが男の美学であり、サーフィンともなれば、まずはギアを揃え、そのためにクルマを購入し、といった経済的負担の大きいイメージがあるが、最近は手ぶらデビューが主流なのだそうだ。
「まずは、波を楽しむこと。そこから自分のスタイルを決めていけばいいのでギアは後のほうがいいですよ。」
と、今回レクチャーしてくれる岡野さん。こちらのサーフィンスクールでは、同時に4人まで参加できるので、ひとりはもちろん、夫婦や、仕事仲間と一緒に参加するのもいい。

さっそくウェットスーツに着替えて、ボードを手にする。
身長180㎝と無駄にでかい筆者にはロングボードが最適なのだそう。
「コスト面や、持ち運びを考えてショートを選ぶ人もいますが、ロングの方が断然波の上での安定性が高いので、初心者はロングを毎回借りて練習するのがいいでしょう。」(岡野さん)

そして、ショップから5分程度歩いて、いよいよビーチへ。
まずは、砂浜上で、簡単なレクチャー。波に乗るとはどういうことか? 海に入った後の動きの説明。さらに、ボートに乗るためのコツを教わる。

「動く水の上をすべる感覚だけでも楽しいですよ」(岡野さん)
たしかに、子供の頃から男子に本能的に備わっているかもしれない動く乗り物への欲望の中で、水の上に乗るというのは格別の体験だ。立っていようが寝そべっていようが、水の上を滑るというだけでワクワクしてくる。
とはいえ、今日の目標はボードの上に立つこと。
全くの初心者の場合、先生が掴んでくれているボードに寝そべった状態で海上に待機し、良い波がくるタイミングで先生が手を離す。そして、波の流れに乗って、立ち上がる練習を繰り返していく。

「個人差はあります。1時間経っても立てない人もいれば、数回でできる人も。でも一度立ってしまえば、そこからは体が覚え始めるので、とにかくどんどんやってみましょう」
最初の数回は、やはり立つタイミングが分からず、バランスを崩してしまう。だが、思ったほどの怖さはない。波に飲まれる恐怖を勝手に想像しがちだが、トロ波であれば動きもゆっくりで、かつ遠浅の浜なので、足も立つ。

しかし、何度かやっていくうちに、「要は、板の上に立つだけじゃん!」という心境にもなってきて、深く考えずにすっと、立ちあがってみると……
できた!

筆者は、4回目でボードに立てた。
そこからは、最初の成功イメージを持ちながら、安定して立てるよう、練習を繰り返す。滑り台を何度も繰り返す子供のように、すべる歓びを感じながら、立ったり、すっ飛ばされたりしているだけで楽しいのである。
約100分ほど楽しんだところで、この日は終了。さすがに、初めてのため、今まで使ったことない筋肉を酷使するので、最後のほうは踏ん張りがきかなくなり成功率も落ちてくる。
「明日は筋肉痛ですよ(笑)」
動く水の上をすべる楽しさを存分に味わえたのだから、とても心地良い筋肉痛であることは間違いない。
次のステップは、ボートに立つ練習を何回かこなした後、ボードの上に寝そべって、波に向かって手こぎするパドリング、そしてターンへと進む。またレッスンを受けながら、波の種類やマナーなどを教わって知識も増やしていく。個人差はあるが、4回ほどレッスンを受ければ、あとはひとりで楽しむようになっていくという。
一宮には、プロサーファーや、レジェントな人たちも沢山訪れているのだが、みんなフレンドリーで初心者にも温かいまなざしで受け入れてくれる。とにかくみんな笑顔がいい。本当にまた来たくなる。
「日にちを置かずに繰り返したほうがいいですが、皆さん忙しいと思いますので、とにかく習慣化することが大切です。週に1回。せめて月に2回のペースで続けたいですね」
できるできないを超えて、思った以上に波と遊ぶ感覚を楽しめたサーフィンデビュー。暑い夏こそ始めたい。
次回は、「はじめてのサーフィン」の魅力について、今回レクチャーしていただいた岡野さんに詳しくお話を聞いてみた。
【ショップ情報】

CHP(カリフォオルニア ハワイプロモーション)
住:299-4303 千葉県長生郡一宮町東浪見7428-3
問:0475-42-4626
営:月−金 8:00-18:00 土・日・祝 6:00-19:00
休:年中無休
www.chp.co.jp
取材・文=島崎昭光
撮影=PAK OK SUN



SHARE

次の記事を読み込んでいます。