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2017.05.12

あそぶ

雨に濡れたら? 梅雨の季節の革靴ケア/週末靴磨きの極意(2/4)


「週末靴磨きの極意」を最初から読む
オシャレは足もとから。手に入れたいい革靴を履きつぶしてしまうのは、極めてもったいない。靴磨きは身につけておいて損のない男のたしなみといえる。週末に念入りに磨き込む作業を趣味の域に高めてしまえば、きっと靴を育てる喜びを感じられることだろう。目指せ20年モノ!
靴は、出かける度に履くもの。ローテーションを重ねるお気に入りのエース級には、定期的な靴磨きに加え、日々のお手入れも施してあげたいところだ。
「一般的な革靴なら、定期的な靴磨きだけでじゅうぶんですよ。ただ日々のちょっとしたお手入れや、天候不順時などの緊急ケアも大切ですね」

こう教えてくれたのが、靴磨き職人として注目を集め、各地で靴磨きのテクニックをレクチャーする明石 優さん。では具体的に、どんなお手入れが求められるのだろう。
デイリーケアの基本は、ブラッシングと型崩れ防止
「帰宅したら、馬毛の柔らかいブラシでホコリを払ってあげましょう。履く前にもサッと払います。また大切なのが、シューツリーです。革靴は放っておくと、どうしても上に向かって剃ってきてしまうんですね。型崩れを防ぐためには、保管時にぜひ入れて下さい。けっこうギチギチに入れてしまって大丈夫ですよ」

ポイントは、入れるタイミング。帰宅してすぐにシューツリーを入れると、湿気がこもってしまう可能性があるという。そこで翌朝、出かけるときに別の靴を履いたときに、シューツリーを入れるのがベストだとか。

「あとシューツリーの選び方ですが、湿気を吸収してくれる表面コーティングのない木製のものを選びましょう。またバネでテンションを掛けるものがありますが、これはNG。甲に向かって圧力が掛かり、形が崩れてしまいますからね」
起毛素材には、防水スプレーをお忘れなく
さて、革靴の素材は光沢のあるカーフやコードバンばかりではない。スウェードやヌバックといった起毛素材の革もあるけど、日々のお手入れは同じでいいのだろうか。

「馬毛のブラシでホコリを払うことに加えて、欠かせないのが防水スプレーです。出かける直前で構いませんので、定期的にスプレーを吹いてあげてください。特にこれから梅雨の時期ですから、防水力を高める裏ワザもご紹介しましょう。防水スプレーを掛けた後に、ドライヤーで乾かすんです。そうすることでフッ化炭素の結合が高まるんですよ」

最近の防水スプレーは高性能で、汚れもほとんど付かなくなるとか。ただし気をつけたいのが、カーフやコードバン、パテントといった光沢のある革に防水スプレーを塗布すると、光沢がなくなってしまうことだ。
光沢素材の革は、雨染み防止のアフターケアを
では、うっかり光沢のある革靴で雨にたたられてしまったら、どう対処すればいいのだろうか。
「靴磨きの最後に掛けるワックスは、ロウでできています。だから定期的な手入れを怠らなければ、水を弾いてくれるんですね。またその際にクリームを塗り込みますが、これも革に保湿効果をもたらすので、雨水の浸透を防いでくれます。しかし土砂降りの際はどうしても靴の中に水が入ってきてしまいます。そうしたときは、帰宅後に丸めた新聞紙を中に詰めて脱水しながら、陰干ししてあげましょう」

また表面の雨染みが心配なときは、こんなテクニックを用いるといいとか。
「絞ったタオルで表面を拭き、まんべんなく“きれいに”濡らしてあげることです。雨染みの原因は濡れた部分と乾いている部分の境目なので、そこをボカしてあげるんです」
日々のケアと定期的な磨きで、一生モノに育つ
明石さんによると、定期的な靴磨きと上記で紹介したような日々のお手入れを積み重ねることで、ゆうに20年は持つのだとか。
「お手入れをすることで、履き心地もどんどんよくなりますから。うちのお客様にもいますが、長い方では40年履けますよ。靴は履きながら育てる楽しみがあります。安物はすぐダメになってしまいますが、ちょっといい靴にはそれだけのポテンシャルがあるんです」
手を掛けた分だけ、どんどん馴染んでいくのだ。こうして大事に育てた革靴は、もはや身体の一部のようになっているハズ。目指せ一、生モノ!
■教えてくれた人

明石 優
靴育て研究家/絵描き。茨城出身。2006年靴磨きを始める。2008年シューズラウンジ brift Hが南青山にopen、百貨店、一流アパレルブランドのイベントなど靴磨きパフォーマンスを経験。2011年独立。現在、世田谷ものづくり学校内『自由大学』、熊谷『NEW LAND』などさまざまな場所にて日本には数少ない靴磨きの講師として活躍。 靴のケアをより身近にしてもらいたい想いで代々木公園にてaozora shoe shine schoolも開講中。 この時代だからこその靴磨きの大切さと奥深さを伝え、靴を手入れすることを歯磨きくらい当たり前の文化へ発展させていく。
吉々是良=取材・文
小島マサヒロ=撮影
■緊急告知!「オーシャンズ」読者向けワークショップを6月25日(日)に開催!!
※第二回の募集は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。
靴磨きは奥が深い。自分の靴をよりよく育てたいのであれば、明石さんに教えを請おう! そこで「オーシャンズ」の読者に向けたワークショップを開催。一般読者もエントリーできるが、定期購読者なら無料。つまり持っていくものは自分の靴だけ! プロの技をしっかり身につけて、週末のケアタイムを充実させてみては?
日時:6月25日(日)
①午前の部 11:00〜12:30(10:30受付開始)
②午後の部 14:30〜16:00(14:00受付開始)
場所:Creator’s District
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-1 TOC第2ビル
*部屋番号は当選者に追って告知を致します。
定員:各回12名、合計24名
持ち物:革靴
*スウェードタイプや起毛素材のシューズはご遠慮ください。
*お持ち頂く革靴の色は問いません。
参加費
・雑誌OCEANS定期購読者:無料
・一般読者:¥3,000
*雑誌OCEANS定期購読者の方は、お連れ様1名まで無料です。
*一般読者の方は当日会場にて現金でのお支払いとなります。必ずおつりのないようにご用意ください。
締め切り:2017年6月1日(木)
*当選者の発表は、メールの発送をもって代えさせていただきます。

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