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2017.04.06

あそぶ

10円ゲームに挑戦!駄菓子屋ゲーム博物館には懐かしさと夢が詰まっていた

駄菓子屋の店先で、子供たちをトリコにした懐かしのゲーム台たち


ボクが「それ」に初めて出会ったのは、小学校に入りたての頃。家から歩いて5分くらいの場所にある、ドブ川沿いの小さな駄菓子屋さんだった。点滅する電飾がまばゆい電子ルーレット。レバーで10円玉を弾きながらゴールを目指すゲーム。そしてたくさんのギミックが用意されたパチンコ台…。ミッションを成功させれば、駄菓子やオモチャと交換できるメダルやプレートが手に入る「それ」は、昭和後期の子どもが最初に体験する、ちょっとしたギャンブルでもあった。
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ビデオゲームの登場で、気づけば駄菓子屋の片隅に追いやられ、やがて消えていった「それ」。駄菓子屋自体も見かけなくなってしまった現在、「それ」は「駄菓子屋ゲーム」と呼ばれるようになり、ひそかに再脚光を浴びているという。懐かしの「駄菓子屋ゲーム」に再入門すべく、今回は知る人ぞ知る“聖地”へと向かったのである。

実は短かった黄金時代。駄菓子屋ゲームの歴史に迫る

都営三田線、板橋本町駅から徒歩数分。昭和の面影が色濃く残る小さな商店街の中腹にある、その名も「駄菓子屋ゲーム博物館」。館長の岸昭仁さんが収集した百数十台の駄菓子屋ゲームのうち、入れ替わりで常時六十台ほどが展示されている、まさに駄菓子屋ゲームの“聖地”的存在だ。

館内ところ狭しと展示されている駄菓子屋ゲームは、岸さん自身のメンテナンスにより、もちろん現役でプレイ可能。当然のごとく、一角には駄菓子の販売コーナーもある。ちなみに「駄菓子屋ゲーム」という総称も、館長の岸さんが考案したものという。
「駄菓子屋ゲームの最盛期は、昭和50年代前半。それ以前にも“パチンコ系”のゲーム台は存在していたんですが、『新幹線ゲーム』に代表される“10円はじき系”や『ピカデリーサーカス』のような“ルーレット系”の登場により一大ブームとなったんです。とはいえ、そのブームもビデオゲームが登場する50年代後半までのこと。その後は残念ながら衰退の一途をたどることになります」(岸さん)
30代後半から40代のオッサンたちにとって馴染み深い駄菓子屋ゲームだが、実は我々は短い黄金時代をリアルタイムで体験した数少ない世代というわけだ。

『新幹線ゲーム』攻略のカギは、豊富な資金力ではなかった!?

駄菓子屋ゲームと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのが、コレだろう。

そう、“10円はじき系”の代表『新幹線ゲーム』である。昭和後期に子ども時代を過ごしたオッサンであれば、これで遊んだことがない人のほうが少ないのではないだろうか? とはいえ、人によっては「オレが遊んだのはコレじゃない!」思うかもしれない。実はこの『新幹線ゲーム』には盤面デザインや素材などが違うバリエーションが複数存在するという。今回挑戦したのは、その中でも比較的メジャーな『Ⅱ』だ。

我らオッサンにとって新幹線といえば、この「0系」に決まってますよね! ロゴのデザインも昭和を感じさせるカッコよさである。


盤面に描かれた東海道の風景も、まさに昭和そのもの。筐体を眺めているだけでも、うまい棒10本は食べられる素晴らしさだが、そんなことをしていると、あの頃なら確実に「駄菓子屋のオバちゃん」にドヤされるはず。さっそく再挑戦だ。

プレイ料金として投入した10円玉が、そのままゲームの“ボール”になってしまうという、今思えばかなり画期的な仕組みになっている『新幹線ゲーム』。言うまでもないが、左右のレバーで10円玉をはじきながら、最下段の「あたり(博多)」まで運ぶことがゲームの目的となる。

言うだけなら簡単だが、実際に「あたり」まで運ぶのは至難の業。皆さんのなかでも「あたり」に入った経験のある人って、かなり限られるのではないだろうか? とはいえ、こちとら人生経験ウン十年のオッサンだ。培った根気とスキル、そして(子ども時代に比べ)豊富な財力があれば、夢の「すばらしい景品」をゲットすることができるはず!!!!! …と思ったのだが。
まぁ、これが相変わらず難しいんですよねぇ。満を持して用意した50枚の10円玉が、みるみる吸い込まれてしまう。むしろ大人の余裕で10円玉を用意し過ぎたため、1枚に懸ける想いが足りなくなってしまったのが敗因だったのかもしれない。結局、用意した10円玉の大半を費やし達成できたのは、これだけだった。

これ、覚えている人います?? その名も「貯め打ち(地域によって呼び名が違うかも)」。ゴール手前に複数枚の10円玉を貯めてはじくことで、「あたり」に入る確率を高めるという『新幹線ゲーム』定番の裏ワザだ。まぁ、これでも「あたり」は出せなかったわけだが、この「貯め打ち」だって当時は滅多に成功できなかったことを思えば、大人になった自分を褒めてあげてもよいのではないですかね…。
ちなみに「駄菓子屋ゲーム博物館」館長の岸さんには、ズバリ『日本懐かし10円ゲーム大全』(辰巳出版)なる著書がある。

岸さんのコレクションを中心に、数多くの「駄菓子屋ゲーム」が写真付きで紹介されており、特に『新幹線ゲーム』に関しては、「貯め打ち」を初めとする裏ワザの数々から、ポジションごとのレバーをはじく強さの目安まで詳しく解説された攻略ガイドつきという豪華さ。この記事を読み、『新幹線ゲーム』で遊んでみたくなった人は、ぜひこの著書を読みこんでから博物館へと足を運んでほしい。

取材・文:石井“しんみせ”敏郎

取材協力:岸昭仁(駄菓子屋ゲーム博物館・館長)
●駄菓子屋ゲーム博物館
http://dgm.hmc6.net/
●『日本懐かし10円ゲーム大全』
http://amzn.asia/0YeYvlL
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