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2017.03.09

あそぶ

オッサンは電子回路の夢を見るか? ~『電子ブロック』再入門①~

オッサン世代にとって“高嶺の花”だった、憧れの教育玩具『電子ブロック』


子どもの頃に“憧れた”ホビーには、大きく分けてガンプラのように「坊やゆえ、上手に作ることができなかったもの」と、「憧れはしたものの、お財布事情などの都合で手を出すことができなかったもの」の2つがある。今回の『電子ブロック』は、筆者にとって後者の代表格。同世代のオッサンも存在は知っていたものの、実際に触ったことがないという人のほうが多いのではないだろうか?
「”あの頃”ホビー再入門」を最初から読む
あらためて紹介すると『電子ブロック』とは、1963年に名古屋の発明家・野尻孝氏が考案した、電子回路の教育玩具のことだ。トランジスタやダイオードといった電子部品をブロックに収納することで、ハンダ付けなどの工作を必要とせず、子どもでも簡単に電子回路の実験ができる、今なお画期的な発明品である。

ブームの最盛期を迎えるのは、1970年代後半のこと。野尻氏が興した会社「電子ブロック機器製造」と学研(学習研究社/現・学研ホールディングス)との業務提携により発売された「EX」シリーズの登場により、日本のみならず海外にも知られるヒット商品となる。30代後半から40代のオッサンなら、『EX-150』(1976年発売)のラジカセのような独自の形状を、デパートの玩具売り場などで目撃した人も多いだろう。ファミコンはもちろん、マイコン(パソコン)ブームの到来以前、最先端の知的ガジェットといえば、ダンゼンこれだったのである。
とはいえ、この『電子ブロック』。どのご家庭でも必ず見かける、というほど気軽な存在ではなかった。最大のネックは、その価格。『EX-150』は1976年当時の価格で1万3000円と、ほかの「玩具」に比べ、かなりなお値段。パーツ数が少ない廉価版もあったし、「勉強に役立つ」という大義名分を振りかざすことができたものの、それでもお母さんの支持を得るのは難しかった。まぁ、それだけの金額を出してもらえるなら、別のオモチャを選んでたってのも、筆者のような「フツーの子ども」のリアルでもあったわけですが…。
そんな次第で結局、この歳になるまでキチンと体験することができなかった『電子ブロック』に、いよいよ挑みますよ!

今でも買える『電子ブロックmini』。まずは装置自体を組み立てることから!?

今回、初体験の相手に選んだのは、現在『電子ブロック』を体験するために、もっとも安価なチョイスとなる『大人の科学マガジンVol.32/電子ブロックmini』(学研プラス)である。

テルミン、ドローン、卓上ロボット掃除機など、豪華かつ大人の科学心をくすぐる「ふろく」で根強い人気を誇るムックシリーズ『大人の科学マガジン』の第32弾。「mini」というだけあって、ブロックの数も少ないが、それでも基本50種類の電子回路を作ることができるという。価格は約4000円。数年前に『EX-150』の復刻版も発売されたが、こちらは残念ながら販売終了となっており、すでにプレミア価格がついていることもあるようだ。

「ふろく」の封を開ければ、そこには当時の少年たちが憧れた『電子ブロック』の姿が。確かにサイズこそ小さいが、『EXシリーズ』をベースとしたクールかつインテリジェンスを感じさせるルックスは、あの頃とまったく同じ。いかにも、賢い遊びができそうである。早速取り出して実験開始! と思ったのだが…。なんとこの『電子ブロックmini』、最初に自分で組み立てしないと動かせないのであった。ここらへんは、さすが『大人の科学マガジン』。そういえば、小学生の頃購読していた「〇年の科学」の「ふろく」も、自分で工作するのが基本でしたな。

とはいえ使用するのはドライバー1本。スピーカーをネジ止めしたり配線したりなど、簡単な工程のみで組み立ては完了する。思い出してみれば、こんな電気工作をするのも数十年ぶりかも。「赤い線をRの穴に、グレーの線をGの穴に、黒い線をBの穴に取り付ける」なんて手順が、いかにも「装置」を作っている感じで、眠っていた男の子マインドをくすぐるんですよね。

だいたい20分程度で本体の組み立て完了。“本物”の『電子ブロック』に触れたことがないせいもあるだろうが、「ふろく」とはいえ『電子ブロックmini』の質感は、なかなかのもの。さぁ、いよいよ回路を組みまくるぞ!! って、いったい何を作ればいいのかしら…? 次回は、『電子ブロック』であんなコトやこんなコトにチャレンジしたいと思います。
文:石井ノ森チックン郎
(C)Gakken Plus Co.,Ltd.
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