2020.05.21
HEALTH

“筋肉と腱が伸びる能力” は大切。体が硬い男性に勧めたい「1分ストレッチ」

当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちらから。

科学的アプローチを取り入れたエクササイズで、下半身を柔らかくするストレッチを紹介していきます(写真:buritora/ PIXTA)
科学的アプローチを取り入れたエクササイズで、下半身を柔らかくするストレッチを紹介していきます(写真:buritora/ PIXTA)

昨今、「体を柔らかくしたい」というニーズが高まっています。体が硬いとケガをする危険性も高くなりますし、柔軟性は高めておきたいものですが、「いい歳(とし)だからもう無理かな……」と諦めてしまっている人も多いかもしれません。

ですが、「どんなに年齢が高くても、体は柔らかくできる」というのは、フィギュアスケーターなどのプロアスリートから一般の人々まで幅広く指導を行うストレッチデザインの村山巧氏です。70代の高齢者もベターッと開脚できるようになるという、科学的で簡単な新ストレッチを教えてもらいました。

柔軟性が低いとケガをしやすくなる

私は、プロアスリートだけでなく、一般の方々にも柔軟クラスを開催していますが、とくに体の硬い方からのリクエストでは「前屈でベターっと手を床につけたい」というものがいちばん多いです。

柔軟性を手に入れることは、「できた!」という達成感のためだけではありません。柔軟性、イコール“筋肉と腱が伸びる能力”は人間にとって非常に大切なものです。柔軟性が低く体が硬いと、ケガをしやすくなってしまいます。体が硬くなってしまったお年寄りにケガが多いのは、このことも大きな原因です。

ですが、「歳(とし)だから硬いのは仕方ない」かというと、そうではありません。体が硬くなる本当の原因は加齢自体ではなく、ストレッチ不足にあります。人間の体は使わない筋力や機能は年齢に関係なくどんどん退化するようになっています(難しい言葉では「廃用性萎縮」といわれます)。

例えば、足を骨折してギプスで固定し、1カ月間病院のベッドで寝たきりになると、筋力に自信がある20歳の男性でも驚くほど足が細くなってしまいます。逆に、80歳のおじいちゃんボディビルダーがいるように、日々鍛えていれば高齢であっても筋肉は成長します。

体の柔軟性も同じです。つまり、年齢に関係なくストレッチを日々の習慣にしていれば高齢者であっても体は柔らかくなりますし、していなければ若くても体は硬くなります。

実際に、クラスで私が指導する「PNF(脳科学)」×「筋膜リリース」の2つの科学的アプローチを掛け合わせた手法を実践していた75歳の女性が、ベターッと開脚できるほど柔軟な身体を手に入れています。

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ストレッチを日々意識的に行わないと、日常生活の中では必要ない柔軟性がどんどん失われ、どんなに鍛えた人でも「普通の人」になっていきます。

前屈で手がベタっと床につくというのは、体の柔軟性を表す1つの指標です。

そこで今回は、前屈ができない参加者の皆さまから「魔法みたい」と言われる、簡単なエクササイズをご紹介します。

最短で効果を出す“トップギアストレッチ”

先述したとおり、私の確立したストレッチは、「PNF(脳科学)」×「筋膜リリース」の2つの科学的アプローチの観点を取り入れたものです。

PNFとは、もともとリハビリの世界で発達した筋コンディショニングの手法であり、筋肉を強く収縮させた後に弛緩させることで脳の運動系の神経を刺激し、短時間で筋肉や関節が本来持っている可動域を覚醒させるというものです。このPNFに基づくエクササイズを「脳科学アプローチ」と呼んでいます。

筋膜という名前は近年、よく耳にするようになりました。筋膜は全身を覆っている薄いボディスーツのようなイメージで、筋肉を保護したり、結合したり、円滑に動かせるようにする働きがあり、「第2の骨格」と言われるほど重要な役割を持っています。

この筋膜はずっと座っていたり、スマホを見続けたり、いつも右手でカバンを持って歩いたり、といった普段の生活のなかで一部の筋肉を使わずにいたり、逆に一部に負担をかけたりすることでどんどんゆがんでいきます。軽微な歪みは入浴・睡眠で解消されますが、ゆがみを放置すると次第に筋膜は固着して動きが悪くなってしまいます。

『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』(かんき出版)
『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』(かんき出版)

それが長年蓄積されると筋膜はいつしかガチガチにコリ固まり、筋肉や関節の可動域を制約するようになっていきます。

固着した筋膜のゆがみを正し、あなた本来の可動域を取り戻すエクササイズが筋膜リリースです。

前屈の際には頭から足裏まで体の後ろ側全体が伸びるのですが、ここでは経験上、とくに効果の大きい3カ所(足の裏/ふくらはぎ/ももの裏面)を取り上げます。

これらのストレッチは、最短で効果を出す“トップギアストレッチ”です。体の硬さには絶大な自信があった57歳の男性が、たったの8分のストレッチで床に指がつくようになるといった例も多数ありますし、今では「柔軟王子」というありがたい愛称をいただいている私も、27歳まではガチガチの超合金のような体でした。

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皆さんも、ご自身の体がどれだけ柔らかくなるかを確かめながら楽しく行ってみてください。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

脳科学ストレッチによるアプローチ

脳科学アプローチでは、①短時間負荷をかけて抵抗し、②脱力する、という動きが特徴です。1、2で息を止めて力を入れる、3で大きく息を吐いて脱力、をリズミカルに繰り返します。「イチニ、サーン」と覚えてください。

<足の裏の脳科学ストレッチ>

手でつま先を反らすように力をかけ、足の裏の力で2秒抵抗したら、2足の裏を2秒脱力します。3回繰り返します。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)
(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

<ふくらはぎの脳科学ストレッチ>

① ひざを手で押し下げ、それに抵抗してかかとを上げるようにふくらはぎに力を入れます。2秒抵抗します。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

② ふくらはぎを2秒脱力します。3回繰り返します。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

まず、エクササイズ前に立って前屈をし、手の指が床からどれくらい離れているのか、あるいはどれくらい床につくのか、はじめの状態を確認し、体の感覚を覚えておいてください。エクササイズ後に改めて前屈をしてみてください。ずいぶん体を倒しやすくなったことを実感できるでしょう。

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<もも裏面の脳科学ストレッチ>

① 足首をつかんで上体に引き寄せ、もも裏側の力で2秒抵抗します。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

②もも裏側を2秒脱力します。3回繰り返します。

※ひざが曲がると、もも裏側が伸びませんのでひざを伸ばして行いましょう。足首に手が届かない場合はハンドタオル等を足首に巻いて行ってください。

筋膜リリースによるアプローチ

それでは、筋膜リリースの手法に移りましょう。同じく「足の裏」「ふくらはぎ」「もも裏面」の3つにアプローチします。それぞれ1分を目安に行ってください。

<足の裏の筋膜リリース>

①手の指先で強めに足裏を押しほぐします。ゴルフボールやラップの芯などを踏んで転がすのも大変効果的です。真ん中だけでなく内側・外側もほぐします。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

<ふくらはぎの筋膜リリース>

以下の写真ではフォームローラーという専用のツールを使用していますが、ビール瓶や水筒など円筒形のもので代用することが可能です。身近なもので工夫してみてください。

① ローラーにふくらはぎを乗せ、左右に揺らします。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

② 余裕があればふくらはぎの上に、反対側の足を乗せて揺らしてみましょう。

(画像:『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』より)

今回は、下半身にフォーカスしたエクササイズを紹介しましたが、筋膜は全身でつながっていますので、1カ所の歪みがほかの部位の動きを制限します。拙著『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』を参考に、最短で全身の筋膜をゆるめ、柔軟性を高めるストレッチエクササイズを試してください。

 

村山 巧:柔軟美トレーナー
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記事提供:東洋経済ONLINE

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