37.5歳からの愉悦 Vol.124
2019.12.19
FOOD&DRINK

東小金井のパンダ居酒屋で、看板娘がスナックデビューを果たしていた

看板娘という名の愉悦 Vol.96
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

東小金井駅。正直、中央線の中では印象が薄い駅だ。しかし、2014年に「武蔵野カルチェラタン」をコンセプトとした商業施設、「nonowa東小金井」がオープンして雰囲気はガラッと変わった。

駅
駅北口は再開発の工事が進んでいる。

高架下の「ヒガコプレイス」にも洒落た飲食店が続々と出店している。

武蔵小金井は「ムサコ」、東小金井は「ヒガコ」。

今回の舞台となる「ジャイアントパンダ」もそのひとつ。

外観
ガード下を歩くこと数分で到着。

店頭ではかわいいパンダがお出迎え。

看板
「食べて飲んで楽しめる大衆的なお料理屋さん」とある。

ここは2019年6月にオープンしたばかり。三鷹の「飯°駄(パンダ)」、吉祥寺の「コパンダ」、三鷹の「孫ぱんだDX」などの姉妹店で、席数は約70とパンダグループの中では最大のキャパシティを誇る。これが店名の由来だ。

内観
店内には看板娘の姿。

まずはドリンクメニューを拝見。

日本産のワインにこだわっているようだ。
ワイン
各地のワインを厳選して仕入れている。
「カップワイン」が気になります。

看板娘にすすめられるまま、「白カップワイン蒼龍」(700円)を注文。山梨県勝沼にある1899年創業の老舗ワイナリーが造るワインだ。

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看板娘、登場

看板娘
「お待たせしました〜」。

こちらは優香里さん(23歳)。オープニングスタッフとして店に入り、12月21日からは社員に昇格するという。おめでとうございます。

カップワイン
カップ酒ならぬカップワインも、また趣が深い。
1200年の歴史を持つ「甲州ぶどう」を使用。

優香里さんは字が下手なのが悩みで、メニューを書くと「何だそれは」と怒られていた。しかし、筆ペンの書き方を研究した結果、かなり上達した。

メニュー
優香里さんが書いたメニュー。

志が高い優香里さんは新メニューの開発にも取り組んでいる。「海ごちセット(現・磯〇セット」(1200円)は自慢の刺身をもっと食べてほしいという思いから、人気の蒸しガキとセットにしたところ大好評となった。

いただきましょう。「燻製卵のポテトサラダ」(450円)もお願いします。

料理
素晴らしい。

蒸しガキは大盤振る舞いの10個。刺身はプリプリのブリ。ポテトサラダも絶品である。

実はこの日はちょっと早く着きすぎて、優香里さんはまかないのあんかけラーメンとチャーハンを食べているところだった。

そこで出たセリフが「お待たせしてすみません。チャーハン食べますか?」。長い間取材をしてきたが、まかないをすすめられたのは初めてだ。

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優香里さんはお隣の三鷹出身。「趣味は居酒屋」という小粋な女性に育った。

記念写真
6歳の頃に自宅マンションの前で仲良しの妹と撮影。

「私、勉強がまったくダメで高校の期末試験では社会が7点でした。唯一の正解が『津田梅子』だったのを覚えています」。

おお、「変革を担う女性」の育成を掲げる津田塾大学の創始者だ。優香里さんも「ジャイアントパンダ」の変革を担っているのは何かの縁だろうか。

「よく飲みに行く『孫ぱんだDX』の隣にスナックがあって、こないだ顔見知りのママに『飲んでいきなよ〜』と引っ張り込まれたんです。スナック初体験でしたが、お酒を飲みながらカラオケを歌うのがこんなに楽しいのかと」。

常連さんが日本酒の一升瓶を入れてくれて、「次来たら自由に飲んでいいから」と言われたそうで、これはスナックにハマるパターンだ。

店長のカズさん(36歳)に優香里さんの印象を聞いてみた。

「明るくて元気、仕事に対する姿勢が積極的、あとはとにかくお酒が好き」。

手放しの賛辞である。

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子供イス
ファミリー層が多い街なので、小さい子供への対応も心がけている。

観葉植物は出店祝いでもらったもの。同じくお祝いの花に刺さっていたパンダは、気付いたら木に登っていた。

パンダ
気持ち良さそうに寛ぐパンダ。

ところで、店先にソフトクリームの置物がありますがメニューで出しているんですか?

「あ、ありますよ。ぜひ召し上がってください」。

350円。締めのデザートにおすすめです。

優香里さんの将来の夢はスナックを出すこと。

「自分の中でイメージが決まっていて、店名は『のら犬』。飢えたのら犬みたいな人が集まる店にしたくて。美味しいお酒とあったかい料理で寂しい人たちを迎え入れたいです」。

これを聞いていたカズさんが「店の売りは何なの?」と質問。優香里さんは即答で「私です」と返した。あっぱれ。

看板娘の真っ直ぐな自信に感動したところで、お会計をお願いします。

看板娘
「また来てくださいね〜」。

最後に読者へのメッセージを。

メッセージ
カジュアルなお誘い、いただきました。

【取材協力】
ジャイアントパンダ
住所:東京都小金井市梶野町5-10-58 ヒガコプレイス
電話:042-226-1366
www.instagram.com/giant_panda_higako/

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石原たきび=取材・文

# ジャイアントパンダ# 居酒屋# 東小金井# 看板娘
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