37.5歳からの愉悦 Vol.89
2019.04.18
FOOD&DRINK

野毛の炭火焼鳥店で、看板娘に5つのツボを同時に刺激された

看板娘という名の愉悦 Vol.61
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

横浜市野毛町。はしご酒の聖地として知られるエリアだ。大岡川沿いに弧を描くように建つ「都橋商店街」は、野毛のランドマークである。

野毛の街並み
世界一美しい曲線なのではないだろうか。

しかし、昨年2月、ここ野毛に新たなランドマークが誕生した。飲み屋街のど真ん中にオープンしたフードスタジアム、「野毛一番街」だ。

野毛一番街
ジャンルが異なる6軒の飲食店が集結。

中に入ると平日にも関わらず大盛況だった。

店内
客層が若いのも特徴か。

今回訪れたのは「炭火焼き鳥 五tsubo(ゴツボ)」。文字通り、約5坪の店内で本格焼き鳥と創作串が楽しめる。

店内
カウンターの中に看板娘を発見。

彼女がイチ推しする「トマトサワー」(390円)を注文した。

メニュー
リコピン入りの健康サワーだという。

「最初の頃はトマトリキュールにアルコールが入っていることを知らずに、さらに焼酎を足すという失敗をしていました。お客さんは『美味しいねえ』と言いながら飲んでくれたんですが、最終的にはベロベロに……(笑)」

そっちのバージョンをいただきましょう。看板娘がドリンクを持ってくると、取材だということを知った常連客の間で撮影会が始まった。

店内
「いやあ、いい日に来た」と口々に。

こちらも負けてはいられない。渾身の1枚をモノにした。

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看板娘
「お待たせしました〜」

大船生まれの麻友さん(23歳)。昨年9月から働いている。

「最初は短期のつもりで始めたんですが、楽しすぎてやめられなくなっちゃいました」

求人サイトで「横浜 時給1000円以上 短期」と入れて検索したら、一番上にこの店が出てきたという。SEOの重要性を物語る話だ。

メニュー
フードメニューはこちら。

現在は「焼き」の練習をしていて「麻友が焼いたのでいいよ」と言われた場合は、特別に提供しているそうだ。せっかくなので、お任せで焼いてもらう。

看板娘
タブレット端末でオーダーをチェックしながら丁寧に焼き上げる。

濃いトマトサワーの横に焼き鳥とマカロニサラダが並んだ。焼き鳥は左から「にんにくま」(180円)、「せせり」(180円)、「はつ」(150円)。

料理
山盛りのマカロニサラダも280円という安さである。

そして、焼き鳥がめちゃめちゃ美味しい。そう伝えると、看板娘の顔がパッと華やいだ。

「大学生のときはプロントで働いていました。3階まである大きな店舗で、パンのメニューが豊富。朝6時から作り始めて、9時の休憩タイムまでにすべてを作り終えないといけないんですよ。大変でしたが、楽しい思い出しかありません」

東日本地区代表として出場した社内コンテストで決勝まで進んだ。

最近あった楽しいことも聞いてみよう。

「つい先日、従兄弟の結婚式があって親戚が集まったので、翌日にみんなではとバスツアーに行きました。従兄弟の妹がはとバスのガイドで、彼女が案内するバスに乗ったんです」

バスガイド時代
親戚にバスガイドがいるとは……。

コースは浅草、東京タワー、隅田川クルーズ。中でも、浅草の老舗「米久本店」食べた牛鍋が最高だったそうだ。

ここでカウンターの男性客が麻友さんに生ビールをご馳走した。事情を尋ねると「そんなに頻繁には来られないので」。以前は横浜に住んでいて、この店に頻繁に通っていたが、名古屋に転勤になったという。

店内
そう、今日も看板娘に会うために名古屋から来店しているのだ。

そんな幸せな看板娘について店長はこう言う。

「いつも笑顔だし、とにかく育ちがいい。麻友の両親に感謝ですよ。『焼き』を覚えようとする姿勢も高評価。あまり表には出さないけど、たぶん負けず嫌いだと思います」

店内
「今日取材だからカラコン入れたでしょ」「なんでわかったんですか(笑)」

「あ、でも日本酒に弱いみたいで、こないだもお客さんとの付き合いの流れで昼から日本酒を飲みすぎたらしく、ベロベロで出勤してきたんです。『酔ってて仕事ができない』と言いながら号泣していました(笑)」

焼き場
こちらは店長の串さばき。

炭を組むのが相当難しいらしく、麻友さんはまだできない。店長はダクトに近い方は強火、遠くなるにつれて中火、弱火という職人芸を見せる。

「手羽先の先っぽをタレで、根元のほうを塩で焼くのが最近流行っているんですよ」

焼き物
1本で味変を楽しめるというサービス。

とはいえ、麻友さんも本格的な焼き師デビューの日が近い。4月24日(水)である。

出勤表
ちなみに、4月30日(火)の誕生日にもしっかりと出勤。

さて、約5坪の空間で美味しいお酒と料理を堪能したところでお会計。看板娘あるあるとして、直筆メッセージをいただいた。

レシート
5つのツボを同時に刺激されたような喜び。

看板娘の焼き師デビューと誕生日の間、4月27日(土)、28日(日)は街がさらに活気付く「野毛の大道芸」。このお店、土日は12時から営業している。大道芸と焼き鳥のはしごも悪くない。

道路の看板
1986年にスタート、今では日本三大大道芸のひとつとされる。

もちろん、読者にも直筆メッセージを預かっておりますよ。

直筆メッセージ
苦手だったレバーも、この店で初めて美味しいと思ったという。

[取材協力]
炭火焼き鳥 五tsubo(ゴツボ)
住所:神奈川県横浜市中区野毛町1-52 野毛一番街
www.instagram.com/gotsubo393/

石原たきび=取材・文

# 居酒屋# 焼き鳥# 看板娘の愉悦# 野毛
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