37.5歳からの愉悦 Vol.60
2018.09.20
FOOD&DRINK

新宿の日本ワインバルで、和み系の看板娘が最高金賞を受賞した

看板娘という名の愉悦 Vol.32
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

「今、日本のワインが熱い!」という声をよく耳にするようになった。気合いが入った店も続々と登場している。その中の一軒が「新宿 葡庵(ぶあん)」。

今年4月、新宿2丁目にオープン。

最寄駅は新宿御苑か新宿三丁目。がんばれば新宿駅からも歩ける。

どんな利用法でもひたすら大歓迎するスタイル。

店内を覗くと、看板娘らしき女性の姿が見えた。

落ち着いた内装。

ここの売りは、日本各地のワイナリーから直接仕入れたワインを格安価格で飲めること。看板娘にオススメを聞くと、「美味しいシャルドネがありますよ」。

「安心院ワイン シャルドネ イモリ谷」というユニークな商品名。

こちらは、大分県安心院(あじむ)町の安心院葡萄酒工房が作ったワイン。この町には、イモリが四肢を広げた形状に似ている「イモリ谷」があり、そこから命名されたという。

まずは横顔から。

「『マツコの知らない世界』でも、“世界から注目を浴びている至極の日本ワイン”として紹介されました」

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それは期待が持てる。

お待たせしました〜。
テラス席でいただきました。

そして、今回の看板娘は大学院生の夏衣さん(23歳)。専攻は生命工学。それは、どんな学問なんですか?

「私は医療現場で使う素材の研究をしています。例えば、心臓の穴を塞ぐパッチを絹糸の成分で作ったりとか」

すごく難しい研究ということだけはわかった。

夏衣さんが使っている参考書。

さらに、中高時代はオーケストラ部でフルートを吹いていた。高校卒業後は活動をいったん休止したが、昨年はOGが集まって文京区のホールで演奏会を行ったそうだ。

中央でフルートを吹く看板娘。

これまで、飲食店でのアルバイト経験は?

「実家を除けば、このお店が初めてです」

実家?

「あ、実家は両親が営むお蕎麦屋さんなんです。小さい頃から手伝っているので、常連さんからは『大きくなったねえ』って言われます」

趣味は古着屋巡り。今日のシャツも古着だ。

「透け感と絞れる腰紐が気に入ってます」。

なお、今までお酒といえば無難にカシスオレンジなどを飲んでいたそうだが、ここで働き始めてからワイン、とくに日本のワインの美味しさに目覚めたという。

温度管理もばっちりのワインセラー。

「ワインのイメージががらっと変わりました。日本で作っているから日本人の口に合うんじゃないかとも思います。作り手さんの情熱を伝えられるようになるのが目標ですね」

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素晴らしい。ところで夏衣さん、フードのオススメは何でしょう?

「『鶏レバーのやわらかパテ』が人気ですよ」

いいね。「釜石産ホヤときのこのオリジナルハーブバター焼き」も追加し、お代わりのワインは山形県朝日町の「ナイアガラ」を。こちらは、今年の日本ワインコンクールで最高金賞を受賞した「柏原ヴィンヤード遅摘みマスカットベリーA」を造ったワイナリーの逸品だ。

完ぺきな布陣である。

フードメニューには、「日本ワインに寄り添う食材を各地から取り寄せ、丁寧に作り上げた一品を是非お召し上がりください」とある。看板に偽りなしのお味です。

ところで、店内では若い女性グループが盛り上がっている。あまりにも楽しそうなので、許可を得て写真を撮らせてもらった。

「ちょっと待って、メイクを直すから」。
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ここで、店長の木嶋さんとスタッフの鈴木さんも登場。看板娘の印象を聞く。

「最初は高円寺店にお客さんとして来てくれたんですが、接客していて楽しかったんですよ」(木嶋さん)

接客していて楽しい客。僕もこれを目指したい。

「お店の空気が和みますね。話していると、こちらも自然に笑顔になるんですよ」(鈴木さん)

こちらも高評価だ。

最高金賞を受賞して泣きそうな看板娘。

店内には、かわいいコルクアートがあった。こちらも、夏衣さんの作品だ。

後ろにはオーナーが丹精込めて漬け込んでいる梅干し。

「あ、これも見てください!」

ワインのラベルをコラージュした作品。

ところで、そのイカダみたいなのは何ですか?

「鍋敷きのつもりで作ったんですけど、ボンドでくっつけただけなので耐熱性に不安が。改良の余地ありです」

研究者の顔を覗かせる。

というわけで、日本のワインの美味しさとそれに合う食事、そして看板娘の愛され具合に感動した取材となった。ごちそうさまです。

陽気にお見送りしてくれた店長と看板娘。

では、最後に読者へのメッセージを。

意外にも誤字は気にしない性格だった。

 

【取材協力】
新宿 葡庵
住所:東京都新宿区新宿2-7-1
電話番号:03-3351-0141
www.m2dining.com/archives/240

 

石原たきび=取材・文

# ワイン# 新宿# 看板娘
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