オーシャンズな男よ、100%ハワイを遊べ! Vol.4
2018.07.12
FOOD&DRINK

[田中知之×ジョー横溝]2人のDJが語るシャンパンが美味くなる“酔い”音楽

シャンパンを美味くするペアリングは、食事との相性だけで考えるものではない。そこに流れている音楽だって大切な要素だ。

これまでたくさんのシャンパンを嗜み、それ以上にたくさんの音楽を聴いてきたふたりのオッサン代表に、グラス片手に語り合ってもらいました。 

「シャンパンが美味くなる音楽って何ですか?」

田中知之さん(51歳)
DJ/プロデューサー
音楽プロデューサー、選曲家、ソロプロジェクトのFPMなど多彩に活動中。これまで多くのシャンパンを飲み、いたった結論は「“モエ”が美味い!」。以前、適切に管理された一杯に心から感動したとか。

右●ジョー横溝さん(50歳)
ラジオDJ
InterFMでのレギュラー番組のほか、イベントの司会業や執筆業もこなす。オーシャンズのウェブ企画「タラレバ最後の晩餐」も好評。シャンパンはジェームズ・ボンドに憧れてボランジェを愛飲。

ーーまず最初に、シャンパンにはどんなイメージがありますか?

田中知之(以下田中) 音楽を楽しむ場には欠かせない “パーティの象徴”。僕もDJとして、ずいぶんお世話になっています(笑)。

ジョー横溝(以下ジョー) アメリカには「シャンパン・ミュージック」と呼ばれるジャンルがあるんです。1950〜’60 年代に流行ったイージーリスニングのようなものですが、そのあたりってアメリカが平和だった時代なんですよ。その後ベトナム戦争が始まると一挙に社会が暗くなっていくので。だから、僕の中ではシャンパン=平和っていうか、明るくて楽しい印象ですね。

田中 パーティドリンクのイメージが強いですけど、本来はさまざまなシチュエーションに合うし、環境によって楽しみ方も変わる、大人の酒ですよね。

ーーシチュエーションに合う、ということは、その場に流れている音楽でも味わいは変わりますか?

田中 そうですね。夜に極上の一杯を飲むならオハイオ・プレイヤーズみたいな、ねちっこいソウルが合うと思うし、ひとりで優雅に“朝シャン”するとしたグレン・グールドによるクラシックが爽やかでいい。全然違います。

ジョー アメリカでは特別な日でなくても気の合う仲間たちと楽しくシャンパンを飲む文化がある。ブルースの名曲「シャンペン&リーファー」の詞を読むと、’60 年代のアメリカ人の日常にシャンパンが溶け込んでいたことがわかります。何げない日に仲間とカジュアルに楽しむシャンパン。粋で憧れます。

田中 シャンパンの故郷に合わせてフレンチ・ディスコもおすすめ。セローンはフランスでいちばん有名なディスコアーティストですけど、シャレてますよ(と言いながらスマホで試聴)。

ジョー いいっすね〜! それ聴いて思い出した。その名もずばりシャンパンっていうオランダのグループに「ロックンロール・スター」って曲があるんですけど、雰囲気似てますね。僕は、夜ならグレン・ミラーでしっぽりしたいなぁ。

ーー例えば“夏の海とシャンパン”なら、どんな音楽が合いますか?

田中 昔のヨーロッパ映画を観ると、海水浴場でラテンが流れてるじゃないですか。あの陽気さはいいですよね。ザビア・クガートの「ブルー・シャンペン」などミッドセンチュリーのラテンは間違いなくハマりそう。ノーマン・コナーズの「バブルス」もスタイリッシュでおすすめですね。

ジョー ミッドセンチュリーでいうとローレンス・ウェルクの「ソング・オブ・アイランド」。ピアノとスティールギターの音色が優雅な気分にしてくれます。日本のアーティストだと大瀧詠一さんですか。海が似合う究極のシティポップ!

田中 『ロング・バケイション』、いいですね。間違いなくシャンパンに合う。フランスで思い出したのはミシェル・ルグラン。ビーチでシャンパン、そしてミシェル・ルグラン。完璧なマリアージュじゃないですか? ファッションもリネンスーツにストローハットでキチッとキメて。

ジョー 服でも気分は変わりますからね。

田中 シャンパンって品のあるお酒だと思うから、飲む側も一定の気品を大切にすべきなんでしょうね。

ジョー 確かに、今まで選んできた曲も全部、品がある。ペアリングという意味ではそこがカギかも。

ーー忘れられないシャンパンと音楽のエピソードってありますか?

田中 パリにカフェ・ド・フロールって有名なカフェがあるんですけど、そこに山下哲也さんっていうギャルソンがいるんです。パリに行くと彼に会いに必ずそのカフェに立ち寄って、シャンパンをテラス席でゆっくり楽しむ。店の雰囲気も山下さんとの会話も含めて最高です。そこで聞こえてくるのは街の雑踏なんですけど、それさえもシャンパンを美味しくするBGMだと感じますね。

ジョー 僕はNYに行ったときにザ・ラウンジ・リザーズのジョン・ルーリーと飲んだこと。彼に会いたくてコンタクトを取ったら、アパートの住所は教えてくれたけど部屋番号が記されてなくて。教えてってメールしたら「Good Luck!」って返ってきた(笑)。仕方ないから一軒一軒ピンポンしながらなんとか正解にたどりついたら、玄関でジョンがシャンパンを持って待ってたんですよ。「よく来たな」って開けてくれて、ふたりで乾杯しました。

田中 スゴい! それ以上のエピソードはないよ。ジョーさん優勝!(笑)

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シャンパンと「2人のPLAY LIST」

ジョーさんが選んだ5曲

1_Harlen Nocturne/
The Lounge Lizards
NY発の先鋭的ジャズバンドが、スタンダードナンバーをフレッシュに蘇らせる。サックスを担当するのがジョン・ルーリーだ。

2_Champagne & Reefer/
The Rolling Stones
ブルースの巨人、マディ・ウォーターズの名曲をストーンズがカバー。2008年発表で大人のシブさ溢れる仕上がり。

3_Rock’n’Roll Star/
Champagne
オランダの男女混声4人組による’70年代のヒット曲。当時流行していたアバの影響が色濃いハッピーサウンドだ。

4_Moonlight Serenade/
Glenn Miller
伝説的ジャズバンドのリーダーが1939年に書いたスウィングの名曲。ムード音楽の定番としてもお馴染み。

5_『ロング・バケイション』/
大瀧詠一
「1曲は選べない」とジョーさんが言う日本ポップスの金字塔アルバム。捨て曲なし。サマー・バケイションのお供に。

 

田中さんが選んだ5曲

1_Bubbles/
Norman Connors
ソウルジャズの名ドラマーによる、人気シングルのB面曲。作曲・編曲を大野俊三という日本人ミュージシャンが手掛けた。

2_Love in C Minor/
Cerrone
フレンチディスコの始祖とも言われるアーティストの1976年作。フロアを盛り上げるキラーチューンとしても有名。

3_Sweet Sticky Thing/
Ohio Players
世界屈指のファンクバンドの傑作アルバムに収録。タイトルそのままの極甘の一曲は、夜のシャンパン用に選曲。

4_Di-gue-ding-ding/
Michel Legrand
映画『シェルブールの雨傘』の劇伴などで知られるフランス音楽界の重鎮。軽快で小粋な音世界が気持ちいい。

5_The Goldberg Variations/
Glenn Gould
強烈な個性で知られたカナダの天才ピアニストの代表作。バッハを独自に解釈した斬新な演奏はもはや哲学の域。

 

玉井俊行=写真(人物) 美馬亜貴子=文

# シャンパン# 音楽
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