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2018.04.30

たべる

恵比寿のダーツバーで、「乾杯」が書けない看板娘にほっこりした

看板娘という名の愉悦 Vol.11
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
今回向かったのは恵比寿のJDバー。女子大生ではなく、アメリカのウイスキー「ジャックダニエル」のほうだ。
恵比寿駅西口のすぐ近く、この看板が目印
店内は「ジャックダニエル」一色
さて、看板娘のご登場だ。
清夏さん(22歳)
「清い夏」と書いてさやかと読む。いい名前ではないか。そして、さやかさん、手にダーツの矢を持っている。そう、ここはダーツバーなのだ。
何はともあれ一杯いただきましょう。
「ジャック『ハニー』のハイボールを飲んでみますか? 天然のはちみつが入っていて甘いんですよ」
さっそく作り始める清夏さん
満面の笑みとともに持ってきてくれた
オフィシャルのステンレス二重カップがまたいい
ひと口飲んでみると……おお、これは美味しい。はちみつの上品な甘みが炭酸とともに広がる。
「美味しいですよね。ジンジャーエールや牛乳で割る方もいますよ」
ちなみに、この店は日本で最初のジャックダニエルオフィシャルブランディングバー。店長の山野さんは言う。
どこから見てもミュージシャンの山野さん
「すでに製造されていないボトルもたくさんありますよ。残念ながら貴重すぎてお出しできないものもありますが」
棚にはレアボトルが並ぶ
キープボトルの収納棚は4個もあり、約240本を保管しているというからすごい。
ガラスあるあるの筆者写り込み
ジャックダニエル側がB’zの松本さんに提供したことがあり、名だたるギターリストの方々が希望してもなかなかもらえないというギターもあった。
こちらがそのギター。
蒸留所創業者、ジャック・ダニエルさんの石像も。
ダーツバーとはいえ、ただお酒を飲みにくるだけのお客さんも多いため、山野さんいわく「うちはダーツ&バー」とのこと。
胸元のボールペンがセクシーな清夏さんに話を戻そう。
紐はビヨーンと伸びる。
「以前はカラオケバーで働いていて、次はダーツバーがいいなと思って探したんです。でも、求人がほとんどなくてやっと見つけたのがここ。ダーツは遊びではやっていましたが、働きながら本格的に練習できればと思って」。
ちなみに、趣味はアニメ鑑賞。家族全員がオタクなのだそうだ。
部屋のオタクコーナーの様子。
スマホの待ち受け画面とストラップは『艦隊これくしょん』のお気に入りキャラだった。
「かわいいですよね!」。
「『リゼロ』も好きですね」。リゼロ? 「あっ、『Re:ゼロから始める異世界生活』のことです」。
スマホで見せてくれた。
最初は常連さん同士のつながりが強すぎて、入っていけるのかと心配したが、同じ八王子出身のお客さんにかわいがってもらううちにすっかり溶け込んだという。
「そういえば、入ったばかりの頃、発注時の書類の『御中』が書けなくてバカがバレました。お客さんも面白がって『犬も歩けば?』ってことわざクイズを出してきます」。
ちなみに、清夏さんは「猫も歩く」と答えたそうだ。間違いではない。では、そろそろあれをやってもらおう。
フォームはなかなかのもの。
結果は……。
普通。
「1年間働いていて、一向に上達しないんです。でも、『初心者の方のお相手にピッタリですよ』とアピールしています」。
最後に、読者への直筆メッセージをお願いします。
「あれ、『乾杯』って初めて書くかも。どういう字でしたっけ?」。
スマホで検索して無事「乾杯」も書けたところでお会計。今回も楽しいひと時でした。
出口までお見送りしてくれました。
たまたまあったムーミンの置物を模写。
【取材協力】
コーサノストラ

www.cosanostra.co.jp/twenty_eight.html
取材・文=石原たきび
 


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