37.5歳からの愉悦 Vol.85
2019.03.21
FOOD&DRINK

半蔵門のパスタカフェで、看板娘の声から癒しのα波が出ていた

看板娘という名の愉悦 Vol.57
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

日が高いうちから飲むお酒は、また格別である。今回は半蔵門でそんな僥倖に恵まれた。

駅付近
気候もちょうど良い。

半蔵門とは江戸城の門のひとつで、これがそのまま地下鉄の駅名になっている。TOKYO FMの本社および放送スタジオがあることでも有名だ。

地図
駅の位置は中央の「現在地」部分。

目指す店、「ラハイナ」は半蔵門駅を出てすぐ。この辺りは超都心にも関わらず、地元に根ざした蕎麦屋などを含め、気になる個人商店が散見されるエリアだ。

外観
グリーンの陰に隠れたテラスが目印。

どうやら、パスタが売りのカフェのようだ。

外観
メニューの数がかなり多い。
メニュー
女性が喜びそうな店である。

通りに面した大きなガラス窓越しに店内を覗くと、看板娘が働いていた。

店内の様子
テーブルのセッティング中。

テラス席に座って、さっそくオススメのお酒を尋ねる。

メニュー
「カフェラテがインスタ映えすると評判ですよ」。

当連載はインスタ映えを目指しているわけではない。彼女に「お酒はよく飲みますか?」と聞くと「大好きです」。おお、重ねて好きなお酒を尋ねると「スコッチのバランタインです」。それですよ。

メニュ
どんな飲み方でも670円。

「いつも、ロックで飲みます」というので、彼女の流儀に準じることにした。

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看板娘
「お待たせしました〜」。

今回の看板娘はちあきーぬさん(25歳)。本名はご想像通りに千明だが、高校3年生のときにTwitterを始める際に、なんとなく「ーぬ」を付けて登録したことがきっかけでニックネームとして周囲に浸透したという。

メニュー
さて、パスタは何にしようか。

メニューを見ると、一番大きな文字で書かれているのが「牡蠣とベーコンのクリームソース」。店の自信が伝わってくる。悩んだ末に麺はフィットチーネを選択。

牡蠣とベーコンのクリームソース
結果的に、こうなった。

牡蠣とベーコンとバランタイン。美しいではないか。超有名なスコッチウイスキー「バランタイン」はもちろん美味しいが、このパスタがただ者ではなかった。

牡蠣とベーコンのクリームソース
見よ、この大ぶりの牡蠣を。

胡椒、タバスコ、粉チーズで味変を楽しみながらいただく。

さて、ちあきーぬさんは奈良県吉野郡の出身。花見の名所、吉野山もまあまあ近いそうだ。高校を卒業後、大阪で一人暮らしをしながら演劇系の専門学校の声優コースに通った。

「でも、知識だけを学んでも先がないなと思って、学校を辞めて舞台の現場に飛び込みました」

鈴の鳴るような声でなんとも癒される。α波が出ているのではないだろうか。声優になりたいという夢は高校時代から。しかし、現在は役者も絵もすべて「表現の一環」と解釈し、自分の道を模索し続けている。

作品
子供の頃から独学で絵の腕も磨いてきた。

好きな画家を聞くと、シャセリオーとレンピッカとのこと。浅学にしてどちらも知らなかった。ちなみに、上の絵のタイトルは「経(ふ)る」。

「昨年12月に友達とふたりで原宿のデザインフェスタギャラリーで展示をしたんですが、そのときの作品ですね。タイトルを先に決めてから直感で描きました」

描き上げたときに「うん、『経る』だ」と思ったというからすごい。

看板娘の祖母
こちらは奈良のお祖母ちゃん(83歳)。

ちなみに、この店で働き始めたのは1カ月ほど前から。理由は「求人サイトで検索したら一番上に出てきたから」という潔いものだった。大阪時代に海鮮系の居酒屋などでアルバイトをしていたので、飲食業には慣れている。一緒に働いていた女性スタッフも言う。

「入ったのはほぼ同時期なんですが、接客も厨房業務も完ぺきですごいなと思いました。いつも、やさしく教えてくれます」

看板娘
「そんなに褒めなくていいよ〜」と照れる看板娘。
内装
よく見るとあちこちかわいらしい内装。
内装
太陽光で動く招き猫。

さて、すっかり日も暮れた。ちあきーぬさんは「次の居酒屋バイトがあるので」と言って颯爽と去っていく。

看板娘
後ろ姿が格好いい。

気づくとバランタインのロックは水割りになっていた。

バランタイン
スナック文化にいち早く注目した『天国は水割りの味がする』(都築響一著/廣済堂出版)という書籍がある。なるほど、今まさに天国にいるような気分だ。

 

テンションがちょっと怖い。

【取材協力】
ラハイナ(LAHAINA)
住所:東京都千代田区麹町2-7
電話番号:03-3230-6651

石原たきび=取材・文

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