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2017.08.13

たべる

私たちにとってレモンサワーは「ノーブラで会える旧友」なんです

レモンサワーという名の愉悦 vol.5
大人になった今だからこそ、味わうことができる愉悦。ウェブオーシャンズではこれまで、スナック、ホッピーをテーマに、その奥深い嗜みのノウハウを紹介してきた。そして今回のテーマは「レモンサワー」である。どこの店にでもあるが、そのシンプルさゆえに嗜みの奥深さは計り知れない。全6回でレモンサワーの魅力の真髄に迫ります。
「レモンサワーという名の愉悦」を最初から読む
連載5回目の案内人は加藤順一さん、加藤宇宙さん夫妻。二人は「天獄からきた加藤」という音楽ユニットを組んでいる。
順一さんにジャンルは何系かと尋ねると、「僕が音を出して、彼女がオピニオンリーダーとして演説するスタイル。まあざっくり言えばノイズ系ですかね」とのこと。
そんな彼らが「レモンサワー天国」だと絶賛するのが「めっちゃ らんまん食堂 中目黒店」。行ってみると本当に天国だった。
洒落たビストロのような外観
まず、驚いたのがレモンサワーだけで10種類もあること。しかも、そのどれもが「自慢の一品」なのだ。
1日では飲みきれない
「ここ一軒でハシゴ酒気分が味わえるでしょ」と宇宙さん。
お約束の手にレモンを持って撮影
熟考の末に注文したのは、順一さんがハチミツ入りの「王様のレモンサワー」(680円)、宇宙さんが酸味豊かな「純レモンサワー」(420円)、僕がレモンフローズンを効かせた「タカレモンサワー」(480円)である。
左から王様、タカ、純。謎のトリオのようになった
「タカレモンサワー」はメニューに書いてある通り、「レモンフローズン×サワーで暑い夏にピッタリ!」という味。しみじみと美味しい。日中に屋外で飲んだらたまらないだろう。
さらに、ジョッキを回して味見をする。王様も純もそれぞれの個性を遺憾無く発揮する絶品だ。
ところで、この日はレモンを用意するのを忘れたため、お店に借りた。「すみません、すぐにお返ししますから」と言うと、店のスタッフは「ずっとお持ちになっていてもいいですよ」と王子様のような対応。
王子様対応のスタッフ、細谷さん
ふとメニューを見れば、あるではないか、「王子様レモンサワー」(580円)が。
2杯目はこれにしよう
運ばれてきたのは氷の代わりに、冷凍レモンを入れたもの。グラスのふちに塩が塗られている。
とにかく、冷凍レモンの存在感がすごい
中のお代わりが290円という点はホッピー感覚。そして、お代わり以降は焼酎の量がずいぶん多くなる。
ピチピチと弾ける炭酸
順一さんはもともとそれほどお酒が好きではなく、今のように飲み歩くようになったのは10年ほど前から。「当時の彼女にフラれてヤケ酒ですよ。ジンとトニックを買って、家で延々と飲んでいました」。
一方で、宇宙さんはお酒の入門はレモンサワーからだが、「ジンロをCCレモンのジュースで割る」というハードコアな飲み方だったそうだ。
店のスタッフが描いた名画
さらに、ふたりは「この店はフードも美味しい」と口を揃える。まずは、「鶏ももからあげ」を注文。
手前が「しょうゆ」、奥が「しお」(ともに390円)
さすがは「からあげとレモンサワーの店」を標榜するだけある。しかし、一番驚いたのは「らんまん風焼きSOBA」(790円)の味。
鉄板で焼く本格派で太麺のコシもすごい
スタッフから「最初は焼きそばだけ、次に半熟卵を割って、最後に特製ソースをかけて食べてください」とアドバイス。いやあ、感動しました。
さて、そろそろあの質問をしよう。「おふたりにとってレモンサワーとは何ですか?」
いいかんじに酔いが回ってきたようだ
少し考えて宇宙さんがこう答える。「ノーブラで会える旧友かな」。
理由を聞くと、「私、寝るときもブラジャーを付けるほどノーブラが大っ嫌い。だから、その慣習を吹き飛ばすほど心を開放できる友達ってことで。お酒デビューがレモンサワーだったから『旧友』です」。
順一さんが「僕は常にノーブラですけどね」と付け加えた。これでタイトルを「私たち」にできる。
型抜きに成功すると来店者全員に1杯サービス
かなり飲んだせいか、型抜きは全員失敗した。さて、レモンサワーを巡る旅はまだまだ続く。
取材・文/石原たきび
【取材協力】
めっちゃ らんまん食堂 中目黒店
 


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