OCEANS × FLUX Vol.18
2021.07.25
FASHION

履き心地抜群。メイド・イン・ハワイのサンダルはこうして世界中に愛されるようになった

当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら

ジョン・カーペンターさんの父は、カリフォルニアで牧場主をしていた。馬に乗って家畜の群れを追い、投げ縄で巧みに牛を捕える父は、「カウボーイハットを被るのはカウボーイだけだ」とよく言っていた。

そして今、オアフ島パールシティにある25000平方フィート(約2300平米)のアイランドスリッパ工場で、父の言葉はまさに真実味をもって響く。

「個性は、その個性がどこで生まれるか、という点と切り離せないんです」と、アイランドスリッパのオーナーであるカーペンターさんは語る。

アイランドスリッパは、自社商品であるサンダルを、すべてハワイで生産している。同じやり方をしている同業他社はもう1社もない。「私たちのサンダルとビジネスのやり方には、ハワイとハワイのライフスタイルが反映されています。世界中でここでしか、私たちが作っているものはできないんです」。

最初からずっとそうだったわけではない。アイランドスリッパは、1946年に本永という日本人が創業した企業だ。カーペンターさんはアメリカ本土からハワイに移住し、ハワイの靴業界で働いていた。そして1985年にアイランドスリッパを買収し、本永ファミリーから引き継いだ。

当初は会社を成長させたいという夢を抱き、コストコやメイシーズやウェスト・マリーンなどの大型量販店との契約を確保していった。生産拡大のため、中国の下請け企業に一部を外注することも始めた。

あるとき、カーペンターさんのもとに、フロリダから1本の電話があった。数十年前からのリピート客だ。

「さっき気付いたんだが、この新しい商品は『メイド・イン・チャイナ』なんだな。私がずっとおたくでサンダルを買っていた理由は、アイランドスリッパだからだ。もうアイランドスリッパじゃなくなったのか?」。カーペンターさんはこの顧客の言葉を今でもよく憶えているという。

カーペンターさんは生産工程について説明した──ハワイでも生産しているが、一部は別の土地で作っている、と。「自分でも、何を目指してるんだかわからなくなりました」と、彼は当時を振り返る。

「あれは啓示を受けた瞬間でした。会社のことをじっくり考えたら、すべての工程をここに戻して、この島で作らなきゃだめだ、ということになったんです」。

それ以来、カーペンターさんはずっとそのやり方を守り続けている。アイランドスリッパのサンダルは1足残らずオアフでのハンドメイドだ。工場は毎日活気に溢れ、熟練の職人たちが、裁断、トリミング、巻き付け、縫製、接着、プレスまでを行い、100種類以上の男性用・女性用のサンダルを1足ずつ作り上げている。

とはいえ、こうした努力には代償も伴った。「メイド・イン・ハワイであり続けることが、この会社の柱のひとつです」とカーペンターさんは語る。「ですが、それが弱みにもなります。ビジネスの範囲が制限されますからね」。

大手量販店との契約を打ち切ったあと、業績が苦しくなったことを認めている。「『生産が間に合わなくなるから、そこには手を広げられない』と判断しなければならないことも、たびたびです」。

だが、小規模な事業展開と自社生産のおかげで、顧客の反応に合わせたスタイル変更も迅速に行えるし、流行の変化が早い小売業の状況にも常に最新の対応ができる。実店舗の立地を決めるのにも役立った。

サンダル専門店など成功しない、とたくさんの業界関係者に忠告されたが、2007年にショッピングエリアのワード・ウェアハウスに1号店をデビューさせている。最終的に1号店は閉めることになったが、この経験を活かして、アラモアナセンターとロイヤル・ハワイアンセンター内にアイランドスリッパの販売店をオープンした。

「実店舗は新作の手ごたえを試す場にもなるの。それに製造から試着、販売まで、商品のライフサイクル全体に直接目を配ることができるわ。お店があるから、そこに永遠のループが生まれるのよ」と、カーペンターさんの義理の娘であるターシャさんは語る。

ビジネスを規模が小さいため、パートナー企業はより注意深く見極めなければならない。その点でカーペンターさんは若い世代の力に頼っている。先日からは息子のマットさんと、その妻のターシャさんに経営を引き継ぎ、彼らがニュージーランドやオーストラリア、ドバイで独自の流通ルートを切り拓いた。

アパレルのリックス、サルベージ・パブリック、ハックベリー、そしてFLUXマガジンといったブランドとのコラボレーションも進めている。FLUXコラボの限定サンダルは今年5月(掲載当時)に発売した。

「こうした本物を求める市場は世界中にあると学びました」とカーペンターさんは言う。「サンダル1足1足に、私たちのオハナ、つまり家族の愛情がこもっています。製造に使う素材と丁寧な作業も、このサンダルを特別なものにしているのです」。

詳しくはislandslipper.comまたは@islandslipperにアクセス。

 

アイランドスリッパ=写真提供 リサ・ヤマダ-ソン=文 上原裕美子=翻訳

This article is provided by “FLUX”. Click here for the original article.

# アイランドスリッパ# サンダル# フラックス
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