偏愛スニーカー三番勝負 Vol.21
2021.06.26
FASHION

「スニーカー、愛してま〜す!」プロレスラー棚橋弘至がオキニ3足を手に愛を叫ぶ

「偏愛スニーカー三番勝負」とは……

「会場のみなさん、愛してま〜す!」のマイクパフォーマンスで知られる、人気プロレスラーの棚橋弘至さん。

プロレス界では“100年に一人の逸材”と言われる反面、無類のファッション好きとしても有名で、スニーカーの所持数はなんと60足以上にのぼるという。

そんな棚橋さんが「最高のトレーニングパートナーです!」と語る偏愛スニーカー三番勝負、いざ!

棚橋弘至●1976年11月13日生まれ。岐阜県出身。’99年10月にプロデビュー。以後、IWGPタッグ、IWGP U-30無差別級といったタイトルを手にし、2006年にIWGPヘビー級王座を初戴冠。その後、’11年には11度の連続防衛に成功(当時の最多連続防衛記録)。今なお第一線で活躍するトップレスラーのひとりとして、プロレス界を牽引している。

①先鋒 リーボック「インスタポンプフューリー」

「僕が通っていた高校は制服が詰襟の学ランだったんです。だから、どこで違いを出すかといったらもう足元しかないんですね」。

そんな棚橋青年の心を鷲掴んだのがリーボックの「インスタポンプフューリー」だった。しかし……。

「’90年代半ばに“ポンプブーム”が来ましたけど、当時は手に入らなかったんです。特に蛍光イエローの“シトロン”は名古屋まで行って探したけどまったく売っていない。すでに履いていた友人もいて、それが羨ましくて(笑)」。

だからこそ、この復刻版を2015年に購入したときは喜びもひとしおだったという。

「いや〜めちゃくちゃうれしかったですよね。僕と同世代の人間にとっては憧れの一足ですから。シトロンに後ろ髪を引かれる思いでしたが、自分の持っている服を考えて結局トリコロールカラーのモデルにしました。

今ではその選択が間違ってなかったと実感しますね。意外と服と合わせやすくてめちゃくちゃヘビロテしてます」。

現在はセットアップの挿し色に、Tシャツ×デニムのスパイス役にと縦横無尽に活躍中。着こなし力だけでなく、気分まで高めてくれる存在である。

「履いているだけでうれしくなりますね。高校生の頃の気持ちに戻るというか。パワーのあるアイテムは記憶も蘇らせてくれます。履いた瞬間から、その日はずっとテンション高く過ごせますから」。

そして、「インスタポンプフューリー」の凄さは、20年以上前のデザインながら今見ても時代を感じさせないところにあるという。

「少しずつマイナーチェンジはあると思いますけど、今でも全然古臭く見えない。僕もプロレスラーとしてそうありたいなって思いますね。いつもあいつは新しいなって言われ続けたいです(笑)」。

今も変わらないその存在感は圧倒的で、棚橋さん曰く「スニーカー界のジャイアント馬場さん、アントニオ猪木さん、力道山先生のような重鎮」とか。

日を追うごとに新しいスニーカーが台頭しているが、あらゆる世代を今なお虜にする一足。まさに重鎮のようである。

NEXT PAGE /

②中堅 ナイキ「エア ヴェイパー マックス エヴォ」

「リーボックのインスタポンプフューリーと双璧をなすスニーカーの二大巨頭」と語るのが、ナイキの「エア マックス 95」である。

発売当時から憧れの一足だったようで、過去の記憶に背中を押され、“ソーラーレッド”や“ネオン”など、現在は3足を所有しているという。

社会現象を引き起こしたこともあって、エア マックスといえば「95」の印象は強いが、同シリーズはほかにも数多くのモデルがリリースされている。そんななか、最近になって棚橋さんの固定概念を破壊した一足が現れた。

今年の4月に購入したばかりという「エア ヴェイパー マックス エヴォ」だ。

「僕はコーディネイトの色数が少ない。黒、グレー、白、あとはデニムの青ぐらいでしょうか。だからか、あえて足元は色で遊ぶようにしています。

ナイキは配色がすごく綺麗なので、黒を選ぶことはほとんどありませんでした。でも、これはゴテゴテとした姿がどこかひと昔前のスニーカーのように感じられます。黒一辺倒でも主張が利いていて、目を引きましたね」。

これまでのエア マックスを徹底的に調査、分析し、過去の最高傑作たちの特徴を凝縮させた一足。’90年代スタイルを彷彿させるクラシカルなルックスに仕上げている。

しかも、「履き心地が最高にいい」と棚橋さんも絶賛するように、エアのパワーを存分に活かしたヴェイパーマックスのソールは、驚異の反発力と優れたクッション性を備え、まさに宙を歩いているような心地良さだ。

「2015年頃から膝の調子があまり良くなくて、そのうえ年齢的にも代謝が落ちてくる時期だったので日頃から歩く量を増やしました。一日1万歩が目標で、スニーカーを履く機会もいっそう増えたんです」。

コンディションを整えてリングに上がる意味でも、機能性との融合を図ったこの一足は有益だったという。そして、新たな発見もあったとか。

「あまり黒のスニーカーを持っていませんでしたが、今の年齢にハマって落ち着くなと感じました。派手な配色も格好いいですけど、やんちゃ感がありますからね。

黒スニーカーの魅力を改めて僕に教えてくれた一足。プロレスでいうところの新技を習得した感覚に近いです。スタイルの幅を広げた僕にもう隙はありませんよ(笑)」。

NEXT PAGE /

③大将 Y-3のスニーカー

最後は、ほかとは異なるタイプのスニーカーだ。

「今年の春に開催していた“レスリングどんたく”というシリーズで広島へ行った際、知人にいただきました。Y-3も過去に購入したことはありますが、それはいわばスニーカーらしいデザインだった。こんなモードな一足は持っていませんでしたね」。

先入観から“らしくない”スニーカーは避けていたようだが、この一足を機に考えを改めたようだ。

「年を重ねていくと自分の好みがわかってきて、新しいモノを受け入れられなくなってくると思います。今までの自分だったら絶対に買わなかったのですが、ブーツとスニーカーを足して2で割ったようなデザインが格好良い。おかげで、食わず嫌いは良くないと気付かされました」。

ストラップを幾重にも折り重ねたようなデザインは、確かに前衛的だが革靴のような落ち着いた印象も与える。ゆえに、大人っぽいスタイリングの際には重宝するという。

しかも、自身の性格を鑑みても、実にちょうどいい一足なのだとか。

「わりとズボラなので紐を結ばずスルッと足を通せるところもうれしいですね。脱ぎ履きの際に立ったり座ったりすると、それだけ膝にも負担がかかりますし」。

最近手に入れた2足の“新入り”がお気に入りのトップ3にランクイン。それを「今年はルーキーの当たり年ですね」と笑い、「ポンプがひとり気を吐いて跳ね返している状況」だと話す。

気分をアゲ、膝もケアしてくれるスニーカーは、棚橋さんにとって人生で欠かせない存在。それはもう最後に発したこの言葉に集約されている。

「スニーカー、愛してま〜す!」。

「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
上に戻る

菊地 亮=取材・文

# Y-3# スニーカー# ナイキ# プロレス# リーボック# 偏愛スニーカー三番勝負
更に読み込む