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2021.11.17

ファッション

普通の羊とどう違う?天然の機能素材“メリノウール”の気になるあれこれ

伝統的な天然素材である“メリノウール”。肌触りが良く着心地抜群なことは知っていても、その機能性や原産地などについて詳しく語れる御仁は少なかろう。
そこでゴールドウインの鰐渕 航さんにこの素材の秘密を教えてもらった。
 

メリノウールに詳しくなるQ&A


Q1. メリノ種の羊は、普通の羊とはどう違いますか?

メリノウールが採れるメリノ種の羊は、オーストラリアやニュージーランドなどで主として飼育される品種。世界中で3000種いると言われる羊の中でも、特に高品質な毛質で知られている。
その起源は12世紀のスペインまで遡り、当時は輸出が禁止されていたのだそう。解禁されたのは18世紀のことで、以降は世界中に広まった。
「もともとアウトドアウェアではウールは定番の素材です。ウールはゴワついて肌に触れるとチクチクするイメージですが、メリノウールは繊維が細かく肌触りがいいので重宝されています」。

Q2.ズバリ、メリノウールにはどんな機能があるのですか?

カシミヤにも匹敵する繊維の細さ以外にも、メリノウールのメリットはたくさんある。
吸湿性が高いため、素肌に触れるインナーやベースレイヤーとして取り入れた際には汗をかいたときの不快感を軽減。また、発汗しても汗冷えが起きにくく、保温性も落ちにくい。天然繊維なので最終的には土に還るなど、環境面でも優れている。
「ウールは繊維の表面にスケールというすごく細かい鱗状の突起が並び、それが適度に湿気を吸い、また放出もしてくれるんです。だから快適な状態が続く。まさに天然の機能素材と言っていいはず」。

Q3.山で実感するメリノウールのメリットはどんなもの?

アウトドアアクティビティに精通し、メリノウール製のベースレイヤーを使い続ける人は多い。単純な着心地でいえばコットンも快適だが、ウールの山での利点は別のところにある。
「特に実感するのは、抗菌・防臭作用。何日間も山に籠もる縦走やテント泊の登山では、荷物を減らすために同じベースレイヤーを着続けることが多く、化繊素材だと臭いが気になってくる。だけど、汗をかいてもメリノウールだと全然臭わない。そういう意味でもストレスがないので重宝します」。

Q4. メリノウールは普段着にも向いてる?

活発に動く状況下やエクストリームな場所だけではなく、日常生活においてもメリノウールを選ぶメリットは少なくない。在宅ワークが増えたこの1年余りで、鰐渕さんも着用機会が劇的に増えたという。
「僕は家にいるときにもメリノウールのパーカやアンダーウェアをよく着ています。伸縮性があるから窮屈さがなく、リラックスしたいときにも適しているし、空気層をつくるウールならではの自然な暖かさも気持ちいい。
あとは何と言ってもその質感の良さ。上品で清潔感があるから、コンビニに行くときにもそのままの格好でOKです(笑)」。


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