「メゾン マルジェラ」の服はなぜ特別なのか。ハマっている6人の証言
シンプルだけど個性があって、匿名的だけど記号性もある。そして、モードだけどどこかスタンダード。メゾン マルジェラは、すべての服好きにとって特別な存在だ。
実際にハマっている6人に聞いた、愛用品と、感動した理由。
ジップアップカーディガン

推薦人
キジマタカユキ デザイナー 木島隆幸さん(56歳)
1990年代初頭に帽子のオートクチュール技術を習得。2013年にトータルコーディネイトで生きる帽子をテーマにキジマタカユキをスタート。
10年前の出会いは僕にとって衝撃的でした。手にしたときの印象はズバリ、重い、ガッシリ、武骨、なのにセクシー。
男の色香は年齢を重ねるほどに魅力的と映りますが、出しすぎると途端に嫌みとなってしまう。ただそれを、何げないテクニックを駆使してうまく日常着に落とし込んでいます。長らく愛される理由も納得しますね。今季は、パリの男性労働者のイメージでデニムとワークブーツと一緒に着こなしたいです。
「レプリカ」スニーカー

推薦人
マッシュビューティーラボ 取締役 副社長 小木 充さん(46歳)
コスメキッチンのディレクターを務めるオーガニックビューティーのエキスパート。シンプルで上質、ベーシックな服装が好み。
マルジェラの服や靴はベーシックなのに品があって、おっさんでも清潔に楽しめるのがお気に入り。僕が買ったのは、16AWシーズンの白×黒モデル。
感動ポイントは、合わせやすいだけでなく、雨に濡れると汚れが落ちるところ。(完全に個人の感想です、笑)。セットアップのオンスタイルや休日のどカジュアルでも、メンテナンスフリーで履いています。
ハイブリッドスニーカー

推薦人
ビームス メンズカジュアル 統括ディレクター 中田慎介さん(43歳)
ビームスのメンズカジュアル全体を束ねる業界きっての仕掛け人。アメリカンライフスタイル全般が得意なフィールド。生活拠点は鎌倉。
定番モノでは満足できない、天邪鬼な僕が思わずキュンキュンした大人なスニーカー。ベーシックかつシンプルな見た目に潜む、素材の使い分けや細部のデザインのこだわりはメゾン マルジェラならでは。
わかる人に伝わる自己満なアイテムでありながら、合わせるアイテムは、デニム、チノ、軍パン、ウールパンツなど何でもござれ!着る服を選ばない、とても重宝するスニーカーです。
エルボーパッチ ニット

推薦人①
スタイリスト 菊池陽之介さん(41歳)
オーシャンズでのスタイリングをはじめ、カタログ、広告、テレビ、CMなど多種多様なメディアで活躍する腕利き。私服は黒好き。私生活は釣り好き。
僕にとっての、究極のロンT的な存在。毎年一枚ずつ買い足していますが、シーズンごとに少しサイズ感などが変わってきていて。その変化を知ることが、ちょっとした喜びにもなっていますね。
寒い季節のベースウェアは、これに勝るものなし。普通の服だからこそしっかり選びたい、改めてそんな気持ちにさせてくれるニットです。
推薦人②
ビームス 執行役員 経営企画室 グローバルアライアンス部 部長 兼 コミュニケーションディレクター、ビーアット 代表取締役社長
土井地 博さん(43歳)
ショップスタッフを経て、20年以上ビームス グループの宣伝PR業務を行う。現在はビーアットの代表取締役社長も務める。
何年も買い続けているニットです。もう最初がいつとは覚えていないくらいですね。20年は経っていますので。ジャケットのインナーで着ても、一枚で着ても、どんなアイテムにも合う、まさに定番中の定番。
ニットのディテールはもちろんですが、ブランドの世界観や現在にいたるまでのストーリーも含めて好きです。

推薦人③
オーシャンズ 編集長 江部寿貴(43歳)
少年時代、リーバイスとラルフで目覚めた服の嗜好はいまだ雑食。アヴァンギャルド系は苦手。似合う顔と体型に恵まれなかった。
シーズンごとに新しいコレクションを発表するデザイナーズブランドもそれなりに買うが、断トツに賞味期限が長いのがメゾン マルジェラの服だ。
ワードローブでいちばん古いものは、18年前に買った“10”の黒いボートネックニット。当時から付き合いのあるスタイリストに「まだそれ着てるの?」と呆れられるが、いまだコンディションは抜群。デザインも古く見えない。「モード」と「タイムレス」が共存する稀有な存在だ。
余談だが、昨年発売されたエムエム6 メゾン マルジェラとザ・ノース・フェイスとの協業作を買い逃したことを後悔している。
清水写真事務所=写真 星 光彦、来田拓也=スタイリング 増山直樹、早渕智之、長谷川茂雄、森上 洋、いくら直幸、髙村将司、大西陽子、中田 潤、今野 塁、菊地 亮=文