What’s AIR JORDAN Vol.9
2021.01.15
FASHION

元祖は6000万円超えで落札され、最新はプレミアが付く「エア ジョーダン」近代史

「What’s AIR JORDAN」とは……

輝かしいデビューから、頂点を極めた90年代後半。そして不遇の時代を経て突入するのは「エア ジョーダン」の近代史だ。

パフォーマンスシューズとしての極みへ到達しながら、初代がオークションで61万5000ドル(約6600万円)で落札されるまで。圧倒的なポジションを確立する5年を振り返る。

エア ジョーダン 1〜2「名作が持つ光と影」
エア ジョーダン 3〜6「大きく変わった運命」
エア ジョーダン 7〜13「進化の足跡」
エア ジョーダン 28〜30「試行錯誤の末

 

エア ジョーダン 31(2016年)

クラシックとイノベーションの邂逅

偉大なる「エア ジョーダン 1」へのリスペクトから生まれた「エア ジョーダン 31」。

デザイナーを務めたのはテート・カービス。シリーズ史上初となる「スウッシュ」と「ジャンプマン」を一足に収めたデザインは話題をさらった。

前衛的でありながら、どことなく「エア ジョーダン 1」の面影が残る。

前作までと明らかに異なるデザインに仕上がったポイントは、「フライニット」とシンセティックレザーの融合によるシャープなアッパーとフルレングスに変更した「ズーム エア」の採用にある。

2つの素材を調和させた独創的なアッパー。

カラーは人気の“ブレッド”や“ロイヤル”などが出揃い、最新のテクノロジーと往年のカラーリング&デザインの邂逅に多くのファンが熱狂した。

ヒールにさりげなくウィングロゴの型押しが入る。

 

エア ジョーダン 32(2017年)

「エア ジョーダン 2」の再解釈による32代目

2017年に発表された「エア ジョーダン 32」。前作に引き続きデザインはテート・カービスが担当した。

初回のリリースでは、絶大な人気を誇る“ブレッド”の配色が登場。

彼はこのモデルの開発にあたり、シリーズの黎明期であった、1986年に登場したイタリア製のプレミアムなシューズであった「エア ジョーダン 2」の再解釈を試みた。

「フライニット」とのコンビネーションで引き立つ型押しのシンセティックレザー。

アッパーを形成する「フライニット」は密度を強化する一方、あらゆる機能を向上させ、快適性に徹底してこだわった。

ソールも同様に、「ズーム エア」や「フライト」を導入しつつ、アウトソールもあらゆる方向にグリップを効かせるヘリンボーン状のトラクションパターンを採用することでグレードアップしている。

アコーディオン調のディテールが時を超えて復活。

「エア ジョーダン 2」のDNAを受け継いだプレミアム感を演出するヒールカウンターの仕様も見逃せない。

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エア ジョーダン 33(2018年)

シューレースからの開放

ジョーダン ブランドのデザイン担当ヴァイスプレジデントのデヴィッド・クリーチによる“目に見えるテクノロジー”という表現は、パフォーマンスシューズとしての「エア ジョーダン」のコンセプトをこれ以上なく的確に捉えている。

2018年、オンコートでの頂点を極めるために開発された「エア ジョーダン 33」もその哲学を体現する革新性に満ちている。

コートで映える“シカゴ”を基調にしたカラーリング。

イノベーションの核となるのは、「ファストフィット」と呼ばれるシステムの採用にある。

これはシューレースに近い役割を担うものであり、前足部のストラップ、ループの操作によって、ゲーム中にシューズのフィット感をコントロールすることを可能にした技術だ。

ストラップを引くことでフィットが締り、サイドループを引くと瞬時にシステムが解除される。

その一方で、これまで「エア ジョーダン」が積み上げてきたデザインも随所で見受けられる。

ヒールに確認できる「NIKE  AIR」のロゴ(「エア ジョーダン 6」以来の採用だ!)、シュータンに用いた「ジャンプマン」のロゴがまさにそれである。

30年近い歳月を得て復活した「NIKE AIR」のロゴ。

このように、機能とスタイルの両立を目指し、「エア ジョーダン」はバスケットシューズの発展に大きく貢献する。

 

エア ジョーダン 34(2019年)

最新テクノロジーが生んだ独創的なビジュアル

マイケル・ジョーダンのシグネチャーシューズであった「エア ジョーダン」は、いつしかバスケット界へ絶大な影響を与えるほどの存在へ成長を遂げた。

アスリートの意見を取り入れることを重んじる「ジョーダンブランド」は、前作に関するフィードバックを収集したあと、「エア ジョーダン 34」の製作を開始した。

改善点として挙がったのが、“トラクションの改善”と“軽量化”という2つの課題であった。

バスケットシューズに必要な要素を徹底的に見直すことで完成されたデザイン。

そこで、デザイナーのテート・カービスは「エクリプス プレート」と命名された最新テクノロジーを導入。これにより、中足から前足への体重移動をスムーズにさせる機能から、推進力や安定性を提供することで爆発的を生み出すことを可能にした。

「エクリプス プレート」のパフォーマンスをより引き出すためにウトソールにはヘリンボーン模様のトラクションパターンが用いられている。

試行錯誤の末、軽量化においても大きな成果が得られた。

アッパーは、素材・パーツのいずれもバスケットに必要とされるもの以外はすべて取り除かれた。その結果として、歴代の「エア ジョーダン」でも最も軽いシューズのひとつが誕生したのだ。

つまり、過去のどのモデルとも違うビジュアルは、パフォーマンスの向上の証だと言っても過言ではない。

「エア ジョーダン 34」を着用するニューオーリンズ・ペリカンズのザイオン・ウィリアムソン。

多くのスタープレイヤーから絶賛の声が寄せられたことが何よりもそれを証明している。

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エア ジョーダン 35(2020年)

史上最高のバスケットボールシューズを目指して

シリーズの現在進行形である最新作「エア ジョーダン 35」は、“憧れの対象”に見合うビジュアルとパフォーマンスを引っさげ、2020年秋にリリースされた。

日本人初の「ジョーダンブランド」の契約選手であるワシントン ウィザーズ八村 塁モデルが話題となったことも記憶に新しい。

「エア ジョーダン 5」30周年記念を祝したスペシャル・エディション。

もはやフットウェアの歴史そのものとなりつつある「エア ジョーダン」の歩みはとどまることを知らず、さらなる挑戦を続けている。

「ズームエア」のエネルギーリターンの効率を最大限高める改良を施した「エクリプス プレート 2.0」は、その表れである。

楕円形のプレートはミッドソールとの連動により、シューズの横方向の構造を強化し、サポート性を高めている。カット、ダッシュ、ジャンプ時により大きな反発を生み出せる、踵の部分に搭載した「ビジブル ズーム エア」も同様だ。

デザインの核でもある「エクリプス プレート 2.0」のプレート。

「エア ジョーダン」の伝統的なディテールであり、さまざまな方向へ動きにも最適なトラクションを提供するアウトソールのヘリンボーンパターンも優れた機能性を担っている。

「エア ジョーダン 5」からヒントを得た履き口の構造もこのシューズの特徴を語るうえで外せない。

シュータン、アッパーに施した「ジャンプマン」、ヒール部分の「23」のプリントや「NIKE AIR」のタブなど、「エア ジョーダン 5」から踏襲したものだ。

あらゆる面で“プレミアムなシューズ”であること。それこそが、「エア ジョーダン」の揺るぎない理念であり、アイデンティティなのだろう。

 

飽くなきパフォーマンスへの探究心は、最強の名を欲しいままにするブランドの原動力であることは言うまでもない。

そして2020年、本人が使用していた「エア ジョーダン 1」はオークションで約61万5000ドル(約6600万円)で落札された。

ヘリテージまでも味方につけた「エア ジョーダン」は、スニーカー界のキングである。そう断言しても、問題はないだろう。

「What’s AIR JORDAN」とは……
オークションではマイケル・ジョーダン本人が着用していた「エア ジョーダン 1」が61万5000ドル(約6600万円)で落札。彼が現役引退してからも派生モデルは増殖し、比例するように熱狂的マニアも後を断たず。エア ジョーダンって一体、なんなんだ?
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戸叶庸之=編集・文 ナイキジャパン=写真
# ナイキ# エア ジョーダン# テート・カービス
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