2020.08.10
FASHION

五輪3連覇の柔道王・野村忠宏さんが“一本”取られた3つのサングラス

「夏のサングラス3本勝負」とは……

「サングラスは大人っぽい雰囲気が出ますよね。ただ、一歩間違えるとイキっているようにも見えてしまうから気を付けてます(笑)」。

サングラスに気恥ずかしさを覚える人は少なくない。お洒落さをアピールしていると思われるんじゃないか……と怯えているのは、柔道王・野村忠宏さんも同じ。ただ、その格好良さ、陽の光をやらわげるギアとしての優秀さも十分に理解している。

そんなシャイな金メダリストが手にしたサングラスを3本、無理言って御開帳いただきました!

野村忠宏さん●1974年12月10日生まれ。奈良県出身。柔道家。アトランタオリンピック男子柔道60kg以下級にて金メダルを獲得し、シドニーオリンピックでは2連覇を成し遂げる。

野村忠宏さん●1974年生まれ。奈良県出身。柔道家。アトランタオリンピック男子柔道60kg以下級にて金メダルを獲得し、シドニーオリンピックで2連覇。続くアテネオリンピックで柔道史上初、全競技を通してアジア人初となる3連覇を達成。2015年の現役引退後は子供たちに柔道を教える傍ら、アスリートのマネージメント、セカンドキャリアのサポートなどを担う会社、ネクステンドを設立。キャスターとしても活躍し、『S-PARK』(フジTV系)などに出演中。

【1本目】シンプルの極地に見る伝統の技

マスナガの「光輝」
ウェリントン型のMASUNAGA「光輝」。

’04年アテネオリンピックで3連覇を達成し、野村忠宏の名は世界に轟いた。

「当時は、ちょっと変装でもしたほうがいいのかなと思って(笑)」と、青山のとあるメガネ店に入ってみたものの……。

「金メダルを獲ったとはいえ、まあ性根は奈良の田舎者ですから。スマートな店員さんに『何かお探しですか?』と声をかけられただけでドキドキしちゃって(笑)。お洒落な雰囲気に耐えられず、そのときは何も買わずに遁走してしまいました」。

そのお店こそ福井県が誇る名門「MASUNAGA」。ただ野村さんにとっての幸運は、直営店が地元・奈良県にもあったことである。

「まさか近所にあるとは思わなくて、それからちょくちょく行き始めたんですよ。お店のスタッフさんも地元の人なので話しやすかったし、そっちでは不思議と緊張しませんでした(笑)」。

今では気付けばMASUNAGAのメガネを10本ほども所有しているという。

MASUNAGAのスピリットと技を宿し、長らく人気を博してきた大定番「カスタム72」。コチラの「光輝」はその血筋で、モダンさと洗練さを湛えた後継モデルである。

イタリア・マツケリ社の美しい素材を採用し、熟練職人が手掛ける工程は膨大。手間暇をかけて仕上げられた一本は、万能なシンプルデザインのなかに美しさと威厳を醸す芸術品だ。

「やっぱりこの黒フレームはどんなスタイルにもハマってくれる。キャップを被ることも多いんですけど、そんなときもまさにコイツがしっくりくるんですよね」。

見た目はもちろん、そのブランドの背景や職人たちの技にも見惚れた一本は、美しい背負い投げのように、野村さんに強烈なインパクトを残したようだ。

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【2本目】これならチャラくない、軽快な美しさ

こちらはMASUNAGA×ケンゾーのサングラス。

「メガネ屋へ行ったら、やっぱりいっぱい掛けてみたい。似合う似合わないもあるし、好奇心だって溢れます。スタッフさんとのやりとりも楽しいですよね」。

MASUNAGAの店舗ではじっくり試着時間を取る野村さんだが、決して手に取らないものもある。クリアフレームである。

「ちょっと気恥ずかしさがあるんですよ。もとから肌が浅黒いので、クリアフレームやカラーレンズを掛けるとチャラく見えてしまうんです(笑)」。

知らず知らずのうちに遠ざけていたそうだが、コチラは例外だった様子。

「純粋に『すごくきれいだな』と思いました。ある意味で子供っぽくないというか、大人がしてもサマになるサングラスだな、と」。

このサングラスはケンゾーの創始者、高田賢三氏とのカプセルコレクションの一品。フロントはクリアだがテンプルはシャープなメタルを使ったコンビフレームで、軽快ながらもどこか知的、かつスタイリッシュな雰囲気を醸す。

ブリッジに刻まれた繊細な彫金は嫌味なく主張し、程良い個性を演出。掛け心地も自然で、長時間の着用でも疲れることはない。

長いこと抱いていたクリアフレームへの苦手意識を一本背負いでぶっ飛ばしてくれた、思い入れのあるサングラスだ。

 

【3本目】妻への贈り物、な〜んて言いつつ……

オリバーピープルズのサングラス
ラストに登場するのは、オリバーピープルズのサングラス。実はこの持ち主は……。

ラストは、またほかの2本とは異なる佇まい。

「サングラス選びの基準は、まず掛け心地。そして似合うかどうか。もうそこだけですね。そう考えると、フルメタルのフレームはあまり持っていないかもしれません」。

そんなこともあって、コレクションの大半はセルフレーム。黒が主流で、レンズの色も黒がほとんどである。そんな野村さんにとって、ブラウンベースの鼈甲柄はいささか思い切ったようにも思えるが……。

「実はこれ、妻への贈り物なんです。とはいえ、妻とアイテムを共有することも多い。これもその部類で、今回はお借りしてきました(苦笑)」。

そんななか、何やら意外な発見もあったようで。

「鼈甲のブラウンが浅黒い僕の肌によく馴染んでくれるんです。これまで黒に偏っていましたが、『これはアリだな』って思いましたね」。

野村さんの価値観を巴投げしたオリバーピープルズ。ほっこりエピソードの裏で得た発見は、サングラス選びの選択肢を広げる一助になったようだ。

【コラム】ランニング時の相棒はスポーティな一本

アディダスのサングラス
ワークアウト中の相棒はアディダス。

現役時代は海外での試合も多く、外国特有の強い陽射しから目を守るためにサングラスは必携だったとか。とはいえ、外出の際にも基本的にはジャージーだっただけに、よく重宝したのがスポーツタイプのサングラス。今頼りにしているのはアディダスのそれで、ジョギング時などに活躍中だそう。

「陽除けはもちろんですが、やっぱりスポーツ用はズレない、ブレない、壊れないというのが大前提。これはその点を十分に満たしながら、流れるような美しいスマートなフォルムがいいですね」。

「ギアとして優秀で、雰囲気作りにひと役買えばなお良し。ブランドの歴史や職人の技なんかが透けて見えるともうグッときますよね」。

野村さん流、サングラス選びの極意である。「長く続いているブランドということは、やはり何らかの理由があると思いますから」。国技ゆえの誇りを背に世界と戦ってきた男の言葉は、やはり重みが違う。

「夏のサングラス3本勝負」とは……
いよいよ到来、ギンギンぎらぎらの夏である。そうなると欠かせないのがサングラス。ファッションとしても、紫外線から目を守る道具としてもマストな外出時のアイテム。センスのいい大人たちはこの夏、何を掛けるのか? お気に入りの3本を見せてもらう。
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菊地 亮=取材・文

# サングラス# 柔道家# 野村忠宏
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