Day 16 SAT.
人生の嵐に翻弄されるオレ。
ホウセイ、ありがとよ。オレはちょっとだけ疲れちゃったんだよ
110番でも119番でもない、心のエマージェンシーコールがあるとするなら、ユースケにとってそれは、心置けない同期、ホウセイへの電話だ。土曜日の午後、自宅でふさぎ込んでいたユースケはホウセイのケータイを鳴らした。
「おお、そうか。なら今夜は旨いモンでも食って英気を養おうぜ」。学芸大駅近くにあるホウセイの行きつけの日本料理店で食事をすることになった。お洒落をする元気もなかったが、割烹料理を前にだらしない姿はいただけない。こんなときにニットは便利だ。シャツの上にクルチアーニで買ったグリーンのニットを着て出かけた。
さすがは食通のホウセイが通う店、どの料理も酒もユースケの心に沁みる。ただ、気持ちが緩んだのか、いつもより早く酔いが回り、心の奥底に閉じ込めていた気持ちが溢れ出してきた。「いいさ。嵐が過ぎ去るのを待とう」。ホウセイは優しくユースケを励ましてくれた。
食事が終わり、ふたりは別れた。ユースケの酔いで火照った肌を冬の夜風が撫でる。ふと疑問に思う。『あの店って完全予約制だよな。なんで今日急に予約が取れたんだろ。もしかしたら奥さんと行くはずだったのかも……』。ユースケは親友の顔を思い浮かべ、目頭を熱くした。
着回しアイテム【9】「サイベーシックス」のシャツ茶系の配色と立体的なシルエットが大人の雰囲気を演出。ボディはコットンオックス。2万5000円/マスターピースショールーム 03-5414-3531
【11】「ポロ ラルフ ローレン」のパンツ洗いがかかったチノクロスを使ったワイドシルエットパンツ。グルカショーツ風のウエストデザインも特徴的。2万3000円/ラルフ ローレン 0120-3274-20
お助けアイテムブルーグリーンの上品な発色もさることながら、上質ラナウールのなめらかな肌触りも絶品。ハイネックも着こなしのアクセントに。
「五本木 響」
学芸大学駅近くにある季節の素材を活かした日本料理店。豊洲市場で仕入れた季節の食材を使った懐石スタイルの料理と、常時10種類が揃う日本酒が食通の間で評判を呼ぶ。写真は、旬を迎えた「のどぐろの肝醤油焼き」。昼、夜ともに「お任せコース」のみで、カウンターのほかに個室も用意。完全予約制。昼5000円〜、夜1万円〜。03-6303-0738
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