噂の別注作を自腹買い。種市さんと藤井さんのマニアックなグイディ・トーーク!
中目黒のショップ、ベンダーを拠点に、デザイナー藤井隆行さんによる普遍的な服作りが人気のブランド「ノンネイティブ(nonnative)」。こちらがこの秋リリースするニュースなアイテムに、イタリアブランド「グイディ(GUIDI)」への別注ブーツがある。
さて、このグイディを、皆さんはご存知だろうか。「NO」が大多数と察するが、本誌連載「種カジのタネあかし」を読んでくれている人の答えは「YES」だろう(なはず)!
というのもグイディは、連載の主、種市暁さんがワードローブに備える愛用ブーツのひとつで、誌面に幾度となく登場しているから。

やれたレザーの味わいと、垂直ではなく斜めに立ったシャフト(履き口の筒部分)の形状が独特で、その佇まいに惚れ込んでいる次第。
ならば、と。種市さんと、別注ブーツの仕掛け人であるノンネイティブ藤井隆行さんに、マニアックなブランド「グイディ」の魅力について徹底的に語っていただくことに。結果、ブーツの魅力だけでなく、その向こうに見えるブランドの奥深さまでが浮き彫りに!?
改めて質問。種さんが履いているグイディって?
――いつも話題になるノンネイティブのコラボが、この秋はグイディということで、オーシャンズとしては「あのグイディ!」と盛り上がったんです。そこで、お二人には私物のグイディをお持ちいただいて、その魅力を思いっきり語り合っていただこうと。
藤井 コラボの新作を出すときは業界の友人や知人などには連絡するんですが、今回に限っては種さんくらいしか思いつかなかったですね(笑)。本当はみんなに自慢したいんですけど、伝わらない。
種市 かなり低いからね、グイディの認知度。長年グイディ・ファンをやってるんで、お声がけいただき光栄です(笑)。
――改めてグイディってどういったブランドなんですか?
藤井 イタリア・トスカーナの靴ブランド、コンチェリア グイディ ロゼリーニ社が手掛けるブーツブランドがグイディです。グイディ&ロゼリーニという別ブランドでは短靴も出してます。実はレディスのロングブーツなんかもあるんですよ。
一同 へー。
藤井 今は日本での輸入総代理店がなくて、直接やりとりしました。
種市 アツいね、直接とは。
藤井 僕はこのシュッとしたブーツをレッド・ウイングのように履くのが好きなんですけど、ほかにないんですよ、代わりが。ホント、唯一無二な存在。
種市 そうそう。レッド・ウィングだとアメカジの匂いが色濃く出過ぎちゃうってときが出番。誰とも被らないし(笑)。
藤井 そうですね、被り知らず(笑)。あと、グイディは意外と何とでも合うんですよ、エレガントからカジュアルまで。
種市 そうだね。だから、若い頃からずっと持っていて、今も捨てていない数少ないワードローブにグイディがあるんだよね、俺は。個性があるのに、スタイルが変わっても使えるし、確かに唯一無二。
――藤井さんが、グイディに惚れ込んだのは?
藤井 僕はそもそも短靴に興味がなくて、足元はだいたいスニーカーかブーツなんですよ。
種市 確かに、藤井が短靴を履いているイメージはないね。
藤井 でしょ。さらにブーツにも好みがあって、パンツの裾にブーツのシャフトが入らないとダメなんです。シャフトに裾をかぶせる感じ。だから、靴下レベルに履き口が細くないとNG。エンジニアブーツみたいに太いシャフトは、ボコって裾にアタリが出ちゃうから履かない。
種市 ブーツと裾のバランスは大事だよね。俺も、裾をブーツインしないでたるませたりするし。
藤井 あと、やっぱりこのシワっとした感じが好き。汚れが味になるからガシガシ履いても気を遣わないっていうのも大きいですね。
種市 雨の日にわざと履いて汚したりもしたな。だんだん味が出て格好良くなる。
藤井 でも、このブーツって履いていくうちに、ついたシワが伸びていっちゃうんですよ。だから、洗って再度キュッと縮ませる。僕はこれ全部洗ってますよ。
種市 それは知らなかった!そこまではしたことないな。
藤井 洗えるくらい上質な革という証明でもあるんですけどね。
種市 なるほど。レザーの種類ってどんくらいあるんだろ?
藤井 基本的にバッファローレザーが多くて、ほかはポニーレザーとかベビーカーフスエードが使われていますね。一枚革なのでライニングがないんですよ。そのクッタリ感も全体の味出しに貢献していると思います。
種市 そうなんだ。この味のある質感を“グイディレザー”ってひとくくりで呼んでて、それぞれ種類も違うってところまでは気づかなかったわ。
藤井 種さんのと僕のも、ちょっと違うでしょ。
種市 確かに。しかし、グイディのレザーを見極めるって、なかなかのマニアっぷりだな(笑)。
実際の別注ブーツの全貌をココに、徹底解剖!
――さて、肝心のコラボブーツがこちらです。改めて、藤井さんからポイントを。
藤井 インラインのバックジップブーツにビブラムソールを付けました。ベージュと黒の2色あるんですが、実は別注と呼べるのはベージュのほう。一応、黒はインラインにもあったんで。それで、ベージュのカラーサンプルを渡して、この色に仕上げてもらいました。

――ノンネイティブ恒例ともいえるベージュカラーのコラボシューズ。色のムラ感も雰囲気満点!
藤井 製品染めなのでオイルが滲み出てるんですよ。レザーは、黒がベビーバッファローで、ベージュがホースですね。実際、工房に渡したカラーサンプルはもう少しグレーが強かったんですけど、上がってきたこの色もいいなと思いまして。
種市 いいなぁ、コレ。手持ちのグイディにはない色だから、両方とも欲しくなっちゃうわ……でもなぁ……どっちかと言えばベージュか……いやいや……。
藤井 種さんには両方買ってほしいなぁ。グイディ・ファンなんですもんね?
種市 ちょっと待て(笑)。まずは一回履かせて。
藤井 どうぞ、どうぞ。
――新品だと、シャフトがこう、斜めになっているんですね。
種市 これがグイディのキモでもあるんですよ。履くとその人に合わせたシワが自然に生まれる。
藤井 僕と種さんの私物を見比べても、シワの雰囲気が全然違いますよね。

種市 そうだね。これもいい感じに育ちそうだな〜。ちなみに何足作ったの? 限定?
藤井 限定ではないですけど、レザーの仕入れなどの関係で、かなり少ないです。
種市 ……そうやって危機感煽って、ズルいぞ。
藤井 そういうヨコシマな気持ちはないですよ(笑)。ただ、歴代のコラボの中でも、いちばんニッチなアイテムではあるんで、売れたら嬉しいな〜という素直な気持ちはあります。
種市 でも、一回の売り切りというよりも、息長く売り続けていってほしい気もするなぁ。ベンダーに行ったら必ず置いてある、みたいな。そういう普遍的なブーツだと思うから。
ノンネイティブ別注グイディは、ズバリ、一生モンである
種市 ノンネイティブ別注グイディは、モードな雰囲気とアメカジにも似合う独特のバランスを持ってるよね。例えるなら、リック・オウエンス(編注:雑に言うと、長い袖の革ジャンをシワシワに着ることで人気のブランド)なんかに近いモード感もあるのに、レッド・ウイング的なマッチョ感もある。その辺のバランス感は藤井ならではなんじゃないかな。
藤井 ありがとうございます。
種市 プロダクト的な佇まいがあるんだよね。玄関に置いておくだけでサマになるっていうかさ。
藤井 僕としても、佇まいは重視しています。今の時代が求めるような、わかりやすさとは対極にあるような価値をこのグイディにも持たせたくて。オブジェみたいな存在になれたらうれしいですね。ブーツだから、その必要はないのかもしれませんけど。
種市 ある意味で一生モノなんですよ。一般に言われる永久定番ブランド的なものとは少し違うベクトルだけどね。長く履きたいから俺も、グイディは二回くらい直してるのよ。ジップを交換したりしてね。味わいも大事にしたいしさ。
藤井 ということは、この2足も、一生モノにして……くれるかな?

種市 いいともー! って、おい……でも、なくなったら後悔しそうだから……買っちゃう!
藤井 毎度ありがとうございます!
かくして、好事家二人によるグイディ対談は、種さんの自腹買いということで幕を閉じた。
バックジップのシンプルな顔立ちに、ビブラムソールのマッシブ感。これらが融合して、さらに着こなしやすくなっているグイディへのノンネイティブ別注ブーツ。発売は10月19日(土)だ。
「種カジのタネあかし」で気になっていた人はついに買えるチャンス到来! どうかお買い逃しなく。
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ベンダー 03-6452-3072
高村将司=文