スニーカー世代を刺激する「一足触発」 Vol.27
2019.04.05
FASHION

コストコのPBスニーカーに一足触発! 見つけたら即買いのある物語

ここ数年スニーカーシーンで話題となっているキーワードが「Dad’s shoes(ダッドシューズ)」や「Dad’s sneaker(ダッドスニーカー)」である。直訳するとお父さんの靴、お父さんのスニーカーとなるが、スニーカー業界では、 アメリカのお父さんが履いているようなボリューミーなスニーカーを指し、このボリューミーなシルエットは バレンシアガのトリプルSを始めとした、 昨今流行のスニーカーのデザインに少なからず影響を与えたはずだ 。

そんなダッドスニーカー界において、 入荷するとすぐ完売を繰り返してきたヒットアイテムが存在する。それが、コストコのプライベートブランドである「カークランドシグネチャー」のスニーカー。2000円しないから買っているのはファッションとは無関係な人々かと思ったが、さにあらず。

インソールは低反発フォームを使用し、足裏とのフィット感が高い。

ファッション業界関係者からも高い支持を受けており、スニーカーに関連した仕事を30年以上続けている筆者の琴線にも触れたのである。

カークランドシグネチャーのスニーカー、その魅力を探ってみる。


始まりは、スニーカーブランドの企画担当が
アップしたインスタグラムの投稿だった!

ダッドスニーカーという言葉が聞かれるようになって、しばらくが経過した。アメリカのお父さんが履いているようなボリューミーなスニーカーを指し、その野暮ったさが逆にカッコいいということになり、モードブランドのスニーカーに、瞬く間にそのデザインテイストが取り入れられることに。

しっかりとしたつくりで、とても2000円以下で買えるスニーカーには思えない。

スポーツブランドでもアディダス イージーブースト 700 ウェーブランナーやイージー500、ナイキのM2Kやモナークといったモデルは、ダッドスニーカーに分類され、日本未発売のニューバランスのM642シリーズなども典型的なダッドスニーカーだ。

カークランドシグネチャーがデザインを参考にしたと思われるニューバランスM642。アメリカのおじさんが普通に履いている隠れたロングセラーで、日本未発売。
シュータンラベルにV3とあるように、このモデルは第3世代である。

さらにワールドワイドでヒットしているフィラのディスラプターも、その多くが女性に履かれているが、ボリューミーなシルエットからダッドスニーカーの系列として語られる。このような状況のなかでも隠れたヒットモデルとされているのが、カークランドシグネチャーのスニーカー。

カークランドシグネチャーとは、会員制スーパーであるコストコのプライベートブランド。ミネラルウォーターや肉etc.食品のイメージが強いかもしれないが、アパレルやシューズなども展開しており、ファッションにウルサイ人間は以前から「一部のアパレル品番は、この価格では考えられないクオリティ!」と評価されていた。

カークランドシグネチャーのスイムショーツ。細部にまでこだわったつくりで、とても1480円には思えない。

そして、ある日筆者がコストコを訪れると、シンプル&ボリューミーなスニーカーが売られていた。樹脂コーティングがされているとはいえ、天然皮革アッパーのスニーカーが2000円以下は安いと思い試履きすると、低反発素材のインソールを装備するなど履き心地も悪くない。ベーシックなデザインなので、どんなボトムスにも合いそうだ。

アウトソールパターンはクロストレーニングやテニスシューズなどを想起させる。幅広設計なので、安定性が高い。

しかしながら、「実際に履くかわからないから……」と、最終的には購入しなかった。それから、しばらく経過したある日、某スニーカーブランドの企画担当者がアップしたインスタグラムの投稿を見てビックリ。そこには自分がスルーしたカークランドシグネチャーのスニーカーが。その3日後コストコを再訪するも時すでに遅し。山積みされていたスニーカーは跡形もなく、店員に聞くと2日ほどで完売したという。

それからは日本各地のコストコ、サンフランシスコのコストコでも探したが出会えず。後悔先に立たずとはまさにこのことで、仕方がないので「縁が無かったんだ……」と諦めることにした。


1年ぶりの再会はお盆に帰省した
地元・愛知のコストコだった!

2018年8月、旧盆の時期に愛知の実家に帰省し、常滑のコストコへ家族で食べるための寿司を買うために訪れた。そして、食品コーナーに向かう途中、この1年探していた、あのカークランドシグネチャーのダッドスニーカーに再会する。

箱は側面に靴のイラストが描かれるレトロな雰囲気。

「カークランドシグネチャー メンズアスレチックシューズ 1998円」。の値札の下に、箱に入ったダッドスニーカーが山のように積まれていた。

「この大量の靴箱もあっという間に無くなるんだろうなぁ」と思うと、1足だけでは飽き足らず、マイサイズのUS8(約26cm)を2足購入した。

そして東京に戻り、このスニーカーを履いていると、いろんな人が「カッコいいですねぇ、どこのですか?」と聞いてくる。「コレ、2000円しないんですよ!」と答えると、皆が一様に驚く。

ホワイトマウンテニアリングのカジュアルパンツや、ノンネイティブやパタゴニアのスウェットパンツと相性が良く、格好良く履きこなせる。あまりチープな雰囲気もないので、もっとカチッとしたパンツに合わせてもいいかもしれない。

この日はホワイトマウンテニアリングのボトムスと合わせたが、シンプルかつベーシックなので、コーディネイトを選ばない。

「これでロレックスのデイトナとかしていたら、その靴の値段を当てられる人はほとんどいないでしょうね!?」とサラリーマン時代の後輩が言ったが、こういったプロダクトをファッションとして取り入れるコツは、すべてを安いモノでまとめないこと。これはサープラスと呼ばれる軍放出物をコーディネイトに取り入れることが得意なスタイリストが昔、「戦地に行くわけじゃないんだからミリタリーアイテムは1個か2個でいいんですよ!」と言っていたことに似ていると思った。

このような掘り出し物に巡り合えるかもしれないから、これからもコストコに行ったときは、食品だけでなく、アパレル&シューズ売り場をチェックしたい。


南井正弘=文

# カークランドシグネチャー# コストコ# スニーカー# ダッドシューズ
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