黒。原理としてはすべての波長の光を吸収する色。だが、実際は実に多彩だ。服であれば、使用する素材次第で光沢ありマット感あり、色なき世界に彩りを与えている。以下でご紹介するアイテムを見ていただければ一目瞭然だろう。
もちろんモードの世界でも愛され続け、フォーマルにも不可欠。着れば、シック、都会的という言葉に必ず至る色。奥深き“クロ”の世界、とくとご覧あれ。
「ディオール オム」のブルゾン
黎明期からメゾンを支えるクリス・ヴァン・アッシュがアーティスティック ディレクターに就任してから早10年。そんな節目となる今季、シグネチャーカラーである“黒”にフィーチャーしたアイテムが多数登場した。なかでもひと際存在感を放っていたのが、フランス人アーティスト、フランソワ・バールとコラボレーションしたこちらのブルゾン。
その身頃には、フードを被った人物をモデルにしたという、モノクロームで描かれた彼の作品が大胆にプリントされている。アートに精通するクリスの集大成に相応しい、美しい陰影が織りなす一着。後世にまで語り継がれる可能性を持つ“クロ”の傑作がここにある。
「コーチ」のバッグ
出会った瞬間にビビビときた。野球のグローブをヒントに生まれたという、グラブタンレザーを採用した、上品かつ骨太なショルダーバッグ。使うたびにしなやかさが増すなど、経年変化が楽しめる点も男心をくすぐる。
「マッキントッシュ 0002」のパーカ
新進気鋭の若手デザイナー、キコ・コスタディノフと組んだ、カプセルコレクションの第2弾による本作。ブランドの代名詞であるゴム引き素材で仕立てたのは、光沢感のあるブラックが上品なプルオーバーのパーカだ。
「タカヒロミヤシタザソロイスト.」の靴
靴紐の跡がくっきり残るアタリをデザインにした個性派。ざらつきのあるラフな革の表情は唯一無二のロックな雰囲気を醸し出す。
「デラックス」の半纏
ふんわりとしたフェイクスエードのカーディガンは、フロントをボタンではなくヒモで留める仕組み。どことなく和を感じるルックスで、さらっと羽織るのにちょうどいい。
「タトラス」のコート
スタイリッシュなダウンアウターで人気のタトラスから春先に打ってつけのコートを発見。シワ加工を施した微光沢のナイロンが、カジュアルな装いに奥行きをもたらしてくれる。
「パラブーツ フォー ユナイテッドアローズ」の靴
パラブーツ人気の火付け役となった、モンクストラップタイプの「ミカエル ブリッド」。一時廃盤になっていたモデルが復刻され、再び注目を集めている。時代や年齢に左右されることなく愛用できる黒の別注と聞けば、買わない手はないんじゃない?
「ジミー チュウ」のバッグ
厚手のキャンバス素材をベースに、光沢のあるプリントを施すことで、同系色ながら陰影が生まれた表情豊かな黒。ライニングにあしらわれたカモフラ柄もモノトーンで統一するというストイックさ。複数のポケットやペン挿しを備えているので実用面も盤石。
「ビルケンシュトック」のサンダル
上質なスエードベルトにシルバーのバックルが映える、存在感たっぷりの一足。お馴染みのコルクソールとブラックのコントラストも絶妙だ。
「ザ・ノース・フェイス」のバッグ
ハードケースのような質感の都会的なビジネスバッグ。開口部はワンプッシュオープン構造など、機能面に優れたハイスペックな仕様も見逃せない。
「マインデニム」のデニム
“墨黒”のようなマットなブラックデニム。ステッチからリベットまで、とことん黒にこだわった妥協知らずの一本は、デニム通をも唸らせるはず。
「イエスタデイズ トゥモロウ」のガウン
ベロア独特の光沢は、黒が持つ艶感をこれ以上なく引き立たせてくれる。裏地付きのガウンはダメージデニムなんかと合わせても、調子が良さそうだ。
科学的に見ても、黒には物体を小さく見せる効果が実証されており、黒で引き締めというのは、紛れもない事実。これらを鑑みて、オッサンの“クロ”は買ってでも着るべし、なのだ。