メゾン マルジェラに惹かれる人へ届ける、いくつかのニュース

オーシャンズ世代がファッションに目覚めた頃、そう90年代に、モードの世界でキレキレなクリエイションを見せていたのが“マルジェラ”である。
それまで多くのブランドが持っていた“わかりやすい”ロゴは使わず、その代わりに採用したのは「4ステッチ」と呼ばれる“印”。それがアイコンとなり、たちまちメゾンとデザイナーは時代の寵児となっていった。今回はそんなメゾン マルジェラで見つけた、彼らなりの「6つのスタンダード」にフォーカス。やっぱり、マルジェラは我々を魅了する。

STANDARD.01_White T-Shirt

真空パックされたのは、少しだけトーンの違う3枚のホワイトTシャツ。そのパッケージには「ステレオタイプ」とプリントされている。設立当初から一貫してファッションの“定形”と向き合い、スタンダードの新しい解釈と独自のクリエイションを表現してきたメゾン マルジェラ。クラシックとモード、コンセプチュアルとアート。そして、ステレオタイプとエッジィ。二面性やコントラストに美学を見出すメゾンが白いTシャツに込めた想いを、着て感じ取りたい。
 

STANDARD.02_Military Shirt

大振りなダブルポケットとオープンカラー、その襟元に配された風よけ。個性的なルックスのシャツは、アメリカ・ケンタッキー州で発見された第二次世界大戦時代のミリタリーアイテムをベースにしたものだ。染色によってテクスチャーのあるデニムのように見せたコットンファブリックにはクラフト感が漂い、タフさと同時に繊細さを漂わせる。時代を着る感覚で、男らしく、無造作に。そんな付き合い方が似合う一枚である。
 

STANDARD.03_Cardigan

さまざまな年代のワードローブに光を当て、現代に蘇らせる「レプリカ」シリーズはメゾンにとって重要なカプセルコレクション。そこに加わったケーブル編みのフィッシャーマンズニットは、独特なロングシルエットと極端に落ちた肩線がユニークだ。ルーツをアイルランドに持つアイテムに潜む、モードなエッセンス。それを見つけ出す審美眼もまた、メゾンの真骨頂といえるのだ。
 

STANDARD.04_Sneakers

ジャーマン・アーミー・トレイナー。イニシャルを取って「GAT」と呼ばれるスニーカーは、’70年代に発見されたトレイナーを下敷きに、メゾンが1996年に「レプリカ」ラインに採用したアイコン的スニーカーだ。登場するや瞬く間にファッションピースとなり、多くのフォロワーを呼んだこちらに、今季はその仕様書をプリントしたモデル（写真下中央）などが仲間入り、バリエーションにさらなる広がりを見せる。
 

STANDARD.05_Blue Denim

ブランド名を入れず、1から23までの数字を羅列させたタグ。表からは、それを留める4本のステッチだけが見える。多くの人を魅了してきた特別な“4ステッチ”は、デニムの場合バックヨークに入れられる。今季登場したスリムフィットのローデニムは、フロントのトップボタンも比翼状にすることでさらなる匿名性を実現。服はデザイナーのものではない、手に取った人がどう着るかで完成する。メゾンからの揺るぎないメッセージである。
 

STANDARD.06_TABI-Shoes

時代も、文化も、ときには表と裏も。対極を巧みにデザインに落とし込んで試みるのは新たな価値創造だ。その代表的なピースが、レディスの「タビ」シューズである。今ほど一般的ではなかった和な要素をいち早く取り入れた“モードな靴”に、遂にメンズモデルが登場する。柔らかなカウレザーに薄いクレープソール、そしてアイコニックなデザイン。これを履ける日がくるとは……実にうれしいニュースである。
 
そして、さらにうれしいニュース。
ここで紹介した6つのスタンダードアイテムを中心にしたポップアップストアが、8月9日（水）から1週間、阪急メンズ東京にオープンする。
新作の「レプリカ」コレクションから、フィッシャーマンニットやカーディガン、1940年代のアーミーシャツ、今季の注目作であるリバーシブルレインコートなどに加え、「レプリカ」スニーカーコレクションもフルラインナップ。しかも、阪急メンズ東京、阪急メンズ大阪限定となるシルバーペイントを施したスペシャルモデルも登場予定だ。

変わらず我々を魅了するメゾン マルジェラの世界。オーシャンズ世代なら絶対に満足できるショップに、足を運ばない手はないのだ。
鈴木 親＝写真　星 光彦＝スタイリング　TAKAI＝ヘアメイク