良かれと思ってやったことが、相手にしてみれば「ちょっとイマイチ」……というのは、コミュニケーションに限ったことじゃないかも。ファッションだって同様で、たとえば定番のデニムスタイルも、女性陣から結構なダメ出しを受けていることがありそう。なぜなら男の「好き」はときに独りよがり。そこで心を大きく持ち、着こなしに一家言持つファッション系女子3人から、たっぷり批評とレクチャーを受けてみよう。ツウな着こなしを心得ておくのは、きっと損にはならないはずだから。(前編は
こちら)
【デニムにうるさい三姉妹】
デニムにうるさい長女:
中山まりこさん
1980年代よりスタイリストとして活躍。2014年に立ち上げた自身のブランド「マディソンブルー」では、質の良いカジュアルウェアを展開する。
デニムにうるさい次女:
安西こずえさん
女性誌でも活躍中の人気スタイリストで、実はメンズ出身。「好きな人に着せたい服」をモットーに考えるメンズスタイルは、女性から高支持率。
デニムにうるさい末娘:
根岸由香里さん
ロンハーマンのウィメンズディレクター。立ち上げから携わり、細部にこだわった店作りで成功。抜け感のあるファッションにこだわりがある。
助言3:「すべてがさりげなく見える男性が好き。よく見るとセンスいいな、くらいの」男の人のカーディガンって、ちょっと色っぽい。フェミニンな印象になる。そんなふうに自分で考えて選ぶことはないかもしれないけれど、女性から見たカーディガンってそんなイメージだとか。「ダンディなコートを着るくらいだったら、カーディガンを着てもらいたい。コートはレディスで人気のセリーヌみたいな、カーディガン的に羽織れるものを着ていてほしいな」との中山さんの意見に、安西さんがすかさず食いつく(笑)。「ノーカラーのシャツとペインターパンツを合わせて、キッズみたいに着てほしいの! 男の子もカーディガンを着ると急にお
利口さんに見えるじゃない? あんな感じ? いつもTシャツの彼がカーディガンを羽織ると、なんか特別に見えるんだよね。あれ不思議。でも大好物!」
じゃあ、根岸さんは?「そこに、履きこなしたコンバースを合わせるのがめちゃめちゃ好みです! コンバースは大定番だけど、しっかり自分の好みのモデルが確立している人に惹かれちゃいますね。フェミニンなカーディガンには、こだわりのスニーカーを合わせてほしいなぁ」と、さすがロンハーマンの目利きだけあり、自分の価値観を持った男性に魅力を感じるご様子。
ファッションにこだわりがある女性にしてみれば、「こうしてほしい」という確固たるビジョンがあるのは当たり前。しかしデニム自体にこだわりがあるオシャレ、すなわち「一つひとつに理由があること」にも惹かれるのかもしれない。
助言4:「カラーコーディネイトが上手くなる、本質とは!?」安西さんいわく、「上の写真のコーディネイトは、猿みたいな〝茶っ茶っ茶っ〞の組み合わせ(笑)。今季は断然、茶色が気になります。1980 年代のリーバイス519に、中山さんがおすすめの〝小籠包バッグ〞を合わせてみました」 ん?小龍包とは? 「巾着型の小型バッグのことです」と中山さん。そこに安西さんが続き、「ブランド物だってわかるバッグを持っている人は、私たち苦手かも。匿名感のあるものをさらっと持っているほうが大人の余裕を感じます」。
もうひとつ中山さんが気になっているのが、「薄く色落ちしたデニム。茶色っぽい色落ちは不潔そうで嫌だけど、白っぽい色落ちは隣にいたらキュンとくる」んだとか。根岸さんも、「確かに色物って派手に見えるけど、要は似合ってるか似合ってないかを見極める力が大事。自分に似合う服をわかると、デニムスタイルって抜群に素敵になりますよね」と持論を展開してくれた。
今回、安西さんがコーディネイトをする際に思い描いたのは「好きな人に着せたい服」。つまるところ、女性目線から見た格好いい男のデニムとは、シンプルで着る人の内面の出るファッションってことなのかもしれない。デニムのウンチクを語るオッサンより、スタイルから人間力が見え隠れする男性のほうが魅力的。盛ったオシャレを考える暇があったら、男は日々内面を磨く努力が必要なのかも! 実はそれがオシャレへの早道って気付いてるかな……。
男性陣の皆さん、自分に問いかけてみては? ともすれば、小手先だけではツウというより、むしろ“痛(ツウ)”になってしまうかもしれないのだから。女性が見るオトコのオシャレは、勝手だけれど意外と奥が深いっていうお話でした。