2021.07.06
FAMILY

ジャガイモを洗濯機で洗う妻と手で洗う夫。夫婦が揉めないための注意点

当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら

PanKR / PIXTA

夫が家事・育児に関わる機会が増える中、頻発する夫婦間の家事・育児トラブル……。新著『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか』では、イラっとさせるNGワードの紹介のほか、仕事のスキルを活かしたアプローチなどが紹介されています。本稿では同書から一部を抜粋しお届けします。

ジャガイモを洗濯機で…?

多くの場合、妻の中には、家事のやり方や仕上がりについて「これが正解」がある。しかし、それがなぜ正解なのかは、実は本人もよくわかっていないことも、ままある。

知り合いのIさん夫婦は、妻は洗濯機でジャガイモを洗う家に育ち、夫はジャガイモは手で洗う家庭に育った。結婚して新婚生活を始めて、妻がジャガイモを洗濯機で洗ったら、パートナーに驚愕されたという。

「なんで、洗濯機を使うんだ?」と聞かれても、Iさんには答えようがなかった。実家ではそうしていたのだから、それが当たり前だと思っていたのだ。それに、洗濯機で洗わないとすると、じゃあ、一体どうやってジャガイモを洗うのか。彼女にはそれも見当がつかなかった。

Iさんのパートナーは、「泥のついたジャガイモを洗濯機で洗うと、洗濯機が汚くなるからやめてほしい。泥を落とすのはバケツでやってくれ」と説得を試みた。ところが、「洗濯機はもともと汚れを落とす機械だから、泥のついたジャガイモを入れても、特に問題はない」というのがIさんの考えだ。

話は平行線をたどった。最終的には、「洗濯機以外でジャガイモをどうやって洗えばいいかわからない」というIさんの主張を基に話しあい、パートナーがジャガイモをバケツの中で手で洗うことになったという。

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新生活を始めるにあたって、ふたりのスリッパを用意して使い始めたというSさんは、パートナーの男性がスリッパを履いたまま畳に上がる姿を見てびっくり仰天した。「畳ではスリッパは脱いでもらえない?」とSさんはパートナーに提案した。

しかし、「畳も床は床。なぜ、板の間で履いているものを、わざわざ畳に上がるときに脱がなければならないんだ?」と納得しなかった。「掃除の仕方だって、板の間と畳で変わるわけでもないじゃないか、と言われて。結局、私が彼を説得するだけの理由が見つからなくて、こちらが妥協することになりました」とSさんは言う。

しかし、長年畳ではスリッパを履かないものだと思い込んできた彼女は、どうしてもスリッパで畳に上がるのに抵抗がある。「だから、私自身は畳に上がるときはスリッパを脱いでいますが、彼がスリッパで畳に上がるのに文句を言うのはやめました」。

小さなことのようだが、日常の生活というのは、こうした小さな家事・習慣の積み重ねだ。そして、こうした家事のやり方の違いは、一緒に生活をしてみて初めて気づくことが多い。

何を汚いと感じるか、何をおかしいと感じるかは、育った環境や生活習慣に由来することも多く、ロジカルに理由がないことも多い。

だからこそ、家事をシェアする上で、妻からやり方について指示が出たときに、納得のいかない指示については、鵜吞みにせずに、どうしてそうする必要があるのか、軽く聞いてみることをおすすめしたい。

肝は「軽く」聞くことだ。詰問したり、相手を説き伏せようとするのではなく、まずは、「なんでそうなの?」と、聞いてみる。もちろん、納得のいく理由があれば、それを採用すればいい。

バスタオルは毎日洗わなくていい?

K氏は、妻に「バスタオルは毎日洗わなくていいから、ちゃんと広げてかけて、十分乾かして」と言われた。「独身の頃、僕は、毎日洗っていたんですけど」とK氏。

「ところが、妻は、「体を洗ってから拭いているんだから、汚くない」というんですよ。だから、二~三日に一回洗えばそれで十分なんだ、その代わり、ちゃんと干せということなんです。

最初、そう言われたとき、毎日タオルを洗っていた僕としては、そんなんで大丈夫なのかと思いましたけど。でも、言われてみれば、確かに洗った体だしな、みたいな。

バスタオルを一回使っただけで洗うなって言われるより、洗った体を拭いているからいらないと言われると、理にかなっているかなと」。以来、K家ではバスタオルは二~三日に一回の洗濯でOKが共通ルールになったという。

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説明を求めたときに、こうした論理的な話になれば、こちらの言い分も話し、双方納得の上で方針を決めればいい。ところが「謎の理由」や感情論が出てくることもある、とK氏は笑う。

「バスタオルをホテルの畳み方みたいにしろって言われたときは「は?」ってなりました。「三つ折りでええやん」って僕は思うわけです。そこだけはバトりました。いくら妻に「こっちの方がきれいやんか」って言われても「知らんがな」ですよ」。

大分バトルをしたとはいえ、心優しいK氏は、最終的には、折れて、彼女の好む畳み方を覚えたという。が、例えば「どうしても、君のようにうまくは畳めないから、畳むのは君に頼みたい」と、自分は手を引いて相手に任せるやり方もあるだろう。

特に、納得しがたい「謎の理由」や、手間がかかって、失敗しそうなもの、うまくできなくてかえってもめ事の種になりそうなものについては、「自分には無理そうだから、お願いします」とやんわり境界線を引いて、相手に任せてしまうのも一案だ。

肉を洗う習慣のある家庭で育った人は、洗わなければ気持ちが悪い。「気持ちが悪い」という感情的な部分はなかなか譲れない。肉を洗わないと起きるデメリットを説明できるわけではないが、習慣だから、洗わなければ我慢できない。

けれども、「え? 肉って洗うものなの?」という人は、ついつい洗い忘れてしまう。こんなカップルの場合も、「洗うの忘れちゃうから、肉料理は任せるよ」と兜を脱いでしまった方が、もめないし、何より、お互いに納得の上で、作業の棲み分けができる。

双方の納得が大切

ささいなことのようだが、育った家庭の習慣が違えば、家事の常識も違ってくる。夫が理由を聞いてみることで、お互いの認識のずれに気がつく。尋ねられることで、「そういえば、何でかしら?」と妻も自分の家事を見直すきっかけになる。一方、理由を尋ねることで、夫の方は修正案を出しやすくなる。

『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか』(平凡社)

その後、どちらかの方法にしたがうのか、あるいは、二つのルールを共存させるのか、さらには、「君のルールは、僕が実践するのはかなり大変そうだ。ここは君のテリトリーとして、君に任せるよ」と一線を引くのかは、ケースバイケースだ。

大事なのは、こうやって理由を聞き、話をしながら、お互いの生活習慣に気がついていくことではないだろうか。その上で、一線を引いて棲み分けるなり、共同で作業するなり、というやり方を、双方納得の上で決めていけばよいのだと思う。

 

佐光 紀子:翻訳家、家事研究家
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記事提供:東洋経済ONLINE

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