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2018.04.24

かぞく

職人技に男心、グラリ。父子で行くべき土屋鞄のランドセル工房

春。真新しいランドセルを背負う小学1年生の姿が眩しい季節。我が子の数年後を重ね合わせる人も多かろう。頑強ながら、シンプルでセンスのいい逸品を背負ってほしいなら、注目すべきブランドがある。
それが、1965年創業の老舗・土屋鞄製造所。
日暮里・舎人ライナーの西新井大師西駅から、歩いてほど近い場所。そこには、職人が働く工房見学と色鮮やかな製品が並ぶ販売店での品定め、両方を堪能できる西新井本店がある。

販売店に並ぶのは、シンプルで美しいシルエットのランドセルと大人向けの革鞄・小物たち。2019年入学用のランドセルは、販売期間中、56種類あるラインナップすべてが展示され、もちろん試着は自由。丈夫な牛革、馬の臀部でつくられた高級感あふれるコードバン、軽くて丈夫な人工皮革クラリーノ(R)・エフ、そして経年変化が楽しいヌメ革という4種類の素材を用いた製品が並ぶ。

「土屋鞄のランドセルのコンセプトは、『つくりに丈夫さを、佇まいに品格を』。6年間の使用に耐え得る丈夫さと、1年生でも好きになれて、6年生になっても似合うシンプルなデザインを目指しています」(同社広報・三角茜さん)。
工房では職歴50年を超えるベテランから、美大・芸大卒などの若手が集まり、一つひとつのランドセルに力を注ぐ。ほとんど機械を使わない手作りで、150以上のパーツ、300以上の工程を経て完成。ひとつのランドセルが完成するまで、約1カ月の時間がかかるという。

上質な素材選び、より丈夫な作りを実現させる丁寧な糊付けとミシンがけ、ランドセルの角につくられた菊の花びらのように美しい“菊寄せ”。工房見学スペースからは、職人たちの細かい手作業と熱気を垣間見ることができる。

さまざまなパーツを組み上げてつくるランドセル。本体の最終工程・ミシンがけを手掛けるチームリーダー・若林輝さんはこう語る。

「私も4歳になる娘がいるのですが、『自分の子供が使うなら』という気持ちで作っています。職人目線でいえば美しさを、お子さん目線ではすぐに壊れない“丈夫さ”を大切にしています。汚くしろというわけではないですが、子供なりの使い方で楽しく遊んで、使ってもらいたいですね」。
自身の娘が小学校に上がるまであと2年。「すべての工程を習得するのは難しいかもしれませんが、自分ひとりで作ったランドセルをプレゼントしたいです」と若林さん。その表情には、職人としてのプライドと、親としての優しさがあふれていた。
土屋鞄では、2019年入学用のランドセルを4月18日(水)から実店舗とオンラインショップで注文受付開始。これまでは入手困難な場合もあったが、今年は一部製品を除き、5月15日(火)までは希望したすべての製品の購入が可能となっている。

オンラインショップも便利だが、本物の質感はわからない。工房を見学しながら、上質なランドセルを品定め。父子とも気持ちの上がる場所へ足を運んでみてはいかがだろうか。
土屋鞄製造所 西新井本店
住所:東京都足立区西新井7-15-5
電話番号:03-5647-5124
営業時間:10:00〜18:00
定休日:火曜日(ただし、2018年4月18日〜5月31日は休まず営業)
www.tsuchiya-randoseru.jp
撮影=濱田 晋
取材・文=芋川 健


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