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2017.11.21

かぞく

「そんなに頑張らなくていいよ」の言葉がママの心を逆なでする


パパは家事も育児も一生懸命やっているつもり、ママにも最大限気を使っているつもりなのに、なぜかママがいつもイラっとしている。そんな夫婦間のギャップの原因を、ママ目線から解説するこの連載。今回、多くの妻のイライラの原因となる「夫が話を聞いていない問題」に着目してみたいと思います。
「自己評価の高いパパ」と「いつも何かが不満なママ」を最初から読む

パパは家事も育児も一生懸命やっているつもり、ママにも最大限気を使っているつもりなのに、なぜかママがいつもイラっとしている。そんな夫婦間のギャップの原因を、ママ目線から解説するこの連載。今回は、パパが良かれと思ってやったことが逆効果だった事例をご紹介します。
パパの「良かれと思って」が裏目に出ることがある
パパに何かを頼んだ時や困りごとを相談した時などに、パパが気を利かせてやってくれたことや言ってくれたことが、ママを残念な気持ちにさせたり、気持ちを逆撫でしたりすることがあります。ママたちから「良かれと思ってやってくれているのはわかるけれど……」という言葉を聞くこともしばしば。
例えば、会社員の真紀さん(仮名)は、パパに買い物を頼むと全然違うものを買ってくることがよくあると言います。
「先日私が風邪を引いて寝込んでしまったことがあって。食欲も無い私の様子を見て、パパが『何でも好きなものを買ってくるよ』と言ってくれたんです。それで、サンドイッチが食べたかったのでツナサンドをお願いしました。ところが買ってきたのは牛丼。駅前のパン屋さんが混んでいたので、近くの牛丼屋で買ってきたと言うんです。『精をつけて早く良くなってもらいたくて』と。牛丼を食べるほどの元気が無いからサンドイッチだったのに……」
真紀さんの夫は、買い物を頼むと、たびたび目的から外れたものを買ってくることがあるそう。
「頼んだ物が無かったり、何らかの理由で買えなかった時に、気を利かせて別のものを買ってくるようなのですが、そのポイントが間違えていることが多いんです。ひょっとすると、私は目的や理由まで説明しているつもりなのに、そこまで聞いていないのか、または彼の中で何かがズレているのか……」
ちなみに我が家でも先日「野菜ジュース。できるだけフルーツ感のあるやつね」とお願いしたのに、何を思ったかまるで青汁のような緑の野菜満載の野菜ジュースを買ってきて、ちょっとしたケンカになりました。こういった夫婦間の認識のズレは、意外とどんな家庭でも日常的にあるのかもしれませんね。
ママから買い物を頼まれて、もし目的の物が無かった、またはお店が休みだったなどの理由で買えなかった場合、面倒でも一度電話などで相談してもらえると、こうしたすれ違いがなくなるかな、と思います。
例えば仕事の場合、人に聞く前に自分で考えて判断したほうがいいことも多いと思いますが、それはきちんと主旨や目的を理解した上でのこと。買い物に関しても、それを買う理由や意図がきちんと理解できていないと、判断を間違えてしまいます。夫婦間の日常会話では、相手の話をそこまでしっかりと聞いていないこともあると思いますので、判断に自信が無い時には、再確認をお勧めします。
気軽にかけた励ましの言葉がママの心を逆撫でる
もうひとつの例は、同じ「良かれと思って」でも、また違ったパターン。夫からのなにげない励ましのひと言がママの心を逆撫でたというエピソードです。
自宅で英語教室をしている恵美さん(仮名)は、仕事が忙しくていっぱいいっぱいになった時に言われたひと言が忘れられないと言います。
「私の場合、家で仕事をしているので、家事や子どもの幼稚園への送り迎えは、だいたい私の担当。普段はそこまで忙しくはないのですが、イレギュラーな仕事が立て込むことがあり、そういう時は夫から見ても私がイライラしているのがわかるようで。そんな風に忙しくしていた時に『そんなに頑張らなくてもいいんだよ』と言われたのが、後からジワジワと腹立たしく感じられて。気を遣って言ってくれているということはわかるのですが……」
確かに、こう言われてしまうと、ママとしては頑張ったことを否定されたような気持ちにもなりますし、「私が頑張らなかったら、じゃあ家のことは誰がやるのよ」みたいな気持ちにもなるかと思います。
テンパっているママを見て、ちょっとでも励ましたいと思った場合には「仕事も大変なのに、いつも家のことありがとう。何かできることある?」というような声掛けのほうが、まず日頃の頑張りを認めてくれているんだという気持ちになり、ママとしては素直に喜べるのではないでしょうか。
そんなちょっとしたニュアンスまで気を遣わなければならないのかと思うかもしれませんが、ポイントは「感謝」。「ありがとうという感謝の言葉さえあれば、どんなに大変でもイライラしない」という言葉も多くのママから聞くので、忙しくてイライラしているママには、まず「ありがとう」のひと言から伝えてみてはいかがでしょうか。
文/相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手がける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。
イラスト/佐野さくら
 


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