キャンピングカーのリアル Vol.7
2021.10.09
CAR

キャンピングカーで全国ツアーも。GAKU-MCが10年以上もハマり続ける理由とは

キャンピングカーのリアル●永遠の憧れ、キャンピングカー。あんな使い方やこんな使い方ができたら……と妄想が膨らむけど、燃費は? 維持費は? 運転は難しくないの? レンタルはどう? あらゆる角度で探った“キャンピングカーのリアル”。

第1回は音楽界を代表して、GAKU-MCさんが登場。ライブツアーもキャンピングカーで回るほど深い愛情を注ぐGAKUさん。彼が語るキャンピングカーのリアルとは。

GAKU-MC●1970年、東京都生まれ。旅とフットボールを愛し、アコースティックギターを弾きながらラップする日本ヒップホップ界のレジェンド。桜井和寿(Mr.Children)とはウカスカジー結成。音楽とフットボールという世界二大共通言語を融合し、人と人を繋げることを目的にする団体「MIFA (Music Interact Football for All)」を立ち上げる。キャンドルの灯りと音楽で日本を元気するイベント「アカリトライブ」発起人。www.gaku-mc.net

本格的にキャンピングカーの魅力にハマって10年以上。現在はYouTubeチャンネル「Channel Rap+」で体験に基づく有益な情報を発信し、今月2日にはエッセイ集『人生にキャンピングカーを』を上梓。

キャンピングカーでのバンライフを楽しむ21人にみずから取材して執筆したという、“ハンドルを握った自由な人生”を愛するGAKUさんならではの意欲作になっている。

本業の音楽活動においても、2017年からメンバーたちと自走で全国ライブツアーをめぐってきた。今年は「サーフィンしながらライブツアーしたいですね」という東田トモヒロさんの年賀メールをきっかけに、GAKUさんが「やろう!」と返信して全国10カ所でのツアー「キャンピングカーであなたの街へ GAKU-MC × 東田トモヒロ DRIVE AND LIVE TOUR 2021 THE DAY」を企画。

音楽機材とサーフボードを積み込み、のんびりドライブを楽しみながら、1カ月にわたって開放的なカフェ、サッカーコート、キャンプ場というオープンな場所で音楽を奏でてきた。

その模様は「Channel Rap+」で「THE DAYロードムービー〜奇跡の軌跡〜」として公開。オープニングからして心地良く、海岸線に向かう小道をゆっくり進みながら、青い海が見えてくるにつれ高揚していく2人の様子に、最高に楽しい旅だったことが表れている。

目的地に向かうも、急がず、少しずつ歩む旅模様。それは、かつてのライブツアーとは異なる状況なのだと、GAKUさんはいう。

「デビューして30年近く。日本全国でライブをしてきたんですけれど、各地の記憶が残っていないんです。記憶にあるのは、ステージと打ち上げとホテルの部屋だけ。すごくもったいないですよね。

それであるときハイエースでツアーに出たんです。すると田園風景のなかを走ったり、太平洋に見惚れたり、日本地図が身体にスーッと入ってきました。日本の素晴らしさを感じながら移動できるこのカタチがいいなと感じたんです」。

ハイエースの利用によって「点から点」だったライブツアーの移動は「線」を描いた。そしてそれ以前の東日本大震災が発生した年に経験していた、知人のキャンピングカーでボランティアに向かった記憶がまじり、現在のツアー形態につながっていくことになった。

かつては家族とともにアメリカ・カリフォルニアをキャンピングカーで巡ったことも。

仕事用の相棒だけでないのは、家族とカリフォルニアでロードトリップを敢行したことでも明らか。公私にわたり、乗れば乗るほど“ゆったりと移動する”魅力に深々とハマり、GAKUさんのなかでキャンピングカーの存在は大きくなっていった。

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現在の理想を詰め込んだ「GAKU号」

現時点でのハイライトはGAKU号を製作したことだろう。THE DAYツアーでも使用した1台であり、一般社団法人日本カートラベル推進協会/株式会社イノベントが主催する車と旅の祭典「カートラジャパン」のアンバサダーに就任した際の副賞として製作したものだ。

「カートラジャパン2019」でアンバサダーを務めたGAKUさん。その際に製作したオリジナルバスコンGAKU号がコチラ。キャンピングカービルダー「トイファクトリー」のスペシャル仕様だ。

「僕が毎年ライブツアーで使っていたことから声をかけていただき、『オリジナルのキャンピングカーを作りましょう』となりました。ベース車はトヨタのコースター。バスコンと呼ばれるタイプです。

いちばんのこだわりは車内を総ヒノキにしたことで、環境への配慮から間伐材を使っています。高級感があり、温もりがあり、車内に入ったときの香りもいい。楽器を演奏したときには程良く音を吸収してくれます」。

内装はすべてヒノキでオーダー。温もりがあり、落ち着く香りも漂っていたとか。

ツアーに出るのは男4人。男世帯ゆえベッドも工夫した。

「通常はダブルベッドを2つ備えているものですが、僕らは男だけでツアーに出るのでシングルベッドを4つにし、左右のベッドの位置もずらしました。起床したとき、髭面の顔が目に入るのは避けたいですから(笑)。おかげで目覚めはいつも快適です」。

各ベッドはカーテンを閉めればプライベート空間の確保が可能に。読書灯、電源とUSBのコンセントも備わっている。さらに車内には冷蔵庫や電子レンジ、ガス台にシンク、エアコン、テレビもある。エンジンを止めていても使用できるのは、屋根にソーラーパネルを設置しているためだ。

ベッドは左右の位置をずらすことで、同乗者同士の干渉を和らげた。

シャワールームは設けず、代わりにギターなどを収納するスペースとした。車の最後尾にはドラムセットや電子ピアノがスッキリ収まり、PA機材や物販アイテムの積載スペースもある。いつも楽器がそばにあるため、野営地到着後は毎度のようにビール片手のセッションに。もちろん眠くなったら、そのまま“ベッドにゴロン”である。

話しを聞くほどに、打ち上げたらホテルの部屋に戻り、翌朝は次の街へそそくさと移動していた頃と比べ旅の濃密度がまったく違うことがわかる。

それでいてGAKU号はディーゼルだから燃費もリッター約10kmと悪くない。普通免許で運転でき、8ナンバー扱いのため車検は普通自動車より安く抑えられる。キャンピングカーでの旅はいいことづくめ。やめられないわけである。

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知人の家族とキャンピングカーをシェアした経験も

主に仕事ユースのGAKU号は、家族で使うには「持て余すかな」という大きさ。今のところプライベートでキャンピングカーは所有していないが、以前には知人とシェアしていたことがあり、家族と富士五湖周辺のキャンプ場などで水遊びやアウトドアでの食事を楽しんでいた。

以前、知人たちと5家族でシェアして使っていたマツダベースのキャンピングカー。

「5家族で1台を所有していたんです。そのうちの1人がパパ友で、『どうしますか?』『参加する!』という感じでメンバーに。車種はマツダのボンゴトラックをベースにしたアミティ。対面シートのテーブルはセミダブルくらいのベッドになり、加えてシングルベッドが2つあって居住空間は快適でした。

440万円ほどの購入代金は5家族でシェア。自家用車と同額の駐車場、8ナンバー扱いの車検といったランニングコストも5家族で割って、1家族の負担は月に4〜5万円。月に1〜2回の使用だったので、とても実用的な所有方法だったと思います」。

ルームシェアならぬキャンピングカーシェア。確かに毎日の使用はそれほど現実的でないことを思えば、キャンプに行くときなど月に数度の利用を想定する友人知人と共有する方法は、憧れのキャンピングカーライフを手にする近道のように思える。

さらに民泊のようなシステムがあることも教えてくれた。

「Carstay(カーステイ)とAnyca(エニカ)は本当におすすめのサービスです。オーナー登録をすれば乗車しないときにレンタカーとして貸し出すことができ、キャンピングカーが“稼ぐ車”となって維持費の軽減に役立ってくれるんです」。

これら2つは「借りられるサービス」でもあり、バンライフを味わいたい人にもおすすめなのだ。

 

おじいちゃんになっても“キャンピングカーライファー”

元サッカー日本代表の福西崇史さんとお互いのYouTubeチャンネルのコラボと題した共同キャンプ。

レンタル、シェア、GAKU号の制作。あらゆる形でキャンピングカーライフを送ってきたGAKUさん。

使うたびに野営地選びも上手くなり、最初は高速道路のサービスエリアや道の駅を利用していたものの、最近は「車旅をしている人や地元の人の口コミを参考にしたり、地図を見ながら自分たちで探し当てたり」することを楽しんでいる。

そうして利用者の少なそうなRVパークや、夏のトップシーズン以外は無料になる海沿いの駐車場など、景色が良く、人が少なく、自然を満喫できる場所を見つけ出しては、風の吹くまま気の向くままに、のんびりと過ごす。

まさに自由を謳歌しながら日本のロードを行く旅模様。むろん止める理由はどこにもない。

 

「ライフステージによってキャンピングカーの理想の形は変わると思うんです。おじいちゃんになったらコンパクトなモデルで十分ですし、ギターやサーフボードとか必要なものだけ積み込んで、“北回りで3カ月行ってきます”という感じで。想像しただけで楽しみですよね(笑)」。

乗り続けると新しい楽しさに気づく。そして心身が自由になっていくキャンピングカーライフに、どうやら終わりはないようだ。

GAKU-MC
『人生にキャンピングカーを』(A-Works)発売中!

キャンピングカーと共に人生を謳歌する人々21人に、GAKU-MC自ら会いに行き、「キャンピングカーのある人生」を追ったエッセイ集。キャンピングカーにまつわるエピソードや具体的な使い方、実例などを紹介しながら、様々な角度からキャンピングカーの魅力を伝えている。

佐藤ゆたか=写真(取材) 小山内隆=取材・文

# GAKU MC# キャンピングカー# キャンプ
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