2021.09.20
CAR

198名のレネゲード&ラングラー購入者を分析。データが裏付ける「ジープ」ユーザーの深い愛情

当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら

日本でもっとも売れているジープである「ラングラー」と5ドア版の「ラングラーアンリミテッド」(写真:FCAジャパン)

ジープ(Jeep)の好調ぶりをよく耳にする。実際に、街中でジープブランドの車を目にすることも多い。

昨今のキャンプブームと相まって、オリジナリティ溢れるデザインと、国産車とも大きく変わらない戦略的な販売価格が要因である、との評価が定まっている。

具体的なジープ車の国内販売台数を見てみると、2019年:13354台(前年比116.8%)、2020年:13562台(前年比101.6%)と、コロナ禍にありながら絶好調と言える状態だ。

2021年3月には主力モデルである「ラングラー」の月間販売台数が、初めて1000台を超え、1123台を記録している。

「レネゲード」「コンパス」「ラングラー」「チェロキー」「グランドチェロキー」の5モデルをラインナップするジープだが、国内販売の大半はラングラーとコンパクトなレネゲードが占めている。そこで、今回の「購入者分析」では、この2車を主としながら、参考としてグランドチェロキーとコンパスも取り上げる。

<分析対象数>
ラングラー:115名
レネゲード:83名
(参考)
グランドチェロキー:54名
コンパス:45名
※いずれも分析対象は新車購入者のみとする。

レネゲードは2015年に登場したコンパクトSUVで、狭い道の多い日本とも相性のいい車だ。価格も308万円~と手が届きやすい。ジープ初となるPHEV(プラグインハイブリッド)の「レネゲード 4xe」も展開している。

ジープ初のPHEVである「レネゲード 4xe」(写真:FCAジャパン)

分析データは、いつものように市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」を使用する。

購入時の比較環境や流行の影響を揃えるため、レネゲードが日本で発売された、2015年9月以降の購入者を分析対象とした。

ユーザーの過半数が20~30代

まずは購入者の性別・年代構成を見てみよう。輸入車は、一般に高額であるため購入者の平均年齢は高くなる傾向にあるが、ジープは若年層が多い。ラングラーは約60%が20~30代である。

男女比はSUVであることもあり男性が多数派だが、比較的コンパクトなレネゲードとコンパスでは40%程度が女性ユーザーだ。

特徴的なのは、「支払い方法」についても同様で、「現金一括」の割合が低く、残クレが多い。

新車購入者全般にしめる「現金一括払い」の割合は、約60%(全車種・全メーカーの平均値:「Car-kit®」より)であるのに対し、ラングラーは30%強、レネゲードも40%台と低く、その分「残クレ」が多い格好だ。

購入者の年齢が若いことから「コツコツ貯めた現金で購入」というより、「今すぐ欲しい車だから、手元に十分な現金はなくても購入したい」といった気持ちが読み取れる。

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レネゲード(写真:FCAジャパン)
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コンパス(写真:FCAジャパン)
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ラングラー(写真:FCAジャパン)
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ラングラー アンリミテッド(写真:FCAジャパン)
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チェロキー(写真:FCAジャパン)
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グランドチェロキー(写真:FCAジャパン)
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今秋、発売予定の新型グランドチェロキー(写真:FCAジャパン)
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今秋、発売予定の新型グランドチェロキー(写真:FCAジャパン)
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大きな買い物である自動車は、その車種の性格により「購入の決定権」を持つ人が異なる。そこでそのスコアを見てみると、ラングラーのみ「すべて自分1人の考えで決めた」が50%近くと高い。

このスコアは、以前の記事で紹介したスバル「レヴォーグ」やスズキ「ジムニー」などと同水準の高さである。それぞれの車種の個性はまったく違うが、「すべて自分1人の考えで決めた」の多さは、こだわりを持ったユーザーに愛されている、という点で共通している。

次に「この時期に購入した理由」のスコアを見ていこう。注目すべきは「前の車の車検時期が来た」よりも、「自分の個性にあった車を持ちたくなった」が多い点である。

一般に、車を生活の移動手段として考えた場合、代替えサイクルは2年ごと(初回は3年)に訪れる車検が1つの区切りとなるケースが多い。

一方で、ジープのように個性や趣味性が強い車種は、車検のサイクルをあまり気にすることなく、「欲しくなったから買う」という傾向が出やすい。

実際、「新しい車を買って気分を一新したくなった」のスコアも高いことから、「自分を表現する車」「所有欲を満たす車」であることが読み取れる。

ジープが持つ「パワー」

では、ジープの購入に至った理由はなんだろうか。購入のきっかけを見ていくと「実車の持つパワー」の大きさがわかる。

「購入しようと考えたきっかけ」を複数回答で聞いた質問では、「ショールーム・展示場で車を見て」「街を走っている車を見て」といった、“実車を見たこと”が多くの人の購入のきっかけとなったことがわかった。

ジープは、その特徴的な外観やブランドアイデンティティから、ひと目でジープだとわかる強さを持つ。車に興味のない人が見ても、他メーカー車とは異なる印象を受けるものだ。

こうした他車と一線を画する特徴から、「一味違う車に乗りたい」といったニーズも取り込めている。そして、その点については、購入時に前提にしていた条件にも表われている。

同じく複数回答の設問で聴取したところ、「街中であまり見かけない」を選択した割合はラングラー:23%、レネゲード:22%、グランドチェロキー:38%、コンパス:33%だった。

「街中であまり見かけない」の割合がもっとも高かった「グランドチェロキー」(写真:FCAジャパン)

参考までに、ジープと同様に外観デザインに大きな特徴を持ち、唯一無二の存在と言えるスズキ ジムニーは、わずか9%(ジムニーシエラは4%)と低い。

ジープもジムニーも、こだわりの強いユーザーに選ばれている点では共通するが、こういった細部の違いからユーザーのキャラクターが垣間見える。

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ユーザーのキャラクターを見ていこう。車に対する価値観や、生活・消費に対する価値観のデータだ。それぞれの項目に対して、「あてはまる」「ややあてはまる」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の4つの選択肢から「あてはまる」を回答した人の割合を紹介する。

全車種・全メーカーを対象とした新車購入者全体と比較することで、ジープユーザーの特徴を明らかにしていこう。

代表車種であるラングラーに着目すると「車は自分にとって趣味」「多少無理をしても気に入った車を選ぶ」のスコアが高く、車好きや車への支出の優先度が高い人々であることがわかる。

「車選びは第一印象を大事にする」「周囲の人に注目される車に乗りたい」「自分のセンスには自信がある」も同様に高く、自身がいいと思ったものに向かって真っ直ぐに突き進む姿勢が見える。

先に紹介した「街中であまり見かけない」を購入時の前提条件にあげていたように、ほかの人とカブらない、注目される車に乗りたい思考があると言える。

そして、そういった考えは「さまざまな情報を積極的に取り入れている」ことが裏付けとなっているようだ。

充実したライフスタイルのために

筆者は、ラングラーでなければ走破できないような道を、突き進もうとしたことはこれまでにない。しかし、災害の多い日本においては、いざというときのために高い走破性を持ち合わせている車に安心感を覚える。

同時に、そのような性能面を考慮せずとも、オリジナリティ溢れる外観デザインと、これまでジープが培ってきた「無骨」「タフ」といったイメージをかっこいいと感じるユーザーに共感できる。

「無骨」「タフ」といったイメージは全モデルに共通する(写真:FCAジャパン)

ジープに興味を抱き、購入に至った人は、本格的な走破性が自分にとって必要かどうか、内装の具合はどうかといった「堅実な足し算」だけをしたのではないだろう。保有することで、毎日の生活がより充実し、楽しくなるという期待感が背中を押したのだと思う。

ジープは、親会社が次々に変わる歴史を持つが、ブランドの哲学をほとんど変えてこなかった。以前のジムニーの記事では、“長きにわたってコンセプトを変えない”という開発・販売戦略がオンリーワンのポジションを確立した、といったことを書かせていただいた。

このような個性あふれる車種たちが、自動車市場の多様性を拡大させ、購入時の検討の幅を広げ続けてくれることを期待したい。

 

三浦 太郎:インテージ シニア・リサーチャー
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記事提供:東洋経済ONLINE

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