乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.142
2020.08.21
CAR

そろそろ終了。7年かけて成長した7代目「ゴルフ」の“熟成”を味わいたい

「味わい深い、熟成車」とは……

2013年に登場した7代目フォルクスワーゲン「ゴルフ」。既に本国では8代目がデビューしていて、年内にも日本にやってきそう。

というわけで7代目「ゴルフ」は、今が“熟成”極まった最終モデルなのだ。

写真は2019年2月に追加された7代目「ゴルフ」のGTIパフォーマンス。最高出力はGTIの+15psとなる245psとなるほか、ハイビームで走っていても対向車等がいると自動で遮光してくれる機能や、手のジェスチャーで画面が切り替わるディスプレイ機能を標準装備するなど、培った技術を“全部のせ”してくれたようなモデル。

日本デビューは2013年4月(販売は6月から)。以降、どのような熟成が進んだのか。早速みてみよう。

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熟成1:積み上げてきた安全性

まずは2013年5月のデビュー時点での安全装備をおさらいしよう。いわゆる自動ブレーキの「衝突被害軽減ブレーキ(対象は車のみ)」は全車に標準装備。また「全車速追従機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール(先行車の速度に応じてアクセル・ブレーキを自動制御)」と「レーンキープアシスト(車線内を走行するようステアリング操作を自動アシスト)」は、トレンドラインを除く全車に標準装備されている。

2015年7月に「後方死角検知機能」と「後退時警告・衝突被害軽減ブレーキ機能」「リアビューカメラ」を一部グレードに標準またはオプションで用意。つまり後方の安全機能が強化された。

次いで2017年5月のマイナーチェンジでは、アダプティブ・クルーズ・コントロールに渋滞で先行車に合わせて止まっても再発進してくれる機能も加わった(MT車とトレンドラインは除く)。また衝突被害軽減ブレーキは歩行者も検知できるように(それ以前の検知対象は車のみ)。

自動運転技術でいえば、高速道路上でシステムがステアリングを補正し、ブレーキ&アクセルもコントロールする「レベル2」に相当する。

もともとあった車線内キープの機能に加えて、車線変更時に後方から他車が接近しているかどうか知らせてくれる機能や、渋滞でのストップ&ゴーが出来るようになったことで、高速道路上ではほぼ車に任せて運転出来るようになった。

ただし手放ししていると車から警告され、それでも放っておくと機能が自動でキャンセルされるので要注意だ。

 

熟成2:見える機能も見えない機能も充実

2017年5月のマイナーチェンジで、一部グレードのヘッドライトがLED化された。これと先進安全機能を組みあわせることで、常時ハイビームで走行しても、対向車等がきた場合に、その部分だけ遮光できるようになっている。

LEDヘッドライトは複数の光源が束になって前方を照らすしくみ。センサーで対向車等を検知すると、その部分の光源のみ照射しないようにすることで、防眩する。

同時にエクステリアデザインが変更されたほか、インテリアもメーターが大型ディスプレイによるデジタルメーターに切り替わった。

デジタルメーターは、例えば速度計とエンジン回転計の間にナビ画面を大きく映し出すなど、表示内容を好みで変えることができる。

純正オーディオはそれより以前の2015年7月の一部改良でスマホ連動機能を装備。スマホのナビアプリや音楽アプリを画面に表示し、操作できるようになった。

さらに2017年5月のマイナーチェンジで、操作画面をタッチだけでなくジェスチャーでも画面を切り替えられるナビ機能付きディスプレイがオプションで用意された。

手をかざして、左右どちらかに手を振るだけで、画面が切り替わる。
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熟成3:選べるパワートレイン

パワートレインの選択肢も増えた。マイナーチェンジ後の2017年10月に電気自動車の「e-ゴルフ」と、プラグインハイブリッドの「GTE」が追加された。次いで2019年8月には、「ゴルフ」としては久々のディーゼル車となる、2Lディーゼルターボ×7速DSG×FFというTDIコンフォートラインも加わった。

モデル後期でこれだけ追加されるのは異例。中でも「e-ゴルフ」の投入は極めて異例といえるだろう。なにしろ本国では2020年にほぼ同サイズの電気自動車「ID.3」がデビューし、秋から納車が始まる予定だ。

当然、「e-ゴルフ」が投入された2017年時点では「ID.3」の開発が進んでいたはずなのに、敢えて導入された。「ID.3」が登場すれば、「e-ゴルフ」は恐らくラインナップから外れるはず。別の見方をすれば、「e-ゴルフ」のような「見た目はほかのゴルフと変わらない電気自動車」は、これが最初で最後のモデルとなりそうだ。

電気自動車「e-ゴルフ」。1回の充電で301km(JC08モード)走る。

またモデルの拡充のほかにも、細かな進化バージョンが追加されている。2019年2月はベース車+15psとなる最高出力245psの「ゴルフGTIパフォーマンス」が追加された。

次いで2019年10月には、最高出力が290psにまで高められるなど、レーシングマシンのように走行性能が磨き上げられた「ゴルフGTI TCR」が600台限定で販売された。

ほかにもプレスリリースには載らないが、ゴルフは毎年のように足回りのセッティングを改良していることで知られている。

特にオプションの乗り心地の特性を「コンフォート」から「スポーツ」までの4段階から任意に選べるDCCを選べば(GTIパフォーマンスは標準装備)、快適な街乗りから、気持ち良く高速を飛ばす走りまで、まさに千両役者のように“使える”車になる。「シリーズ最強のRに次ぐGTI」という立ち位置が、年を重ねるうちに明確となり、それに準じた“乗り味”が追求された結果だろう。

GTIは、公道でそのパワーをすべて引き出すのは難しいほど高性能モデルだが、DCCを標準装備していることもあり、街での乗り心地はとても優しい。普段の買い物などに使いたい妻と、高速では気持ちよく走りたい夫との兼用車としては、最適解のひとつだろう。

「ゴルフ」は「ビートル」のあとを継ぎ、国民の車として誕生した。

そのため人々の暮らしの進化に合わせて成長してきたわけだが、成長のタイミングは何もフルモデルチェンジだけではない。

人々の暮らしに沿った新技術やセッティングが見つかれば、その都度、惜しみなく投入されている。7代目の熟成後期モデルは、デビュー時点とは別モノの“7代目”と言えるほど、しっかり成長しているのだ。

「味わい深い、熟成車」とは……
ひとつの車種でも、マイナーチェンジはもちろん、実は毎年のように小さな改良が施されている車は多い。ひとつのモデルの後期ともなるとその“熟成”はかなり進んで、ワインのよう深い味わいに。そんな通の間では人気の「後期モデル」は、我々にも当然、美味しい車なのだ。上に戻る

籠島康弘=文

# ゴルフ# フォルクスワーゲン# 熟成車
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