2019.04.17
CAR

フルレストアから修理、車検まで。あえて「古いボルボ車」を売るディーラーの正体

当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちらから。

ボルボの往年の名車の1台「P1800ES(1973年式)」(撮影:クリハラジュン)
ボルボの往年の名車の1台「P1800ES(1973年式)」(撮影:クリハラジュン)。

「愛車」と呼ばれることがあるように、工業製品であるにもかかわらず愛情やこだわりを持って接することが多い自動車。できれば気に入った1台を末永く乗りたいと考える人も多いだろう。しかし、そこに大きく立ちはだかるのが、故障や経年劣化によるトラブルだろう。

もちろん工業製品であるから、ダメになった部品を良品に交換すればまた問題なく使えるようになるのだが、問題となるのはその部品の供給だ。自動車はご存じのとおり、毎年新モデルが登場する。そのため、生産終了から一定期間が経過した車種に関しては徐々にその部品の供給が終了していき、直したくても部品が出ないということが起きてしまう。

最近ではマツダが初代ロードスターのレストアプロジェクトを開始したり、NISMOが第2世代スカイラインGT-Rの部品を、ホンダがビートの部品をそれぞれ再生産したりするなど、古いモデルに対する対応を始めるメーカーも登場しつつあるが、それよりも前から旧型車のパーツを粛々と供給し続けていたメーカーがあった。それがスウェーデンの自動車メーカーのボルボである。そしてクラシックモデルを受け入れる場所として、日本法人であるボルボ・カー・ジャパンが2016年8月に立ち上げたのが今回紹介する「KLASSISK GARAGE(クラシックガレージ)」なのだ。

正規ディーラーが行うという価値

クラシックガレージはボルボ直営の正規ディーラーであるボルボ・カーズ東名横浜の敷地内に専用のガレージを構え、基本的には’90年代初め頃までの後輪駆動時代のモデルを中心に取り扱う(ユーザーからの要望があればそれ以降のモデルも取り扱ってくれる)。

実はボルボの日本への正規輸入は1960年代にまでさかのぼり、それから現代に至るまでの細かな資料が残っているというのが、正規ディーラーがクラシックモデルを手掛けるうえでの強みと言えるだろう。もちろん、修理のノウハウは正規ディーラー網を通じて全国に共有することができるので、クラシックガレージには遠くて足を運べないというユーザーでも、近所の正規ボルボディーラーに相談すればディーラーとクラシックガレージが連携して対応してくれるのだ。

つまり、全国どこにいても一定のクオリティのサービスを受けられるというのが、一般的な専門店や修理工場とは異なるポイントであり、正規ディーラーが行う最大のメリットというわけなのである。

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クラシックガレージと聞くと、古いモデルを丸裸にして何百万円もの大金を投入し、ピカピカにフルレストアする……というイメージがあるかもしれないが、実はちょっとした一般修理から通常の車検まで、ユーザーの要望に合わせて柔軟に対応してくれる。そのため、2016年8月の立ち上げから昨年までですでに200台を超えるボルボが入庫しているそうだ。

ボルボの往年の名車たち(撮影:クリハラジュン)。

レストアに関してもユーザーにヒアリングをし、予算に合わせたプランを提案してくれる。そのため、無理のない範囲、自分のペースで愛車を仕上げることができる。こういう点もディーラーならではのきめ細かなサービスである。

クラシックガレージが手掛けた車両たち

今回は実際にクラシックガレージが手掛けたレストア車両に乗る機会に恵まれた。当日会場に用意された試乗車は、1970年式アマゾン、1973年式P1800ES、1993年式240ワゴン、1996年式940エステートの4台で、P1800ESのステアリングを握ることができた。

ボルボ「P1800ES」の運転席(撮影:クリハラジュン)
ボルボ「P1800ES」の運転席(撮影:クリハラジュン)。

当日はあいにくの雨模様にもかかわらず、エンジンはぐずることもなく一発始動。アイドリングもビシッと安定し、45年以上前のモデルとは思えない好調ぶりを見せてくれた。パワーアシストの備わらないステアリングはパーキングスピードこそ重く感じるが、タイヤが転がりだしてしまえばそれほど苦にならない。ミッションもイージードライブのオートマチックだったため、これなら日常的に使うことも夢ではないと思える仕上がりだった。

また、当日用意された240ワゴンは348万円、940エステートは238万円(共に執筆時点の本体価格)で実際にクラシックガレージで販売されているもの。価格だけを見ると高く感じるかもしれないが、当時の新車のようなフィーリングに仕上げられており、ここまで仕上げる費用を考えれば決して高いとは言えないところ。「ここから20年乗っていただけるように仕上げました」というスタッフの言葉に偽りはないだろう。

このようにクラシックガレージが仕上げたボルボを手にしてもいいし、今所有しているボルボを入庫させても、入庫させるために中古のボルボを買ってもいい。クラシックボルボには多くの夢と選択肢があることを再認識した試乗であった。


小鮒康一:フリー(ライ)ター
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記事提供:東洋経済ONLINE

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