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2018.10.01

コンパクトSUV対決! ジープとミニが辿り着いたそれぞれの最適解は?

街では取り回しやすいサイズ感で使い勝手が良く、乗り心地も適度に柔らかく快適。しかし、ひとたび未舗装路を走れば高い走破性を発揮する。
「コンパクトSUV」は、そんなクルマの“おいしいところ”を融合させたからこそ、今日これだけの車種がリリースされ百花繚乱、一大ブームとなっているのだ。
そんななか、とりわけ強いキャラクターを持った存在が、ジープ レネゲードとミニ クロスオーバーだ。

この2台はともに長い歴史を持つブランドであり、ジープの最初のモデルが世に出たのは1941年。ミニ クロスオーバーの原点は言わずと知れたミニ。オリジナルモデルは’55年にイギリスで生まれた。以来、ふたつのブランドはまったく異なる道のりを経て、このコンパクトSUVのセグメントへとたどりついた。
軍用車として大型オフローダーから始まり、だんだんとサイズを小さくし、うまく市場にマッチさせたジープ レネゲード。“最小限”から徐々にサイズアップを図り、アクティブ層にも応えるクルマとなったミニ クロスオーバー。両ブランドの進化の過程は真逆だが、時代に応えるクルマとして、たどりついたのがコンパクトSUV=街角サイズの冒険SUVというわけなのだ。
出自の違いは性能にどれほどの差をもたらすのか? 6つのポイントごとにそれぞれの特性を見ていこう。
 

JEEP RENEGADE
ジープ レネゲード


ボディサイズ:全長4255×全幅1805×全高1695mm
燃費:10.4〜15.5km/L 総排気量:1368〜2359cc
価格:299万円〜
ブランド初となるコンパクトSUV。街乗りがメインとなるクルマだが、もちろんアウトドアフィールドへ繰り出す際にも、頼りになる1台。FFモデルとジープ社伝統の4WD性能を備えたモデルも用意されている。

4輪駆動車の代名詞「JEEP」に脈々と受け継がれる哲学
アメリカ陸軍が使用していた小型4輪駆動車を起源とし、「備え付けの工具ですべての修理ができる」「3輪状態でも100kmは走れる」などタフな設計を求められ、生み出されたのがジープ。レネゲードも、街乗りに適したモデルとはいえ、ジープのクルマ造りの哲学は色濃く出ている。写真は1980年代〜’90年代に大ヒットし、オーシャンズ世代にも馴染みの2代目チェロキー。
 

MINI CROSSOVER
ミニ クロスオーバー


ボディサイズ:全長4315×全幅1820×全高1595mm
燃費:14〜21.3km/L 総排気量:1499〜1998cc
価格:345万円〜
初代ミニからデザインを受け継いで復活するや、一気に人気ブランドの仲間入りを果たしたミニ。そのミニのSUVバージョンがクロスオーバーだ。最大のウリはミニ独特のゴーカートフィーリングはそのままに、たくさんの荷物が積めるようになり、アクティブな使い方もできるようになったことだ。

ミニ クロスオーバーの原点となる「ミニ」とは?
今や自動車の主流であるFF駆動をいち早く実用化し、自動車史に大きな影響を与えた傑作車のミニ。2001年にBMWグループとなってからも「小さくて可愛い実用モデル」として人気を集めている。ボディサイズは少しずつ大きくなり、ワゴンやクーペが登場し、2010年からブランド初のSUVであるクロスオーバーが追加された。
 

POINT 1 デザイン
「武骨さよりもポップ感」は今の主流!?


互いに歴史あるブランドイメージを背負っている2台だが、その表現方法はまったく逆。ミニが全モデル共通のデザインでわかりやすくブランドらしさを表現しているのに対し、レネゲードは基本デザインをまったく新しくし、所々にジープエッセンスをちりばめている。ともに個性的でポップな印象なのは、すべてのコンパクトSUV共通の流れか?
 

POINT 2 街乗りでの快適性
ともに適度な柔らかさで、乗り心地は互角


街乗りで重要なのはソフトな乗り心地。ただ柔らかければいいというわけではないが、柔らかいほうが「快適」と感じる人が圧倒的に多いのは事実。その視点で比べると、ともに合格点ではあるが、やはり出自がオフローダーのジープよりはミニのほうがわずかに上だろう。といってもレネゲードの硬さも比較対象があって初めてわかるレベルのものだ。
 

POINT 3 悪路走破性
悪路走破性でジープに敵うクルマはない!?


4WDモデル同士で比較した場合、やはり強く推したいのはレネゲード。ミニの4WD能力が低いわけではないが、相手はジープ。80年近く鍛えられてきた4WDの設計思想を継承したレネゲードは前後バンパーを短くするなど、悪路を走るためのデザインもしっかりと継承。コンパクトSUVのなかでも、悪路走破性の高さは際立っている。
 

POINT 4 燃費性能
グレードによっては最大20km/L超えも!


燃費性能を上げるためには軽さが重要。もともと背が高く重量がかさむSUVは、燃費性能では不利であり、コンパクトSUVの数少ないデメリットでもある。それを踏まえれば両者の数値はともに優秀といえるだろう。燃費を重視するならミニ クロスオーバーに用意された17km/Lを超えるPHVや20km/Lを超えるディーゼルモデルが狙い目だ。
 

POINT 5 積載量
使い勝手に困らない十分なスペース


積載量はミニ クロスオーバーが450〜1390L、レネゲードは525〜1440Lとレネゲードのほうが上。どちらもコンパクトSUVの水準をしっかりとクリアし、ラゲッジルームの積み込み口もスクエアで荷物の積み下ろしがしやすい。もちろん両者とも、後席を畳んで荷室を広げることができるので、どちらを選んでも不満が出ることはないはずだ。
 

POINT 6 コクピット
ブランドの考え方はコクピットに表れる


レネゲードは使いやすさ重視。スイッチやダイヤルを大きく、わかりやすく設計して、誰もが直感で操作できるようにデザインされている。対するミニは、外装だけでなくインテリアもすぐにそれとわかるデザインでブランドらしさを強調。初代モデルから受け継がれている大きな丸形のメーターパネルは、派生車種も含めた全モデルに統一されている仕様だ。
 
出自は対極にある両者だが、たどりついた最適解はともに「街角サイズのSUV」だった。さぁ、デザインと機能を見比べて、どちらが自分の好みか熟考してみよう。
 
郡 大二郎=写真 島下泰久=文 iconic=構成


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