
季節を幾度跨いでも、オールブラックの勢いは止まらない。黒は黒でもアイテムごとの繊細な彩度の違いを着こなしの肝要とするならば、着る枚数が増えて表情に差の出る秋冬こそがむしろ“本番”だ。事実、街角には個性的な全身黒が百花繚乱。じっくり見ていこう。
【写真6点】「秋冬こそ表情をつけてオールブラック満喫!」の詳細を写真でチェック
① ミニマルな色使いが、シルエットの個性を浮き彫りに

ジャケット=ディッキーズ Tシャツ=レイトロル パンツ=古着 シューズ、バッグ=ともにワンサードリサーチ 帽子=ニューハッタン 眼鏡=アイヴァン 腕時計=カシオ
▶︎山本さんのスナップをすべて見る山本勇介さん(42歳)ワークシャツとワイドパンツはもちろんのこと、ハット、バッグ、スニーカーにいたるまで全身真っ黒。そのミニマルな色使いが、ユニークなシルエットメイクを浮き彫りにする。
黒尽くめでも重たく見えすぎないのは、インナーにグレーを差し込んだから。そして、アイウェアとシューズでブラウン系の色味を効かせたから。軽快な腕捲りも効果的だ。
② 黒で固めた上半身に、濃紺デニムが品良く寄り添う

ジャケット、Tシャツ、デニム=すべてコモリ シューズ=グイディ 腕時計=セイコー
▶︎井上さんのスナップをすべて見る井上航平さん(29歳)オールブラック、と見せかけてデニムは濃紺。カテゴライズとしては微妙だが、黒に寄り添う濃いインディゴの有用性、洒落感を再認識できるはずだ。
ジャケット&デニムというある意味でクラシックな合わせが、色のチカラとコモリのグッドセンスによってリラックス感あふれるモダンスタイルに昇華。雰囲気抜群なり!
③ 深みある黒合わせに、ネイビーカーディガンをさらり

カーディガン、パンツ=ともに古着 Tシャツ=ユニクロ シューズ=ジーユー 眼鏡、アクセサリー=ともにノーブランド バッグ=不明
▶︎山形さんのスナップをすべて見る山形一生さん(22歳)上の2人目と同じく、オールブラックの派生系ともすべき濃紺のピンポイント起用。清潔感のあるネイビーカーディガンをさらっとこなして、黒特有の武骨さを緩和した。
漆黒のパンツに対して、レザーバッグ&レザーシューズで質感と色調に深みを加えたのも妙手。短い金髪もアクセントになって、文句なしにサマになる。
④ 質感に加え、ディテールのあしらいで差を付ける

カットソー=パム パンツ=アズマ シューズ=ナイキ 帽子=エイティーズ 眼鏡=ノーブランド バッグ=ジーヴィージーヴィー ブレスレット、リング=ともにアンブッシュ
▶︎kazukiさんのスナップをすべて見るkazukiさん(32歳)テロっとしたトップスと、シャリっとしたパンツ。そんな質感の違いはさることながら、同色プリントやポケットの配置など、ディテールで差を付けるオールブラックだ。
ジャパンブランド同士のストリートライクな合わせに、シルバーを効かせたナイキのテック系シューズがジャストフィット。ゆるっとしたシルエットもグッドバランス。
⑤ 豊かな黒と粋な脇役が、ベーシックをモダンに見せる

コート=ヴィンテージ ニット=スティーブンアラン パンツ=フィフティーワンパーセント シューズ=オニツカタイガー バッグ=アンデコレイテッド 腕時計、リング=ともにカルティエ
▶︎小島さんのスナップをすべて見る小島秀斗さん(28歳)メルトンのチェスターコート、クルーネックのニット、タック入りのスラックス。極めてベーシックな組み合わせが、三者三様の黒の効果でこうもモダンに見違える。
脇役にも要注目。グレーの手袋とシルバーのスニーカーで作る粋なグラデーション、ミニ巾着という時流に沿ったモノ選び。細部まで抜かりなく、クロウトの流儀を貫く。
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これまでに何度もお伝えしたように、そつなくインスタントに決まるオーブラックは街の常套手段。だからこそ、組み合わせの幅が広がる秋冬は個性を前面に出していきたい。質感、シルエットで遊んで、楽しく自分らしく。寒い時のクロウは、買ってでもすべきってね。