
もう20年!? というのが率直な感想だ。
国内外で73施設を展開する日本屈指のホテルオペレーター、星野リゾート創業の地に誕生した旗艦ブランド「星のや軽井沢」が、2025年7月20日(日)、20周年のアニバーサリーイヤーを迎える。
ただ、装置産業の代表たるリゾート経営において、月日の経過は決していいことばかりではない。一般的に、華々しいオープニングから時が経つにつれ、ハードの老朽化やコンセプトの陳腐化といった諸問題と向き合わねばならないからだ。
だが、結論から言うと、星のや軽井沢にそんな心配はいっさい無用だった。いつ訪れても新しい発見や体験に出会える。星のやブランドのコンセプトとして知られる“その瞬間の特等席へ。”“圧倒的非日常の提供”は、微塵も色褪せないどころか、さらなる進化を遂げていたのである。
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「もっと日本らしさを大切にしながら近代化したとしたら」。「和の文化が熟成を重ねて今を迎えていたとしたら」。そんな空想上の“もう一つの日本”を思い描きながら創られた星のや軽井沢。施設のコンセプトは、“谷の集落に滞在する”。
浅間山麓の自然に囲まれ、集落の中央には清流から引き込んだ棚田の庭が広がる。豊かな水が流れる風景やせせらぎを感じられる棚田は、開業以来施設を象徴するランドスケープであり続けている。この類稀なロケーションの強みを改めて見直し、ゲストが気の向くままに集う休息の拠点としてアップデートしたのだ。
新たにデッキスペースを拡張したほか、棚田を異なる角度から臨む特等席「棚田ラウンジ」を整備したのが昨年6月。今年は同スペースを朝から晩まで、まさにオールデイで楽しみ尽くす仕掛け、つまりソフトウェアの部分がさらにパワーアップしている。
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