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「子供たちにとってのロールモデルになりたい」



ミニは2030年代前半までに電気自動車ブランドへと変化していくと発表しているが、その頃にはオリバーさんは55歳。「自分はどうなっているのかなあ(笑)」と、遠くを見やりつつ、改めて姿勢を正しながら言葉を紡ぐ。

「まず父親としては、子供たちにとってのロールモデルになりたいです。もちろん、それを押し付けるわけではなく、手本となるような振る舞いを見ることで成長してほしいですし、子供たちが大人になっても何かを与え続けられる父親でいたいです。

デザイナーとしては、引き続き好奇心を失わないこと。クリエイティビティはデザイナーにとっては日々変化するもので、私の最初の7年間はまさにデザイナーとしての活動をしていて、毎日刺激に満ちていました。

今回の新型ミニのプロジェクトでは、デザイナーとしての仕事内容もかなり変わりました。今の自分の役割は、過去の経験や新たな人脈など、私の持ちうる財産を点と点を結んで線にし、その一方で、ほかのデザイナーたちが創作意欲を失わないようにサポートすることであると思っています。

6年後も今と同じように、私の物作りに対する感性が、しっかりと機能していることを願うばかりです」。

インタビュー終了後、前述のゼンメルクヌーデルがどんな料理なのか気になって訊いた。オリバーさんは熱心に説明をすると再びペンを執り、料理名を英語で書いてくれた。

あのミニのように、丸みを帯びた可愛らしい筆跡だった。
オリバー・ハイルマーの10問10答

Q1. 宝物は?
スケッチブックと日本製のペン。

Q2. 健康のために維持していることは?
週3回のスイミング。

Q3. ミニのデザイナーでなければ何になっていた?
想像できません。

Q4. 日本で行ってみたい場所は?
富士山、スカイツリー。

Q5. 日本で体験したいことは?
新幹線に乗ること。

Q6. 日本に来たときに必ず食べるものは?
寿司。

Q7. 日本に来たときに必ず買って帰るものは?
日本製のペン。

Q8. 1日が3時間増えたら何をしたい?
カイトサーフィン、ペインティング。

Q9. 理想の60代は?
知的な側面を持ち合わせ、いろいろなことに好奇心を持って過ごしていたい。

Q10. 生きている間に成し遂げたい夢は?
今の仕事こそ自分の成し遂げたかった夢です。
オリバー・ハイルマー●1975年生まれ。ドイツ・ミュンヘン出身。大学で輸送機器デザインを学んだ後、2000年にBMW AGに入社。BMWインテリアデザイン部門責任者、BMWグループ デザインワークス所長などの要職を歴任し、17年より現職に就任。


山本 大=写真 オオサワ系=文

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