漁港は、気軽に幼魚に出会える“足元の海”
「岸壁幼魚採集家」とは読んで字の如く、岸壁にいる幼魚を採集し、研究する専門家だが、香里武さんが幼魚を採集する岸壁とは主に「漁港」だという。
「海が好きな両親は、よく漁港に連れて行ってくれたんです。普通は、ビーチや水族館に行きますよね。でも、漁港の方が簡単に海の生物に出会えることに気づいたんでしょうね」。
これまで採集した海洋生物は500種以上。その知識は、海のように広く深い。
「漁港は、まさに『足元の海』ですね。岸壁にかけられた梯子や船止めに使われるタイヤ、コンクリートの割れ目など、幼魚が隠れる場所がいっぱいあるんです。大きな魚が入ってこれないのも強み。
泳げるようになってすぐにサバイバルを強いられる幼魚にとっては、敵から守ってもらえる安全な場所になるし、餌になるプランクトンも多い。彼らにとってはパラダイスなんですよ」。
寝返りを打つ前から漁港に通っていた香里武さんは、いつしか片手にたも網を持ち、もう片方の手で哺乳瓶を持って遊んでいるような子供になっていたという。
「漁港で壮大な金魚すくいをして、持ち帰った幼魚を家で飼育する生活でした。中学生になる頃にはすっかり彼らの魅力にハマってましたね」。
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