名店② フルボディのような塩そば「麺道 金獅子」
続いて紹介するのは、2023年7月18日に開業した「麺道 金獅子」。
同店を切り盛りする店主・成田氏は、千鶏の大海氏と同じく、「麺道 麒麟児」でラーメンのノウハウを2年半かけて会得し、今般、待望の独立を果たした若手職人だ。上田ラーメンシーンの未来を担う逸材である。
現在、金獅子が提供するメニューは、スープが白濁するまで鶏を炊き上げて作る「鶏そば」「紅鶏そば」と、スープが透き通った「熟成醤油」「塩そば」の4種類。
なかでも、私が特に推したいのが「塩そば」である。
スープ(出汁)は、鶏純度100%。地鶏のガラ、名古屋コーチンの骨など、複数の部位を選りすぐり、緻密な計算によって掛け合わせ、丁寧に炊き上げている。これに芳しい帆立の香気を溶け込ませた塩ダレが、土台として支え抜く盤石の構成である。
口内で旨味がバルーンのように大きく膨らみ、嚥下したあとも心地良い余韻が快楽中枢を刺激するフルボディの味わいだ。
塩そばを注文する際には、「熟成醤油を塩そばに変更してください」と伝えよう。
ストレート麺も、スープを存分に絡め取り口元へと運び込む、この一杯の頼もしき相棒だ。気が付けば、スープまで一滴残らず完食していることだろう。
4/5