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2023.05.24

ファッション

ラルフのGジャンに青シャツ……19SOデザイナー鈴木真悟がスラックスに効かせる“古着出汁”


「大人だし、古着出汁」とは……

大人が古着を取り入れるなら、“用法・容量”を守るのが鉄則。

そんな古着との付き合い方を日々楽しんでいる鈴木真悟さんに、アイテム選びのポイントを聞いた。

▶︎【写真11点】「鈴木真悟さんがスラックスに合わせる“古着出汁”」を写真でチェック
話を聞いたのは……
鈴木真悟さん

鈴木真悟(すずき・しんご)●1980年東京生まれ。「サタデーズ ニューヨークシティ」のブランドマネージャーを経て、2020年、自身のブランド「19SO(ナインティーンエスオー)」を立ち上げる。日常生活に寄り添うワードローブをテーマに、ラインナップを展開。サーフィンとランニングが趣味。

時間を見つけては古着店に出向き、気になるものに出合えばつい買ってしまうという鈴木さん。

古着選びの視点は、「希少性や市場価値ではなく、デザインとインスピレーション」だと語る。

「古着の醍醐味は、他の人と被らないものを自分で見つけられる楽しさにあると思います。綺麗めなスラックスに合わせられるよう、古着のトップスに狙いを定めて探しますね」。

① ラルフ ローレンのGジャン&ジャズTシャツ



鈴木さんが古着で購入するのは主に、ライトアウターやシャツなどの羽織りもの。

「特にラルフ ローレンのジャケットやシャツは、自分にマッチして襟型が好みのものを常に探していて、見つければ即購入します」。

こちらのデニムジャケットは、まさにフィット感が鈴木さん好みだったという。ゆったりとしたオーバーサイズが気分だ。



そして背中には大きな星条旗が。

今ではあまり見られなくなったモチーフも、古着だと見つけられる面白さがある。加えて鈴木さんは、ダメージもデザインとして楽しむ。



「このジャケットは両袖に大きなダメージがあるのですが、それも味ですし、それがクリース入りの白スラックスと合わせたときに粋なコントラストとして効いてくるんですよ」。

まさにダメージこそ、“古着出汁”の典型なのかもしれない。



さらに最近注目しているのが、ロックTならぬ“ジャズTシャツ”。

「インナーには、プリントに主張のあるブラックボディのTシャツを着ることが多いです。プリントの褪せ方がこなれて見える古着が理想的で、中でもジャズTは、ユニークなプリントに惹かれてよくチェックします」。

ちなみにTシャツは、ニューオリンズのブラックミュージックシーンを題材にした作品で知られるマーガレット・スレード・ケリーのグラフィック。一目惚れして購入したとのこと。

おそらく1990年代〜2000年代初頭のものとのことだが、コンディションは良好だ。



また、鈴木さんが購入する古着の“羽織り”は、デニムの他にミリタリーやスポーツ、アウトドアといったアメカジの王道テイストであることもポイントだ。

「ヴィンテージ然としたものや、ヘビーデューティーを体現したものではなく、どちらかというと街でもさらっと着られることに着目してチョイスしています」。
 


左は’90年代前後のノース フェイスのフリースベスト。コンパクトな立ち襟やシンプルな色使いが、スタイルを選ばない。

また右のキルティングジャケットは、身幅が広いサイズ感が、今の気分にぴったりだ。

「無骨に見えないデザインと古臭く見えないサイズ感がポイント。自分が学生時代に袖を通していたようなアメリカ古着が、また新鮮に感じるようになってきたんですよね」。



レイダースのブルゾンや、ラウンドカラーがモダンなフライトジャケットも同様。

「’90年代前後のアメリカもののブルゾンは、違和感なく着られるサイズ感が多いので、一点取り入れるならおすすめです。薄手のものならロングシーズン使えて重宝しますよ」

② ラルフ ローレンのストライプシャツ



鈴木さんが、最も多用している古着のひとつが、ラルフ ローレンのシャツだ。

「シャツをテーパードのかかったクロップド丈のスラックスに合わせるのが好きです。タックアウトでラフに着られる大きめサイズをいつも探しています」。

ブルーベースのストライプシャツは、鈴木さんの鉄板。ボタンは一番上まで留めてタックアウト、足元はヴァンズなどのボリュームのないスニーカーを合わせることが多い。



「襟はコンパクトなものが好みで、ボタンダウンもよく買います。ラルフ ローレンの王道シャツには、BBキャップを合わせることが多いですね」。

こちらの6パネルのニューエラキャップも、たまたま古着店で見つけて購入したもの。

ブルーベースのストライプシャツには、ネイビーのヤンキースのキャップが好相性だ.

ブルーベースのストライプシャツに、ヤンキースのキャップが好相性だ.


「このシャツは毎度洗濯をして乾燥機に入れたら、そのままノーアイロンで着ています。アメリカ製のXLサイズですが、181cmの僕の体型にはマッチしていて、古着ならではのフェードした発色も気に入っています」。

自分好みのスラックスに合わせるトップスに狙いを定め、古着ならではのデザインや質感、サイズ感を楽しみながら取り入れる。

着こなしに古着という出汁を効かせる、鈴木さん流の効果的なメソッドだ。

河野優太=写真 長谷川茂雄=取材・文

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