OCEANS

SHARE

B面 ヘビーデューティを現代版として表現



金子さんのB面(BEAMS面)の顔は、ビームス プラスのチーフバイヤー。バイイングに加え、オリジナルアイテムの企画や他ブランドとのコラボプロジェクトも担当している。

彼が新しい企画を生み出すうえで欠かせないのが、ログハウスで日々深め続けている古着の知識だ。



「僕がモノづくりで一番大切にしているのは、これまで積み上げられた技術やデザインを、今のライフスタイルに合う形にアップデートすること。古き佳き古着の魅力を、どうビームス プラスらしく表現するかを常に考えていますね」。

'50年代の古着の中には、今では考えられないくらいオーバースペックに作られたものもある。

金子さんは所有する古着のコレクションをベースに、試行錯誤しながら今の都市生活にマッチするよう進化させている。

縦にダウンのパックが4つ並んだデザインは、このモデルの初期型から踏襲。

縦にダウンのパックが4つ並んだデザインは、このモデルの初期型から踏襲。


その代表例が、長年金子さんが手掛けている「シエラデザイン」の別注アウターだ。2年前にリリースして話題になったダウンベストが今季復活を遂げた。

「今回は'70年以降に登場したブランドを代表するデザインをベースにしました。あえてダウンの量を抑えて、ボディのポリエステルを柔らかい素材にしてあるので、インナーダウンとしてもアウターとしても着用できます。タウンユースでの使い勝手を考えたアイテムです」。

持ち運びに便利なパッカブル仕様。

持ち運びに便利なパッカブル仕様。


時代に合うよう適度にスペックを落とすこともあれば、機能性素材を使って着やすさという新たな魅力をプラスすることもある。

絶妙なさじ加減でアレンジを加えられるのも、金子さんがアメリカの古着の歴史やディテールを熟知しているからこそだ。

シエラデザインの名作として名高い中綿入りのマウンテンパーカも、今季別注で登場した。

シエラデザインの名作として名高い中綿入りのマウンテンパーカも、今季別注で登場した。


「トレンドを加味しながらも、僕は古き佳きヘビーデューティーなアイテムに強く惹かれます。過去の優れたものをどう今の時代に活かしていくか。これからも探求しながらモノづくりをしていきたいと思っています」。

78年のシエラデザインのカタログ資料。中綿入りのマウンテンパーカは77年に発売された。

78年のシエラデザインのカタログ資料。中綿入りのマウンテンパーカは77年に発売された。


温故知新。それはまさにビームス プラスのブランドコンセプトそのものだ。

好きなものに情熱を注ぎ、自分なりの方法で夢を叶えてきた金子さん。工夫を凝らすことで理想を現実にする力は、ビームスでの仕事にも遺憾無く発揮されていた。

山本 大=写真 長谷川茂雄=文

SHARE

次の記事を読み込んでいます。