「弊社の看板娘」とは…… プロ野球シーズンも、いよいよ大詰め。
今回は、福岡ソフトバンクホークスの本拠地、ヤフオクドーム(現・PayPayドーム)でビールの売り子として1日に200杯以上を売り上げた看板娘にご登場いただく。
オフィスは古書の街、神田神保町のほど近くにある。
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2020年に開業したフレキシブルオフィス「We Work KANDA SQUARE」。
エレベーターで11階に上がる。

総合受付は、このような洒落た雰囲気。
オフィスフロアを覗くとーー。

看板娘を発見。
フロア内はアドレスフリーとのこと。今日はよろしくお願いします。

「よろしくお願いします」。
こちらは、福岡県宗像市出身の仮屋成美さん。宗像市、どんな街でしたっけ?
「博多と北九州の間にある街で、海と山と川しかない感じですね。バスも1時間に1本とか。子供の頃、土日は朝4時ぐらいに起きてお父さんと海釣りに行っていました。イカとかキスとか、あとアラカブ、こっちで言うと何だろう。カサゴか」。
幼稚園の頃から水泳、ピアノ、フルートなどの習い事を始め、小学時代も好奇心が旺盛で、何でもやりたいとせがむ子供だった。中学の思い出は地元のショッピングモール、「ゆめマート」で撮ったプリクラ。
「100均でアイライン、アイシャドウ、つけまを買って化粧して、みんなで『盛れるまで帰りまテーン』とか言って、わあ、懐かしい思い出です」。
中学卒業後は、お隣の福津市の高校に進学した。
「初バイトは回転ずしチェーンで、厨房で魚を捌いてました。お父さんと釣りにいっていたので捌けるんです。正月三が日は初詣と家への配達もあるので忙しかったですね。正月らしい正月は過ごせなかったけど、スタッフみんな仲が良くて、めっちゃ楽しかったので3年間続けました」。
当時のお気に入りスポットは福津市の宮地嶽神社。境内石段から玄界灘まで伸びる参道に夕日が沈む「光の道」で知られる。

「光の道」は嵐のCMロケ地としても有名。
医療分野に興味があったため、看護師になりたいという思いがあったが、本人いわく「バイトと遊びに時間を取られて」看護学校の合格ラインに達せず、博多の医療ビジネス専門学校に入学した。
「主に病院で受付の点数を計算する医療事務の勉強をしました。初診料282点とか、再診だと73点とか、胃カメラやレントゲン系、心臓エコーは点数が高いです。
勉強をサボって看護学校に行けなかったので、またサボったら人生何も頑張らないやつになると思って『絶対、主席で卒業してやろう』という思いで一生懸命勉強しました」。
その思いは実現する。1年生のときに診療報酬請求事務の資格を受験し、2回目で合格した。

合格率は20%という狭き門。
ここで、冒頭のビールの売り子の話になる。
「回転ずしチェーンでは地味な裏方仕事だったので、ちょっと表に出たいなと。新人は外野にしか行かせてもらえないんですよ。そこでベスト3とかに入ったら、『次、内野に行ってみる?』とかで、どんどん販売エリアが増えます」。
トップの売り子は1日に400杯を売るが、成美さんは最高で1日に230杯。それでも、全体で2位だった。
「16kgぐらいの樽を背負って8時間ずっと走り回ります。初日で全身筋肉痛になって、辞めようかなと思いましたけど、ここで頑張ってみたいと。
試合開始の2時間前に出勤して、常連さんに挨拶して、お名前も聞いて、定位置を覚えてビールを売っていました」。
時給プラス1杯80円の歩合という世界だ。

写真を撮る余裕があったということは、ホークスが負けている試合のときだそうです。
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