ベースフード 代表取締役 橋本 舜さん Age 34●1988年、大阪府生まれ。新卒でDeNAに入社し、独立後2016年にベースフードを創業。「フォーブス ジャパン」起業家ランキング2022で6位に選出。好きなアーティストはビートルズ。
▶︎すべての画像を見る バランスのいい食事を規則正しく食べる。それが身体にいいと知っているのに、なぜ実践できないのか?「それはとても難しいことだから」と橋本舜さんは言う。
「コンビニに行けば美味しいおにぎりやサンドイッチが並び、手軽に食事を済ませることができます。こんな便利な状況で、はたして毎食サラダをとったり、一汁三菜の食事に切り替えることができるのか? そんな疑問が、ベースフード開発のきっかけなんです」。
無理なく自然に健康的な食事をとるために注目したのが“主食”だ。世界中のあらゆる民族が何千年もの間食べ続けている主食が、完璧な栄養バランスだったなら。
パンやパスタを食べるだけで十分栄養がとれるなら、それが最も効率的、合理的なのではないか。
「主食をイノベーションして、健康をあたりまえに」をミッションとするフードテック・スタートアップ。完全栄養の主食「BASE PASTA」をはじめ「BASE BREAD」「BASE Cookies」を開発・販売する。2017年の販売開始から約5年で着実に成長を遂げ、現在定期購入者は10万人超。今後は100万人、1000万人を目指すという。
「まずは完全栄養のパスタを作ろうと、栄養士の友人に電話して、“栄養バランスのいい・悪い”はどう決まるのかをヒアリング。エクセルで栄養バランスシートを自作しました。
次に近所のコンビニを片っ端から回って乾燥食品を買い込み、必要な栄養価を満たす食材の組み合わせをシミュレーションした。そしてYou Tubeで見たパスタマシンを購入してひたすらパスタの試作です。
でも驚くべきことに、どれもきわめてまずいんですよ(笑)」。
どうすれば美味しくなるのか? 知り合いを通じて食品会社の社員や料理人、学者などに話を聞いて回った。50人以上に会い、何百回も試作を重ねるうちに、おのずと人脈とノウハウが蓄積されていったそうだ。
2017年にパスタのオンライン販売を開始。以降パンやクッキーをラインナップに加え、現在シリーズ累計販売数は5000万食、定期購入者は10万人を超えた。
「日本国内においては、“成人の健康診断が全員オールA”が目標。少子高齢化が進むなか、健康寿命を延ばすことは最重要課題です。
世界では、バランスのとれた食事を得られない地域における栄養失調や生活習慣病を減らしたいですね」。
「Tシャツ&デニムというコーディネイトにはサンフランシスコらしさ、“シリコンバレー感”がありますね。自由を尊重する雰囲気。僕はもともとIT企業の出身ですから、この感じはとても好きです」という橋本さん。偶然だが今回着用したデニムはリーバイス。そう、サンフランシスコ生まれのメガブランドである。近年ではオーガニックコットンとリサイクルコットンから作る「501」を開発するなど、サステナブルへの取り組みにも積極的な姿勢を見せているリーディングカンパニーだ。デニム1万3200円/リーバイス︎(リーバイ・ストラウス ジャパン 0120-099-501)、Tシャツ7万6450円/ベルルッティ 0120-203-718、スニーカー7万1500円/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店 03-6805-1691)、手に持ったシャツ3万6300円/アスペジ(トヨダトレーディング 03-5350-5567)、ソックス1980円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)
ベースフードを通じて挑戦し続けてきた主食のイノベーション。それは驚くべきことに人の健康ばかりでなく、“地球の健康”をも改善する可能性を秘めているという。
「『ドローダウン』という本によると、温室効果ガス削減のランキングの第3位が“フードロスの削減”、4位が“植物性中心の食生活”です。
ベースフードが使用する小麦全粒粉が健康に寄与するのはもちろん、精白段階で廃棄される表皮や糠を減らせる。そして原料はほとんどが植物性由来。
つまりベースフードには、世界の温室効果ガスを大きく削減するポテンシャルがあるんです」。