OCEANS

SHARE

2022.06.11

ファッション

’91年製「パタゴニア」のシティレインコート。ソウボウのデザイナー出合った古着の魅力


藤田貴久●デニムメーカーや古着店でキャリアを重ね、現在は、その中で得た知見をもとに、九州地方の伝統技術を活かしたブランド「ソウボウ」のディレクション&デザインを担当。

「業界のパタゴニアン・パパラッチ」とは……

「パタゴニア」といえば、アウトドア派に人気のイメージがあるかもしれない。しかし、ソウボウのディレクターを務める藤田さんは、シティ派でありながら昔からパタゴニアを愛用してきたひとりでもある。

彼が現在も愛用しているパタゴニアアイテムのひとつが、古着で手に入れたレインコート。そのワケを聞けば、きっと誰もが納得するはず。

▶︎この記事の画像ギャラリーを見る

古着が雄弁と語るパタゴニアの偉大さ

パタゴニアは、世界のアウトドア好きから信頼を得る、れっきとした“アウトドアブランド”である。藤田さんは、そんなパタゴニアを以前から愛用してきた。

かといって別段、アウトドアに勤しんできたわけではない。



「パタゴニアは『Boon(ブーン)』などの雑誌から知ったクチですね。洋服好きな人たちが着て誌面に出ていたのを見て、ブランド名を覚えました。なので、アウトドアブランドという意識はそこまで強くなかったと思います。

で、地元の近くに国内パタゴニアの総本山である鎌倉店があったので、中学生ぐらいのときに初めて行ったんですよ。そこで初めて、モノ作りに真摯に向き合い、世界中から一目置かれるブランドだということを知りました」。

ワールドクラスの知名度、質、デザイン性から、知識が浅かった当時でも安心して袖を通せたと藤田さん。そして、知れば知るほどブランドの奥深さに惹かれていく。象徴的なのが古着だ。



「鎌倉のお店は、土地柄もあるでしょうがサーフ系のアイテムが揃っていました。それもあって、当初はどちらかというと山というより海ブランドのイメージが強かったかな」。

その後、登山やキャンプなど、さまざまなアクティビティで活躍するアイテムを作っていることを学んでいったという。

「変わったポケットが付いてるな〜と思うこともしょっちゅうありました。でも、使用シーンや背景を知るとなるほどと思うことが大半。昔からそういうアイテムが古着では多かったので、探すのが面白かったですね。それで、ハマっていった感じです」。

トレジャー的に探す楽しさや見つけたときの満足感は、藤田さんの購買意欲に火をつけた。



「時を経ても色褪せない大定番もありますけど、中には珍品みたいなアイテムも出てくる。数年間しか展開していないモデルや色もありますから、古着の“掘り甲斐”は十分でしたよね。

昔は『古いものが正義』みたいなところもありましたから、特徴をよく理解していないと見つけづらい。でも、パタゴニアは製造年が書いてあるものもあるので探しやすかったんですよね」。


2/3

次の記事を読み込んでいます。