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2022.03.10

ファッション

ビズビム中村ヒロキさんが語る“美しき藍”の世界。職人技に、愛を込めて



落ち着きもフレッシュさも醸す青は特別な色だが、日本に古くから伝わる藍色はことさらエモーショナルだ。

大人の琴線に触れる、職人技に愛を込めて。

男にはいつだって“藍”が必要なのだ

 

10.5オンスの裏毛を使ったフーディは製品で本藍染めを施したもの。薄い色ほどムラが出やすいため、この均一できれいなライトブルーは高い技術力の何よりの証し。中性洗剤を使って、家庭で洗えるのもポイント。7万5900円/ビズビム 03-5468-5424


ビズビムのデザイナー、中村ヒロキさんが古今東西の天然染めのテキスタイルに傾倒しているのは有名な話だ。10代の頃からヴィンテージデニムを収集してきた彼は、とりわけ青に強いこだわりを持っている。

そんなビズビムがデニムなどの自社製品に天然藍を使った染めを施すようになったのは今から10年ほど前のことで、現在同社の藍染めを主に引き受けているのが東京・青梅にある壺草苑(こうそうえん)だ。



藍染めといえど合成インディゴも使用する工房が少なくない中、大正8年創業のこの老舗では阿波徳島産の天然藍を使った「灰汁発酵建て」という手法を用いていて、化学薬品をいっさい使わない昔ながらの染め方を貫いている。

人体に無害で、使い終わった染料液は畑に撒いて肥料にされるという。しかし、大きな環境的メリットはありつつも、ビズビムが本藍染めにこだわる理由はそこではない。

ビズビムの美しき藍は職人の手作業によって生まれる!

ビズビムの美しき藍は職人の手作業によって生まれる!


 「機能的に優れていると感じます。本藍染めの服は着るほどに生地が柔らかくなっていって、肌触りも良くなる。また着込むと色落ちするというより、色が擦れていって、いい風合いが出るんです」と中村さん。

日本の藍染めは奈良時代に中国から伝わったとされていて、江戸時代には人々の暮らしに定着したという歴史をもつ。

これだけ技術が発達した今でも、数百年前の染色法が価値を失っていないというのはロマンのある話だ。

「本藍染めが今も産業として成立しているのは日本くらいだと思います。こうして生活のそばにある加工だからこそ、天然染めの服は生き生きとしてくるんですよね」。

金谷章平=写真(人物&静物) 若林武志、高橋絵里奈=写真(静物) 来田拓也=スタイリング 加瀬友重、髙村将司、礒村真介(100milier)、増山直樹、今野 壘=文

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