電気一択で、本当にいいのか?
EV時代においても、トヨタの思慮は深い。
世界には充電設備はおろか、発電所でさえおぼつかない場所がある。トヨタの人気車種、ランクルが活躍するような場所はたいていそんなエリアだ。
それなのにすべての車を電気自動車にすれば、移動手段を失う人々が出てきてしまう。だから一部メディアにケチを付けられようが、ハイブリッドや水素エンジン、燃料電池車という選択肢を広げる。
商用向けと思われる「Mid Box」だが、キャンプや遊びなどに使えそうなフォルム。5ナンバーサイズクラスに見えるので、日本ではちょうど良さそう。
そもそも化石燃料を燃やしてCO2を排出しながら電気を作っていたら、電気自動車に乗る環境面での意味はない。
ちなみに日本の再生可能エネルギーは2019年の時点でエネルギー全体の約18%。目標は2030年に36〜38%だ。逆に言うと60%以上は2030年もLNGや石炭、石油を使う火力発電所などで賄う予定だ。
ルノーのアミのような可愛らしい2人乗りの「Micro Box」。
それに急激に電気へ産業構造がシフトしたら、仕事を失う人が出てきて、日本経済が揺らぐ可能性もある……と、そんなことまで考えているトヨタは優しい巨人だ。
豊田章男社長は、今年9月に日本自動車工業会の会長としてこう述べた。「敵は炭素、内燃機関ではない」。
ポルシェのマカンあたりを彷彿させるスポーティなデザインの「Crossover EV」。
今シーズンは厳寒で電力が不足するとさえ言われているのに、これで電気自動車が国内で何百万台も増えたらと思うと、その際の電力事情は押して測るべしだろう。
FJクルーザーのコンパクト版!?「Compact Cruiser EV」。
ハイラックスのようなピックアップも当然BEVに。「Pickup EV」。
これも街乗り中心か!? SUVテイストのある「Small SUEV」。
優しい巨人は、私たちにも「電気自動車? すぐにでも作れるけれど、ほんとそれだけでいいの?」と投げかけているような気がする。