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2020.12.14

ファッション

言うなれば“ハイノーマル”。流行に左右されないボッテガの「エッセンシャルズ」

昨今、サステイナブルなアクションの大切さが喧伝されている。
それ自体は、もちろんいいことである。しかし、世界中の誰か(動物・植物も含む)に、負担を押し付ける取り組み、持続可能とは言いがたい。
ファッション界は、まだまだ持続可能性を持ったサイクルの構築が不十分なため、ようやく近年、この重要性に気付きつつある最中だ。ただ、その機運が、「やってます感」を醸すだけの「ラベル」になってはいけない。「オーガニック」や「リサイクル」だけが、サステイナブルの推進ではないのだ。ほかにも手段は、ある。
そんな意識も根底にあるのだろうか、ベーシックウェアへ回帰するブランドが増えているように思う。それは、「飽きのこないいいものを長く着続ける」ことの重要性が注目されている証しといえるだろう。
ボッテガの新ライン「エッセンシャルズ」
毛玉のできにくい、滑らかな繊維のスコティッシュカシミヤ100%のカーディガン。16万円/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
ボッテガ・ヴェネタがローンチした「エッセンシャルズ」コレクションも「流行に左右されないベーシックなワードローブ」を提案している。
ウォッシュをかけたコットンジャージーピケのトップス。9万円/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
上質な素材でできた、いたって普通の服。それでもやはり、ちょっとしたディテールワークに、ハイブランドならではのセンスが滲み出ている。
僕らは、そうした些細な違いが見てとれるだけでも、十分に満足できるものだ。
特殊な編み機によって独特な表情を醸す、日本製コットン素材を使用したTシャツ。各4万7000円/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
ファッションは文字どおり、流行を意味し、移ろうものではあるけれど、こうした潮流は歓迎されるべきもので、「流して」はいけない。
天然素材を強い打ち込みで高密度に織り上げた、ハリが特徴のファイユ生地のパンツ。まるで化繊のようなシャリ感に。膝にダーツを入れてシルエットをほんの少し遊んだ。8万円/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
自分のためだけであった数年前の「ノームコア」とは趣が異なり、自分のためであり、社会のためでもあるこの潮流をオーシャンズは「ハイノーマル」と呼んでみたい。
 
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文


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